『『「LINE壊れてんだよね」』の続き』
昨日のこちらの続きです。
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「こんなこと&#d)Ж〟{∵」
彼女はまるで正気を失ったように
言葉にならない音を並べる
さっきバーで声をかけたときの
可愛らしい顔は
泣き腫らしてくしゃくしゃ
店員さんに詫びを入れながら
またも彼女の腕を引いて
通りへ連れ出す
俺もいちおう
彼女のスマホを確認する
あぁ俺じゃロックが解除されない
「¢%/`仝?ф▽」
顔を両膝にうずめてしゃがみこんだ彼女の言葉は
まるで聞き取れない
通りを行き交うひとが
チラ見しながら
見ないふうを装って
どうしたもんかと
俺は困り果てたから
(あぁこんなとき純粋な気持ちになれるんだな)
一切の邪心はなく
彼女の両肩を抱えて立たせ
タクシーを呼び止めて
(ほんとうにヨコシマな気持ちはなくて)
俺のマンションへ急いだ
「’▼Иф[〉」
相変わらず顔はくしゃくしゃだし
何を言っているかわからない
だけど素直にタクシーに乗り込み
とうとう俺の部屋の前へ
久しぶりに彼女に向かって
俺は口を開いた
だいじょうぶか?と
(それは色んな意味を含んで)
彼女はそしてそれまで泣き腫らした顔を
会ったときの整った柔和さに戻して
「ありがとう、だいじょうぶだよ」
そう微笑んだ
鍵を差しドアを開ける
さぁと招き入れる俺
「ありがとう、だいじょうぶだよ、ほんとにありがとう」
にっこり含み笑い
タクシー代を置いて
どこかに去っていく彼女
ヨコシマな気持ちなんて
ほんとうになかったんだよ俺は
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(あとがき)
めずらしく2部構成にしてみました。1部目を書いたときになんだか物足りなくて、でもどう展開させるか定まらなくて。
ところでLINEとインスタっていう固有名詞出してて、しかもタイトルで使っちゃって、こういうのショートショートのタブーなんだけど許してください。って自分に謝ろう。
トップ絵、素敵なのを見つけました。ありがとうございます。1部2部同じ方のものを使えて嬉しい。この方のイラストだそうで。
ということで、みなさんごきげんよう。