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変わるための体力も時間もない。なら、作るために今すぐ「ムダ」を特定しよう。

新型コロナウィルスにより私たちや企業を取り巻く環境は急速に変化しています。
5月に緊急事態宣言が解除されてから、わずか2カ月足らずで過去最高の新規感染者数をたたき出しました。感染の第二派の最中にあることは明白です。

予定されていたGo To Travelキャンペーンが感染の第二派により東京が対象から外れてしまいました。
都内の観光名所、飲食店やホテルは、都民を対象にした特別なキャンペーン企画を考案する、三密を避けるために混雑情報を発信など、柔軟かつ迅速な方向転換が求められました。

予測ができない、不確実性の高い今、変化に迅速に変わることが出来なければ、変化の波に飲み込まれ淘汰されていきます。
それは企業に関わらず、個人も同じです。

企業は刻一刻と変わる状況変化に対し、企画やビジネスモデルの見直し、迅速な対応や取り組みを求められています。
個人も柔軟に対応していき、この世の中を生き残るために代わることは求められています。

しかし、変わるためにはそれを実行するリソースが必要です。
企業はそれが「人」にあたり、私たちは「時間」が該当します。

これらを捻出するためには、企業は今の仕事のやり方から「ムダ」を特定し、変わるための余力を生み出す必要があります。
これは1日の約1/3を仕事に費やしている私たちにとっても意味があることです。

仕事の「ムダ」を削減することは、楽に業務をこなし、自身が変わるための体力や時間を作ることに繋がります。
とはいうものの、長年取り組んでいる中で沁みついた業務や習慣など「当たり前」と思っていることに対し疑問を持つのはとても困難ですよね。

そのために、「ムダ」とは何か。
「ムダ」を特定するための質問をご紹介します。

そもそも「ムダ」とは何か。どうやって見つけることが出来るのか。

「ムダ」とは、”付加価値を生まないモノやコト”と定義します。
業務における付加価値とは「お客様がお金を払う理由となっている業務」のことを指します。

業務に潜むムダを見つけるのに便利な「7つのムダ」という観点があります。
文字通り7つの要素で構成され、いずれも業務の品質やスピード、生産性を低下させる要因になりうるものです。

この7つのムダは元々、トヨタ生産方式で使われていた製造業寄りの言葉ですが、今ではオフィスワークに適用されるケースも多く、改善の事例が多数あります。
それでは7つのムダを一つずつ詳しく見ていきましょう。

1. 移動のムダ:その移動は必要?移動時間を減らせないか? 

ある場所から別の場所にモノや人が移動したりすることは基本的に、付加価値を生まないのでムダとされています。例えば、作成した書類を会社の別のオフィスに郵送するなど、今の業務遂行上必要なことであったとしても「移動のムダ」として捉えます。
「業務遂行上必要」というのは、今までの仕組みやルールを前提とした認識です。その前提から根本的に見直し、移動を無くす、または、移動時間を減らせないか考えることで改善の余地と方法を考えます。

2. 在庫のムダ:その資料やデータ、本当に必要? 

共有フォルダに中途半端な状態で放置されている資料、個人の作成ファイル、古いマニュアルなどのファイルはありませんか?もしも今、その資料が存在する理由を説明できないようであれば、要注意です。
不要なファイルやデータは、目的の資料を探す際の妨げになり得ます。探すためにムダな時間を浪費し、付加価値を生む仕事の妨げになり得る「在庫のムダ」として、対処を検討することをお勧めします。

3. 動作のムダ:作業完了まで何個のシステムにログインし、何回入力しましたか?

一連の作業をするために複数のシステムやアプリケーションへのログインとログアウトを繰り返し行ったり、同じような情報を何度も入力したりしていませんか?チャットで10分かけてやり取りしていること、実は電話で会話したら1分で終わりませんか?システムウィンドウが何個も開いていたら、要注意です。
このように作業効率を低下させうる如何なる動作について「動作のムダ」として捉えます。面倒だと感じる動作の発生原因を突き止めて対処することが望まれます。

4. 手待ちのムダ:相手の作業待ちで作業待ちが発生していないか?

上司の決裁承認待ち、部下からの報告や作業完了待ち、同僚からの情報提供待ち…。相手のレスポンス待ちで作業が進まないことはありませんか?
待っている間、別の作業をしていたりすると、一見「ムダ」な業務は内容に思われます。ですが、待ち時間が発生することにより、お客様への価値提供まで時間を伸ばす要因になり得ます。
そのため、できれば手待ちのムダを見つけても他の仕事で穴埋めしようとするのではなく、そもそもの「手待ちのムダ」をどうやってなくすかを考えるとよいでしょう。

5. 加工のムダ:その承認や加工、労力に見合っていますか?

明らかに現場の方がお客様の要望に対し早く適切な判断ができるものについて本社の承認を求めたり、提案用のプレゼン資料に過剰な装飾やアニメーションをつけたりしていませんか?
品質を追い求めるあまり、お客様が価値を感じているポイントではないところに労力を費やし、コストを上げる要因になりえます。コストに見合った合理的な品質を保つために必要でないことは「加工のムダ」に当たるのではないかと疑い、止めても支障がないかを検討しましょう。

6. 作りすぎのムダ:余分な機能や資料を作っていませんか?

自分の主観でよかれと思い機能を追加したり、サービスの一環として本来月次で十分なレポートを週次で作成・送付していませんか?
お客様にとって「別にあってもなくてもどちらでも良い」、「煩わしい」と感じるものを提供したり、必要とされているものでも過度な頻度で提供したりすることは、顧客価値にプラスにならない「作りすぎのムダ」として認識し、見直すことが必要です。

7. 欠陥のムダ:確認・連携ミスによる作業のやり直しが起こってませんか?

入力・計算ミスなどによる作業のやり直し、目的や要求をしっかりと把握してなかったために求められているアウトプットを出せずやり直しになってしまった経験はありませんか?
ミスの発見が遅れるほど、納期への影響度が大きくなります。たとえ発生してすぐには顧客への影響がなかったとしても、価値提供までのリードタイムに影響したり、生産性の大幅な低下を招くことが多々あります。作業を可視化した際に「手戻り」が多いところなどは「欠陥のムダ」が発生していると見なし、ミスの早期発見やミスを防ぐための対策をすることが必要です。


仕事だけでなく、自分の習慣の「ムダ」もなくそう

「7つのムダ」の問いをして、思い当たることはありましたか?この7つのムダ、仕事に限らず、「仕事以外」の家事や習慣を改善することにも役立てることが出来ます。

洗濯ものをハンガーにかけ、干して、ハンガーから外して、畳んで、収納する。一見当たり前の動作に見えますが、本当にそうでしょうか?
「ハンガーから外す」「畳む」といった動作は、「ハンガーのまま収納する」と変えれば一気に2つの動作を短縮することが出来ます。
ハンガーのまま収納するスペースがないから「できない」とあきらめてしまえば、変わることは出来ません。

今ある環境や前提を根本から見直すために、「どうせ〇〇だからできない」と諦めるのではなく、一旦どこに「ムダ」と呼べる面倒くさいと感じる習慣が潜んでいるのか考えましょう。

「ハンガーのまま収納すれ短縮できる。ハンガーをかけるスペースを突っ張り棒で作ることが出来れば実現できる。」と、実は簡単に改善できるかもしれません。

「ムダ」を無くすことで、面倒くさいこと・やりたくないことから自分を解放し、自分の人生を豊かにするための「変化」を促す後押しになれば幸いです。

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