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あれから。(マニピュレーターおばさん 完)

信頼を失ったおばさん

ギャルが退職する事件が起こってから早3ヶ月が経った。
ギャルが辞めてからおばさんはイキイキと働き出したが、私は全くやる気もなく、周りの部下達も日々の業務を淡々とこなすだけになった。
それを見ておばさんは「みんなやる気がない」「研修をやらないかと言っても『自分で帳票見るんで』と断るだけ」「みんな私のことが嫌いなんでしょ」と言い出した。
私はそれを聞いて「あー、そうですかぁ…」と困ったように答えるだけ。
実際に私も何もする気が起きなかった。
ギャルとコミュニケーションを取って、研修をして、「不安やったら一緒の時間にシフト入るから任せとき!」と安心させて、やっともうすぐ独り立ちと思った矢先にあんなことが起きたから。
次第に、周りの部下達は私が休みの日に出勤しているおばさんのことを報告してくるようになった。
あからさまにおばさんを無視してるとか嫌っているわけではないが、積極的にコミュニケーションを取ろうとする者は誰もいなくなった。

おばさんはリーダーミーティングにも参加しなくなった。
と言うより、毎月リーダーミーティングが行われる日の前日にシフトを入れてもらえなくなった。(夜勤明けにミーティングが行われるので参加するには前日出勤しないといけない)
おばさんは説明が下手な上に喋り出すと止まらず、ミーティングが1時間では終わらない。それを嫌がったSVがミーティング前日におばさんをシフトに入れる事は無くなった。
そのこともおばさんのやる気を削ぐのに拍車をかけた。

猛攻撃

すると次第に毎日毎日、私に愚痴を言ってくるようになった。
毎日2時間コースで繰り広げられる愚痴。
8時間の就業時間の内、2時間がおばさんによる悪口で占められていた。
部下達の悪口、会社への愚痴、日勤の悪口、その他いろんな人に対する愚痴を繰り広げた。
私はそのことをSVに報告も兼ねて相談していた。
そして仕事明けに残って上長に報告した。

1週間後、私はベッドから起き上がれなくなった。
最初は笑いにして誤魔化せていたのに、おばちゃんの毒は徐々に身体全体に拡がり、私はとうとう病に臥せた。
「とりあえず今日行こう…行って明日のことを考えよう」と自分に言い聞かせたものの、私の身体は出社を完全に拒否していた。
日中、職場に連絡すると運良く日勤のチームSVが出た。
上長に代わってもらい「体調不良で2〜3日休みが欲しい。来週から出社します。」と平謝りで伝えた後、チームSVに代わってもらい謝罪した。
「元気になって戻ってくるのを祈ってます」と言っていただいて電話を切った。
その後3日間、自分の好きな時間に起き、好きな時間に食べ、好きな時間に寝た。
そして4日ぶりに出勤するとみんな優しく出迎えてくれた。
後から聞いた話だが、上長に「おばさんと一緒のシフトの日に嫌だから休むって言うなら分かるんだけど、一緒じゃない日に休みたいって言ってくるってことはよっぽどしんどいんだよ」と言われてたらしい。
私とおばさんが一緒にシフトに入る日に上長とSVとおばさんが面談をしたらしいが、おばさんは「自分は嫌われてる」「自分は被害者」と主張するばかりで上長やSVの話を聞き入れることはなかったらしい。

おばさんを異動させる方向へ

それから私も何度か上長と面談をして、3回目の面談でおばさんを異動させることを聞いた。
おばさんは10月から同じ系列の別のセンターに異動することになるらしい。
上長から「10月からその予定でいます。で、まきぐそさんはここで出勤継続してくれる?」と聞かれた。
私はうっすら自分が異動になるんだろうと思ってたので多少驚いたが「残ることが出来るのであれば継続します」と答えた。

ギャルは戻ってこないが恨みは晴らしたことになる。
不戦勝と言ったところだろうか。
しかしまだおばさんはこの事実を知らない。
いつ本人に伝えられるんだろう。