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独立のための⑤:事業計画書をつくる~5年先を考える~

みなさまこんにちは。
今回から事業計画を具体的に作っていきます。
本日やるのは下の太文字部分です。
今回は基本的には調べ物のターンになります。
それでは早速やっていきましょう。

①5年後の売上と所得を決める
②ネギの相場、単収、収穫時期を調べる

③ネギをどれくらい売れば①の売上を達成できるのか計算する
④どのくらいの面積をやればよいのか計算する
⑤作付け計画を作成する
⑥施肥設計をする
⑦どれくらいの経費が掛かるのかを計算する
⑧5年目の事業計画を月単位で試算する
⑨所得が①で設定したものになるように調整する
⑩最初に必要な農機類を整理する
⑪1年目から4年目のストーリーを作る
⑫年目から4年目の経費を計算する
⑬1年目から5年目までのキャッシュフローを試算する

①5年後の売上と所得を決める

ここに関しては、特に深い根拠は必要ないです。
ここで大事なのは自分ががどれくらいの売上を上げたいのかであり、どれくらいの所得を上げる必要があるのかということです。
ここでイメージした金額に合わせてまずは数字の計算をしていきその後、実情に合わせて調整していくことになります。
ちなみにここでいう所得とは「売上-経費」であり、簡単に言うと「儲け」のことになります。

私の場合、5年後の売上1000万円所得300万をまず最初に設定しました。


その根拠としては、農業の先輩や今の会社の社長が
「100a当たりの年間売り上げは1000万円が基本だよね。」
と言っていたからという理由がベースです。
私は今までの経験上、ネギの栽培管理を一人でやる場合の最大値は200aほどだと思っており、5年後には1人で200aまで広げようと思っていました。
200aだと単純計算で2000万円ですがなんだかんだでこれの半分くらいになるだろうというあいまいな理由で目標売上を1000万円と設定しました。
所得に関しては単純に利益率は30%くらいだろうという計算で300万円にしただけです。

これで何となく目指すべき数字が出てきました。
では次に栽培する野菜について調べていきましょう。

②ネギの相場、単収、経費、収穫時期を調べる

ここらでネギに関する情報を集めていきましょう。
これは基本的にはインターネットを使用して情報を集めていきました。
この情報を集める際に注意していた点は公共機関や種苗会社が提示している営農指標や統計を利用するということです。
ネットの世界には根拠のある数字から眉唾物の情報までありとあらゆる情報があります。それを見分けるすべは我々のような初心者にはありません。
ですので、情報に信ぴょう性が置ける見解を参考にします。

ただし、公共機関の資料であっても情報を鵜呑みにすることは絶対にしてはいけません。これを肝に銘じておいてください!

この記事を書くにあたりちょうどよいサイトがあったので共有しておきます。
「全国の農業情報ポータルサイト」

私は群馬県で就農にするのでこの中の「ぐんまアグリネット」を利用しました。

その中でも「生産者向け情報」の情報を利用しました。この生産者向け情報の中には経営指標という表がありその情報をもとに相場・単収計算します。
この画像にリンクをつけましたのでクリックで飛べます。

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この表の見方ですがまずこれは10aに対しての表だということを理解しておいてください。単位の付け方や計算式がなく使いづらいですが仕方ないですね。
それを踏まえ各項目の意味を解説します。

作目→栽培する野菜のこと
作型→収穫時期と栽培方法
収量→10aあたりの収穫量(kg/10a)
所得→10aあたりの儲け(千円/10a)
所得率→売上に対しての儲けの割合(%)
単価→1kg当たりの販売価格(円/kg)
単位当たり生産費→1kgあたりにかかる費用(円/kg)
↑に関しては計算式が不明なので参考にはできません(県に確認したが不明)
1時間当たり所得→1時間働いて儲けになる金額(円/h)
労働時間→播種から収穫・調整までにかかる延作業時間(h/10a)

こんな感じです。単位に関しては誤解が生まれそうな表記だったので少し細かい書き方に変えました。
この統計は群馬県の群馬県農政部技術支援課が発表した統計で、各作目の中以上の実力がある生産者の聞き取り調査によるものだそうです。(筆者の電話確認への回答)
ですので、新規就農者である私が初年度からこの数字を出すことは不可能でしょう。

この中で参考にするのは「ネギ/秋冬どり」にします。
必要になる項目は以下の通りです。

収量→4000kg/10a
単価→266円/kg
この情報があればある程度十分です。
ただ、少し足りないのでこの数字から少し計算してひとつ項目を増やしましょう。

10aあたりの売上→1,064,000円/10a【収量×単価】

この新たに足した項目はつまり10aあたり約106万円の売上になるということです。
ですが先ほども書きましたようにあくまでもこれは中の上レベルの農家です。
新規就農者は先5年で収量の2/3を達成できれば優秀だと思います。

最後にネギの栽培時期を確認しておきましょう
今回参考にしたのは「サカタのタネ」のホームページです。

種苗会社のホームページには品種ごとに栽培歴がのっていますのでそれを参考にします。今回は「夏扇4号」と「春扇」の2品種を参考にしました。

夏扇4号の栽培歴

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春扇の栽培歴

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この2品種は夏から晩冬までの「夏扇4号」と春収穫の「春扇」の組み合わせです。
これを見る限り、夏扇4号で7月~翌3月までの収穫、春扇で3月4月、トンネル栽培で5月6月の収穫ができるようです。
つまりやりようによっては周年出荷が可能ということになります。

ここで考えるポイントは、5月6月のトンネル栽培をするかどうかという点になります。基本的にトンネル無しで栽培すると4月の後半あたりからネギのトウ立ち(ネギ坊主)が発生し商品にならなくなります。ですが、ビニールトンネルを使用することにより収穫可能にすることができます。
当然、この時期のネギは単価が上がります。ですがそれに伴う資材代や生産経費も上がります。つまり栽培できればペイできる可能性は高いがその分お金が多く必要ということになります。

私はというと、少なくとも経営が安定するまではこのトンネル栽培はやりません。新規就農者の挑戦としては非常にリスクが大きく不安があるからです。栽培技術や経営が安定してきてから始めても遅くはないと思います。

ここでもうひとつ確認するポイントは、定植から収穫までどれ位の期間を必要とするのかです。
夏扇4号の場合は夏秋どりで5ヶ月、秋冬どりで7ヶ月
春扇の場合は春どりで8ヶ月
になります。
この数字は次回、圃場回転数という考え方で使用します。


大変長くなりましたがここらでいったん終了とします。
次回からは計算が多くなってくるのでお覚悟願います(笑)
では皆様さようなら。

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