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フリーターのケンさんをキャリアアドバイザーに会わせてみよう

お久しぶりです。ごんぱちです。
気付いたら2021年最初の投稿です。あけましておめでとうございます。
年末にマレーシアに移住してからnoteを全く更新していませんでした。


その代わりと言ってはなんですが、はてなブログの方でもっとカジュアルにマレーシアの生活について綴っております。よろしければご覧ください。


さて、わたしが久々にnoteを書く気になったきっかけは以下の記事。

これがわたしのnoteデビュー作であり、公開から10ヶ月ほど経った今も、月間PVが未だに平均200超。わたしのnoteにしてはバズりつづけています。みんなどこから飛んでくるんだろう…


というわけで、今日はうすいさちよと同等のサブキャラであるフリーターのケンさんについて分析したいと思います。


ケンさんと時代背景

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フリーターのケン。 カズマにとってはあこがれのおにいさんてき存在(そんざい)。
じぶんに向いているしごとをもとめるさすらいのフリーター。ケンにとってはアルバイトのひとつひとつが自分さがしの旅(たび)。今までやってきたバイトのかずは、およそ400回弱(かいじゃく)。
こまっている人をほっておけない、情(じょう)にあつい性格(せいかく)だが、そのおかげでバイトをクビになることもしばしば。

公式サイトより抜粋。

ケンさんは永遠の25歳。結った長髪にTシャツをハイライズのストレートデニムにインするスタイル。80年代から90年代を彷彿させる。そしてよく見ると足元は革靴…え!?と思って調べてみると、どうやら当時の流行で間違いないよう。わたしが生まれる前はこんなファッションが格好良かったのか。

ちなみに長髪も、70年代から細々と流行は始まっていたらしいが、90年代に入って武田鉄矢・江口洋介・木村拓哉が長髪ブームを起こしている。でもみんな肩にやっとつくくらいの長髪で、ケンさんほどではなさそうだが…

おじゃる丸のアニメ放送開始は1998年。おそらくおじゃる丸の原案ができた頃、ケンさんは「ナウい」存在で格好良かったのだろう。カズマも憧れるわけである。

「さすらい」だったり「自分探しの旅」なんて言葉も、昔のトレンディードラマでだったらカッコいいと思われるかもしれない。だけど2021年の今、それがダサいと感じてしまうのは、バブルが崩壊し就職氷河期やリーマンショックを経験し、ゆとり世代からさとり世代への変遷を経験して物事を妙に現実的に考えるようになってしまったからかもしれない。

そう考えると、ケンさんが400回もバイトが決まり400回も即日退職が可能だった大きな原因は、それこそ80年代から90年代にかけてのバブル期という時代背景があったからだと考えられる。


ケンさんをキャリアアドバイザーに会わせたら

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人材紹介会社で求職者と接している友人M氏とT氏に、Wikipediaに書かれているケンさんのスペックをざっと見てもらったうえでどんな職種を紹介するか聞いてみた。

すると、M氏は「この人は自分のこと分かってないから、まず自己分析をさせる」と回答が帰ってきた。至極真っ当な答えだ。。

さらにM氏は「この人は本当に正社員になりたいかどうかも怪しい。今の自分に満足していそう。」と続けた。T氏も、「一生フリーター。定職に就くのは無理だね。紹介した方が怪我するわ」と、人材ビジネスならではの厳しいご意見も頂戴した。

人がモノを買って説明書きと全く違う商品が手元に来たらクレームを入れたりするように、キャリアアドバイザーも相手企業に適性のある「人財」を提供する義務がある。企業が高い紹介料を人財紹介会社に払っているのだから、1日2日で辞められるような人を紹介し採用しているようじゃお互いにとって損である。

ケンさんには申し訳ないが、少なくとも正社員の求人を取り扱う人材紹介会社には取り合ってもらえそうにない。しかし、M氏いわく「やる気とコミュ力さえあれば雇ってくれるところあるから、カンボジアならチャンスあるかも…」とのこと。ケンさん、まさかの海外を紹介される。


