【読了】すべての作文に悩む小学生に贈りたい本!
大人も読むべき名著
――――――――――――――――――――――――――――
はやみねかおる著「めんどくさがりなきみのための文章教室」を読み終わりました。
はやみねかおる先生といえば、「名探偵夢水清志郎シリーズ」「怪盗クイーンシリーズ」といった講談社青い鳥文庫から刊行されている小説や、実写映画化が発表された「都会(まち)のトム&ソーヤ」など、主に子供向けの推理小説中心とした多彩な作品を発表されている児童文学作家。
私も中学生の頃、夢水清志郎シリーズにドはまりし(ちょうど世代なのもあって)、少なくとも亜衣真衣美衣の岩崎三姉妹が中心となっていたころは全シリーズ読破&所持していたほどで、以降の創作感やミステリーにハマるきっかけになった作家さんです。
そんなはやみねかおる先生が出した、文章指南の本。
そりゃあ、気になるでしょ!
元々文体にハマっていたのもあるのですが、なんといってもはやみねかおる先生は元小学校の先生!(担当は算数だった気がしますが)
小説を書き始めたのも、教え子に読ませるために書き始めたのがきっかけだった、と記憶しています。(違ってたらすみません……)
そんな先生の書いたもの、懐かしさもあいまって、とりあえずいずれ買う本としてAmazonのほしいものリストに入れておきました……
ら。
なんと、体調不良をきっかけに久しぶりに連絡をくれた幼馴染が、本をプレゼントしてくれたのです!!!
うおおおおおおああああ!!!!
聞けば、この本を読んだ私の感想が聞きたいとのこと。
そういえば、彼女は中学生のころ、一緒に夢水清志郎シリーズやパスワードシリーズにハマった仲で、彼女としてもどんな本なのか知りたいとのこと。
ありがたくいただき、最近、文章講座めいたものを書こうと思っていたのもあってすぐさま読み始めましたとさ。
で、その結果なのですが……
―――――――――――――――――――――――――――――――――
★レビューめいたもの(☆5満点)
面白さ ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
わかりやすさ ☆☆☆☆☆☆☆☆
はやみねかおる度 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
またはやみねかおる作品に触れたい ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
―――――――――――――――――――――――――――――――――
というような評価になりました。
文章教室の名の通り、作文やレポート、小説を書く基礎中の基礎がぎゅっと詰まった一冊です。
今すぐすべての小学生に贈りたいし、学校に一冊は置くべき本!だと思います。
特に冒頭の20ページ…というか16ページから23ぺージだけでも読めれば、読書感想文が書けない、何を書いたらいいかわからない…と悩む小学生の9割は悩みが解決すると思います。マジで。これ、小学生の頃に知りたかったな……
他にも読みやすい文章を書くための基礎中の基礎が丁寧に、わかりやすく、順を追って説明されているので、普段文章を書くのが苦手だな…どうしてもわかりにくい文章と言われてしまう…という大人にもオススメです。
っていうか全ての初心者創作者は一度目を通すべき。
というかアレなんですよ。私が「騒乱イバラシティチキンレーサー向け短時間でそれっぽい日記を書く方法」ってテーマで書こうとした内容の9.9割がこの本に詰まってます。しかもこの本の方が圧倒的に読みやすい。もうおれかかなくていいんじゃないかな……
例えば、「読点の打ち方」や「漢字の開き方(ひらがなとカタカナ、漢字の割合)」「主語と述語の関係」など、文章を読みやすくするための基礎がこれでもか!と詰まっていて、本当に勉強になるし、わかっていることでも改めて明文化されることで気付くことって沢山あります。
中でも割とショックを受けたのは
A.幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
B.1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
(「めんどくさがりなきみのための文章教室」P132から引用)
