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『「パパあれって誰が決めてるの?」』


妻が自分の服を見たいと言うので

そのあいだ息子を連れて

カフェでまったりと


ちょうどこのショッピングモールの

駐車場が見渡せる


休日の午後だから

その出入りもけっこう盛んで


「あ僕んちのクルマだね」

「そうだね」

「3219番…6074番…」

「ん?」

「9954番…」

「あぁ、ナンバーか」

「パパあれって誰が決めてるの?」

「あれは適当に割り振られるけど」

「そうなんだ」

「あでも、自分の希望も出せるよ」

「へえ…7119番…2945番…」

「ほら、次が884番だろ?」

「うん」

「あれはきっとハヤシさんだよ」

「えっ?」

「語呂合わせってわかるか?」

「あーそうやって読めるね」

「じゃあ415番は?」

「うーん…誕生日じゃないかな」

「そう!誕生日でもいいんだ」

「じゃ82番!あの人8月2日生まれだね」

「あれはたぶんパンツが好きなんだよ」


なんてたわいもない

父子の会話をして

時間を過ごしていた


「9902番、4871番…」

「適当だな」

「2280番、6302番…」

「ん…」

「2612番…っとパパ!メモ!」

「どうした急に!」

「パパ急いでメモして!いいから!」


俺はスマホのメモ帳に

わけもわからず打ちこんで


「1902番!2428番!8710番!」

「えぇっと、いちきゅう…」

「4875番!6091番!」

「あぁー追いつかないよ」

「いいからとにかくメモして!」

「わかったわかった!」

「1064番…で終わりか…」

「いちぜろろくよん…で終わりだね?」

「うん合ってる」

「これなに?」

「パパSNSやってるよね?」

「まぁやってるけど…」


細かいことはわからないけど

そう前置きして

息子が言うには


「僕が生まれるずっとずっと前の…」

「ずっとずっと前の?」

「パパも生まれてない頃の…」

「ほう…」

「未解決事件」

「未解決事件?」

「うん…それの手がかりになると思う」

「マジかよ…」


それで息子の言われるままに

さきほどメモした数字を

そのままSNSに投稿したわけ


「たぶん…解決すると思うけど」

「おまえ超能力もってる?」

「どうかな」

「怖いよ」




ナンバーを投稿したのがたしか

午後3時頃


それから数時間経ち

いまは夕食を終えて

リビングでまったりしてる


俺のスマホのプッシュ通知が

延々と止まないのは

妻にも息子にも

言えずにいる



























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