ケンさんがうちにバイトの面接に来たら

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わたし自身も某アパレルチェーンで店長代行者をしていて、アルバイトの面接をすることが何度かあった。

アパレルは繁忙期と閑散期の波が激しいため、長期アルバイトも希望通りにシフトに入れてあげることができない。だから上司には、「生計を立てるために働きたいフリーターは採用するな」と言われていた。

特に20代半ばの学生でない男性については、社員になる意志のない限りは今後の“キャリア”ではなく“人生”を見据えて、不採用にするようにとも言われていた。

ケンさんの履歴書はぐちゃぐちゃだが、元気はあるので他の仕事を探している間の短期バイトとして最繁忙期に採用したい。おそらく上司も同意してくれるだろう。なんてったって時代のファッションリーダーなんだから。

その短期バイトを経て、もし双方が長期的に働けるかもしれないと思ったら長期アルバイト、そして準社員、正社員へとステップアップしていけるかもしれない。ケンさんのことなので、がんばったとしても準社員止まりな気がしてならないが…。


ケンさんの自己分析

さて、M氏が言っていた「自己分析」に戻ってみよう。もっともわたしはケンさん本人ではないので「他己分析」が正しいが。

Wikipediaの記述によると、以下のように記述されている。

石材店でアルバイトをした際に見本のたぬき像と寸分違わず同じ物を彫り上げる。キスケが本物と見間違える石おにぎりを彫る等、天才的才能を見せるも本人にその自覚はなく、後述のポリシーのため店をすぐ辞めている。
仕事とは、汗水流して、しかられて身につけるというポリシーは一貫している。それ故、体を動かすバイトが多い。館長さんの依頼でお化けを捕まえるアルバイトをした事もあり、お化けを捕まえる才能があると評価された。

これだけ見ると、ケンさんは典型的な職人気質だと考えられる。デスクワークなど1時間ももたないだろう。いつも欽ちゃん走りでバスを追いかけている川上さんとは対照的。ちなみにケンさんは車を運転するシーンのある数少ない人物だそうなので、普通自動車免許を所持していることは堅い。

叱られて成長したいという考えを持つ若者も2021年の今では絶滅危惧種のような希少さ。失敗シーンも多々あるが、上述の通り才能もいくつか見出されているので、がっちりハマる「天職」を見つけたら、やはり長続きするかもしれない。

また、人柄としてはこのようなことが記述されている。

じっとすることが苦手で、考えるよりも行動が先。困った人を見過ごせない性格で、仕事を放り投げて人助けをすることがあり、それが原因でアルバイトをクビになったことがある。様々なことに興味を持つが、熱しやすく冷めやすい。仕事への情熱はあるが、あきらめも早い。しかし、立ち直るのは早く、過去にクヨクヨせず、明るい未来が待っていることを信じてポジティブに生きている。

上記のケンさんの良いところだけを太字にしてみると、「スピード感がある」「チームワークを大切にする」「好奇心が強い」「切り替えが早い」という点で採用側に買ってもらえる気がする。しかし、潔すぎるためすぐに辞められてしまうのが玉に大きな瑕。


このような要素を見てわたしが考えたのは、豪雪地帯の過疎地域に移住して、後継者のいない職人さんたちに弟子入りすることだ。もちろん正社員も何もないので、人材紹介会社は通さない。

重要なのは職人さん”たち“という点。もちろん職人技は数日ぽっきりで覚えられるものではないが、ケンさんは手先が器用なので、飲み込みは早いはず。また、地方というのは「叱って伸ばす」考えの人も多い。そして「困っている人を見過ごせない」ため、「後継者がいなくて困っている」なんて言ったら喜んで駆けつけるだろう。

