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『みなさんいかがでしょうか?』


未開の森を冒険する

探検隊が結成されました


探検隊は未開の森の近くで

現地の猟師を雇って

道先案内と護衛を依頼しました


深い深い森の奥深く

探検隊はもとより

猟師すらも

足を踏み入れたことのない

前人未到の地


歩き始めて

3日ほど経った頃でした


あれ?

だいじょぶじゃね?

ていうか

なんにもなくね?


むしろ

なさすぎて逆に怖くね?


というムードが

探検隊一行のなかに

漂い始めました


たしかに予感は的中


森は途絶えることがない一方で

そこには人間はもちろんのこと

いっさいの動物が

見当たりませんでした


だから外敵に襲われる危険は

ほとんどなさそうだなと

探検隊の隊長は判断しました


ところでもう

この森を彷徨い続けて

10日が過ぎようとしています


当初の計画では

5日ほどで帰還する予定でした


いよいよ予備も含めて

食糧が底をつこうとしており

一行は頭を抱えました


そうだ

と一人の隊員が

隊長に耳打ちします


隊長はそのアイディアを採用

さっそく猟師を呼びつけます


猟師はようやく仕事を与えられ

とても喜んでいます


さっそくその場に伏して

銃を構え

照準を絞りはじめました


隊長は猟師に

みえるか?

と問い


猟師は隊長に

みえるぞ

と返しました


隊長は

撃てるならいつでも

と伝え


猟師は返事の代わりに

銃声を鳴り響かせました


猟師は余韻に浸っているのか

その場に留まっていました


するとしばらくののち

猟師の後頭部へ銃弾が

突き刺さったのです


そう

猟師は自分を撃ったのです

銃弾は地球を一周したのです


そして

空腹に耐えかねた探検隊は

猟師を…


これ以上書き綴る必要は

ないでしょう


猟師の死に顔は

とてもとても

満足げでした


翌日探検隊は

無事に森を脱出し

町へ帰ることができました


彼の命は

決して無駄には

ならないでしょう


もういちどおさらいです


猟師の放った銃弾は

山を越え海を渡り

猟師のみずからの頭を

撃ち抜きました


獲物に飢えていた猟師は

たしかな手応えを

感じていました


飢餓の危険を感じた

探検隊の一員が思いついた

この作戦は

倫理上許されるべきか

否か


みなさんいかがでしょうか?






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