キャンプで過ごした夏
子供の頃の夏の思い出と言えば、みんなは何を思い出すだろう?僕がまず思い出すのは、家族でしたキャンプの記憶だ。野球をした事や、近所の友達と公園で遊んだ日も勿論覚えているが、より鮮明に楽しかった記憶が残っているのは「キャンプで過ごした時間」だ。
親は自営業で休みが平日という事もあり、普段家族みんなで遠出するのは稀だったが、冬になるとスキーに、夏になるいつも乗っている車にキャンプ道具を詰め込み、キャンプ場へ向かった。父親がボーイスカウト経験を活かしてテントの設営を主導し、兄と自分と妹も出来る範囲で手伝う。料理はコンロではなく焚火でする。ライターで新聞紙に火をつけ、薪をくべる。たったそれだけで火をつける親がかっこよかった。炎が安定すると、落ちている木でホウキなども作った。虫かごの中にはバッタが収まっている。蚊取り線香は必需品で、常に稼働させた。
晩御飯はカレーが多かった。人参、じゃがいも、玉ねぎを切り、米も炊く。米の炊きあがる音に耳を傾き、匂いが食欲をそそる。キャンプに来ると、普段重要視していない聴覚と嗅覚が活躍する気がした。兄弟で競うように「おかわり!」と何杯もカレーを食べる。そして動くのもおっくうになる位満腹になって寝転がる。夏だから暑かったはずなのに、夜のテントの中は不思議と暑い記憶はない。川の字になってみんなで眠りにつく。
今と違ってスマホもないし、自由に使えるお金もなかったし、ジュースを飲むにしても親に「飲んでいいかな?」と確認しないといけなかったけど、僕らは十分幸せであった。子供の頃、しんどい経験もしていたけど、ふと思い出すのはこういう楽しい時間。それが僕にとってはキャンプで家族で過ごした日だ。こうやって書いていると久しぶりにキャンプをしたくなってきた。さあ、久しぶりに車に道具を載せて行こうかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?