そして飽きないようにいくつか掛け持ちをする。実際に月光町内でも同じバイトに戻ってくることもたびたびあったようなので(「意味わからん」とM氏に言われた)、一度「向いていない」と思っても戻ることに抵抗はない様子。たとえば春は田植え、夏は花火職人、秋は稲刈り、冬は雪かきなんかをしてくれたら、我が新潟県は大喜びである…。

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フリーターという選択肢

さて、前半で、即日入社即日退社が可能だった背景にはバブル期があると言った。わたしはバブル期崩壊頃にバブバブ言っていた世代なので、実際どんな豊かさがあったのかは知らない。

しかしバブル期に新卒として入社した方々の話によると、会社に所属しているだけでお金が貰えて、飲み会では一切お金を出すことがなかったなんて人もいたらしい。ケンさんはそんな豊かな時代に生まれながら、あえて適当な会社に所属することを選ばなかったチャレンジャーとも呼べる。

また、売り手市場、つまり求人が求職者に対し多いご時世だったとも考えられるので、ケンさんは「仕事が見つからない…」なんて状況には陥らない。もし逆の買い手市場だったら、さすがにケンさんも焦りを見せるだろう…かもしれない。


一方2021年、コロナ禍によりフリーターにならざるを得ない人が増えていると思う。もちろん市場は買い手。

わたし自身もコロナの影響で離職を余儀なくされ、数十社を受けた結果正式な内定を貰ったのは現職だけだった。そして渡航までは派遣で生活費を賄い、バイトで転居や渡航にかかる費用を貯めた。

今思うと、このご時世で正社員を目指すのはかなりリスキーだった気もする。やりたいと思える仕事、かつ長期間身を委ねたいと思える企業は少なかったし、ここだ!!と思った企業にはことごとく振られた。

一方で派遣はまあまあいい時給の仕事もあって、なおかつ定時で上がれたので気分はかなり楽だった。おかげで週5の日勤をしながら週3〜4でバイトができた。どちらも昇格昇給もなかったが、ストレスを抱えやすい自分にとってプレッシャーの少ない働き方ができて良かったと今振り返って思う。


また、M氏が言ったように、正社員という雇用形態を望んでいない人もいる。最近は特に増えてきていると思う。フリーターに限らず、フリーランスだったり、個人事業主だったり。決まった会社から受ける恩恵が減ったりなくなったりして、自己責任の範囲も広くなる。その分、自由度は増す。ケンさんもその自由さを楽しみ、生きがいとしているように思える。

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その選択肢を広げるために、カズマへ

カズマにとってはケンさんは良き相談相手であり、兄のような存在である。そしてケンさんの自由な生き方に憧れ、「フリーターになりたい」と小学校の作文に書いてしまうほどである。

これは個人的な気持ちが強いが、まだ九九を覚えたか覚えてないかくらいの年齢のカズマには、受けられるだけの教育は受けておくようにとわたしが愛ちゃんかマコトさんかトミーおじいちゃんだったら言うと思う。

フリーターをやりたくてやっている人もいる。しかしやむを得ずやっている人の方が多い気がする。逃げ恥の森山みくり(新垣結衣)ですら、文系大学院を出たにもかかわらず就職難に遭った。しかし地頭が良いので津崎平匡(星野源)と契約を結んでビジネスを成り立たせた。

わたし自身も海外大を卒業して、日本企業からの不採用通知を受け続けた末、今の海外法人に辿り着いた。正直大学で専攻した内容は全く活かせていないが、海外で生活していた経験があるだけでまあまあ豊かな生活を送らせてもらっている。

教育機関で学んだことが仕事に直結するとは限らないが、生きる知恵や知識、資格などの“武器”はできるだけあった方がいい。カズマは堅実で成績優秀、スポーツ万能、小2にして家事もそこそこでき、社交性もあるので、10年後くらいには学生をしながらいろんなバイトをやってみてほしい。そこで35歳のケンさんと同じバイトをすることになったとしても、ケンさんへの敬意は失わず、広い視野を持てる大人になってほしい、と、姉のような母のような気持ちで見守っている。


«画像・文章は以下から拝借しました»


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