この二つの文章が「同じ」意味か「違う」意味かを聞かれたときに、中学生の正答率は約57%だった、という点。
みんな、意外と読めているようで読めていないんだ…とぽかんとしました。
(でも、最近「人は意外と文を理解できない」と実感する事件がたくさんたくさんあったよね…特に長文)
文の基礎がわかっている、ということは、文を書けるのと同時に、文が読めるということになるわけで、
書かなくても、文の基本を知っておけば、より難しい本、物語に挑戦できるな、と思います。
なお、Amazonでレビューをちらっと見たとき、「お行儀の良い文章を書くための本で、ちっとも小説が面白くなるためのことが書いていない」というものがあったのですが、それは正直履き違えだと思いました。
まず、文章は読みやすくなければ相手に伝わらないし、小説が面白くなるためにはまず相手に伝わらなければ始まりません。
本著から引用すると「個性的な文章を書くには、まず、基本的な文の書き方を身に付けなければならない。/基本ができていないところに個性は生まれない」(P149)、「もし、基本的な文を書けない人間が自己流に考えて「これが自分の個性の表れた文章だ!」というのを書いたとする。でも、その文はわたしにとって”読みにくい独りよがりの下手くそな文章”でしかない」(P149)
まさに基礎を鍛えなければ、「あなたの作品の面白さの1割も伝わらなくなってしまう」のです。まず、筋トレから始めよ。
文章の筋トレと言えば、最近Twitterで話題の「同人女の感情シリーズ」で「800字以内の小説をたくさん書く」方法が小説のトレーニング方法として挙がっていましたが
本著ではもっと敷居を下げて、「200字程度の日記を毎日書く」が挙げられていました。
多分、どちらが良い、というわけではなくて、まず基礎をつけたいのならはやみね先生の提唱する「200字の日記を毎日書く」そこからさらにレベルアップしたいなら、同人女シリーズの「800字以内の小説を書く」になるんだと思います。
いずれにせよ、とにかく書く、しかも書くだけじゃなくテーマやアイデア、文章の構成などを考えながらコンスタントに書き続けることが、小説のレベルアップへの近道なのだと思います。
耳が痛いですね……
そんな文章力の筋トレのための指南書、文章を書いても書かなくても読解力を上げる基礎トレになるので、ぜひ一度読んでみることをオススメします!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
で、ここからは往年のはやみねかおるファンとしての感情なんですけど
いやあ……n年ぶりに浴びたはやみね先生の文章、沁みる沁みる。
懐かしさで読み始めた当初、喫茶店に居たのに泣き出すレベルで沁みました……おおお……
久しぶりに読んでもはやみね先生の文体は変わってなくて、これがはやみね先生の個性……!とか思いながら読んでいました。
しかも途中に「三姉妹と風変わりな探偵」とか「夢水清志郎シリーズ」を思わせる内容が出てきたり、「この質問に、ダイナが片目を閉じる。どうやらウィンクをしたかったようだが、ぼくには、泣いているのか笑っているのかわからない不思議な表情に見えた。」とかあのこれ これ!!!!!
オマージュじゃん!! これまでの作品へのオマージュじゃん!!!
もう懐かしさに胸がいっぱいになって今すぐ夢水清志郎シリーズやはやみねかおる先生の本を読みたくなりました。ああ゛~~~~~~!!!!
そしてあとがき。
息子さん! 息子さんたちの近況!!
久々に拝見しましたなっつかし!! そういえば夢水清志郎シリーズでは毎回あとがきに息子さんたちに寄せたメッセージを書かれt息子さんもう社会人!? 大学生!? 大きくなられて……! 歳を取るわけです……
っていうか今先生山に住んでるの?!とか、Twitter知ってるんだ……それはそう、とか、先生の近況もたくさん知れてよかったです。
(そしてついでにTwitterはフォローしました)
そんなわけで、文章が上手くなりたい人はもちろん、往年のはやみねかおるファンも読むべき一冊、としてオススメします!
というところで〆たいと思います。
ご清聴、ありがとうございました!
気に入った記事があればサポートしていただけるとたいへんありがたいです。いただいた分は今後の制作活動や医療費、なにかたのしいことに使わせていただきます