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たかがボタン、されどボタン。

「細部にこそ神は宿る」とはよく言ったもので、
ライフワークとして物事の「奥行き」について考える日々を過ごしていると、本当に小さなもの、例えば時計の針の精密さにまで感動するようになってきました。

この針はどこの工場で作られているんだろう?
なぜ時計の針を作ることにしたんだろう?
他には何を作っているんだろう?
そういえば、時計っていつ発明されたんだっけ?

・・・などなど、知りたいことや思うことが、溢れ出てくる出てくる。
もはや病的とも言われかねないので、あまり突っ込んで考えすぎないようにもしています。

それはさておき、実際に”モノが良い”と言われるものは細部にまで作り手や職人のこだわりが詰まっているもので、目を凝らしてみても、粗がなく美しいですよね。

そもそも、形を成すものはどんなものでも、小さな素材が集まってできているわけで、その素材は一部であり、全てでもあります。
服などでは生地が綿なのか、リネンなのか、もしくはポリエステルなのか、といった観点から意識されることも多いですが、ものを形作る素材が多種多様であることは服に限ったことではありません。

さて、「素材」というものに着目したのは、ある本を見つけてインスパイアされたためです。それが、こちら⇩

またニッチなところを…を思いつつ手に取ったのですが、
本を開くと、そこには色彩豊かで、細密な技巧が凝らされた、めくるめく魅惑のボタンの世界が広がっていました。率直に、美しい!!

ボタンの歴史は古く、正確な記録はないようですが、先史時代にも遡る可能性があるそうです。
そして、ボタンの黄金期と言われるのが18世紀〜20世紀初頭頃まで。
この時期には、ボタンの素材は様々、七宝やメタル、貝、ガラス、べっこうなど、それぞれ素材の個性を生かしたデザインが多く出回っていたそうです。

第二次世界大戦以降になると、現代においては主流であり、最も馴染み深い合成プラスチック製のボタンが市場では重宝されるようになりました。合成プラスチック製のボタンは何より低価格だったためです。

今となっては装飾性の高いボタンにお目にかかる機会は貴重です。
大量生産・大量消費の時代の波が、ボタンという小さなものへも愛着を見出す文化を飲み込んでしまったように感じます。愛すべき心意気、なんだかとてももったいない。

さて、ここまでくると、ボタンを「服の一部」として扱うのは恐れ多い気がしてきました。素材ではあるけれども、ボタンそれそのものとしても立派な完成品ですよね。

ボタンの黄金期に作られたものはアンティークショップなどで手に入ることもあるようですし、数は少なくなってもボタンを作り続ける職人さんはまだまだいらっしゃいます。

どこかでお気に入りのボタンを見つけたら、シンプルなシャツのボタンと付け替えてみるのも良いですよね!その一手間で、今持っている服が自分だけの仕様に、そして、歴史すら感じる一着になるかもしれません。

たかがボタン、されどボタン。
日々の暮らしで出会うものたちの「奥行き」に思いを寄せるきっかけになれば嬉しいです。

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Akari Miyama
OKUYUKI という屋号のもと今春ライフスタイルコーディネーターとして出発しました*・゚* before>書店 図書館 出版社 日々当たり前に受け入れている物事の背景、そこに潜む課題に少しの関心や好奇心を持ち「知ろうとすること」を大切にするライフスタイルを発信しています!

**思いの丈はこちらの記事に書いております**


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