『俺の大親友の結婚式があった』
俺の大親友の結婚式があった
俺とヤツは幼稚園からの仲
高校を卒業してからは
別の進路になったけど
実家が近所ってこともあり
三十路と四十路の
ちょうど真ん中になった今でも
毎日のように連絡を取っている
そんな大親友が結婚した
会社の同僚の女性だって
付き合っている人がいるのは
前から聞いていた
俺にも会わせろって
ずっと言ってたけど
なんだか照れくさいとか
予定が合わないとか
そんなことを言って
けっきょく今日に至る
挙式があって披露宴
その後
親しいものだけで二次会となって
もちろん俺も喜んで参加した
貸し切りのダイニングは
カラオケがあって
上手い人もそうでない人も
祝いたい人も
ただ歌いたい人も
みんな楽しく熱唱して
そろそろ宴もたけなわってとき
大親友であり本日の主役
新郎がマイクを取ったわけ
GReeeenのキセキが流れてきて
へぇぇぇぇ
あいつ歌うんだな
そういえば俺は一緒に
カラオケに行ったことがないな
そういうのあいつは
好まないタイプだと思ってたけど
って
めちゃくちゃうめえな
それに
すんげええええ似てる
なんか俺感動しちゃって
最後のサビなんか
会場全体で大合唱になって
ほんとに素敵な会だった
普段ならこのあと
もう一杯と誘う相手が
きょうは主役だから
俺はさっさと帰り仕度
コートをクロークで受け取っていたら
「あの…新郎さんのお友達の?」
列席者の女性に声を掛けられた
えっ…
「わたし…新婦の友人なんですけど…」
まさか…
「ちょっといいですか?…」
いやそんな…
俺はなにせ独身だし
それに彼女もいない
大親友が結婚して
悔しいかって
そう問われたら
悔しくないとは言えないって
そう答えると思う
「新郎さんって…」
ん?
「GReeeenの中の人って噂…」
え何それ
「ほんとなんですね!」
いやいやいや
なわけない…
のか?
「てことはもしかしてあなたも?」
ない!
それはぜったいない!
俺はぜったいGReeeenじゃない!
「このあと飲みに行きません?」
あ
で
けっきょくそこはそうなのか
すごい誘い方をされたせいか
なんとなく断ってしまって
駅まで逃げるように
立ち去ってしまった
だから俺はダメなんだと
部屋でひとり三次会を始めて
つくづくBLuuuueな気分になって
ところで大親友よ
おまえは
出たがりなのか
そうじゃないのか
どっちなんだ
あとほんとにGReeeenの中の人?
ちょっと聞きたいけど
照れくさいし
酔っ払ってきたし
俺はBLuuuueだし
(あとがき)
実在の固有名詞を使うのもたまにはいいでしょう
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