アフターコロナ社会で生き残るため挑戦し、リスクと向き合うための3つの質問

こんにちは、働き方コンサルタントの中村まいです。
クライアント企業と感染防衛や社会課題を踏まえた新しい働き方への取り組みを支援しています。

新型コロナウィルスを契機にSDGｓやSociety5.0で定義されている目標を追求など、企業に求められるものは変化しており、前例・事例ありきで取り組みを実行することは企業存続の脅威になり得ます。
不安を払拭し、新しい取り組みを促す3段階のリスクへの備え方をご紹介します。

アフターコロナ社会で前例や事例判断材料にすることの危険性

新型コロナウィルスをきっかけに世の中の価値観が大きく変化しました。

・ 人の移動の自由が保障されていた社会から制限される社会
・ オフラインからオンラインを中心としたコミュニケーション
・ 効率性やコストパフォーマンスより感染防止が優先される
・ オフィスではなく、各自分散して仕事を前提とする働き方

など、このように企業を取り巻く「環境」、「価値観」、「働き方」などの変化に伴い、企業は新たな取り組みを実行することが求められるようになりました。

しかし、新たな取り組みは過去前例のない事柄が多く、却下または決断を先送りにされるケースを多く目にしてきました。

企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化している中、事例が出てくるのを待つと、先行者利益を獲得しそびれるだけでなく、行動が後手に回ることで企業が取れる選択肢が狭まってしまいます。
そして、気が付いた時には

身動きが取れず立て直すのが困難な状況に陥りかねません。

なぜ事例や前例ありきで判断するのか

新しい取り組みへ挑戦しないことへのリスクを理解したとしても、未知の領域に足を踏み入れるのには勇気がいります。

そもそも、なぜ人は前例や事例を基に判断しがちなのでしょうか？
それは私たちの心は、得より損に敏感であり、失敗するリスクを恐れ回避するための判断をしてしまうからです。
このリスクを避けるための意思決定を「プロスペクト理論」と行動経済学で呼ばれています。

では、失敗への不安を払拭し、新しい取り組みを推進するにはどうすればよいのでしょうか？
そのためには、失敗するリスクとその対応方針を決め、備えることが有効です。

具体的には、取り組みの実行に関するリスクを洗い出し、リスクが顕在化する可能性と顕在化した際のダメージの大きさを予測した上で、リスクの対応方針を決め、リスクに備えると良いでしょう。

リスクへの備えるための3つの質問を

リモートワーク促進のため、ノートパソコンを支給する

という取り組みを例にご紹介します。

1. リスク発生を防ぐにはどうするか

ノートパソコン支給にあたり考えられるリスクは、データの流出、ノートパソコン本体の紛失・盗難、社員のサボりによる生産性低下などか考えられます。
中でも「データ流出」が発生する可能性が高く、損害が大きいことが想定されます。

データ流出の場合、データをクラウド環境に保存し、本体に残さないようにする、USBなどの外部記憶媒体にデータできないようにする、などが防止策として考えられます。

2. リスクが発生した際、ダメージを抑えるにはどうするか

次に万が一、リスクが発生した場合、どうダメージを抑えるか考えます。
この場合、データが外部に流出しまっても、どうすれば、損害を抑えられるかを考案します。

例えば、データのやりとり暗号化する、データを誤送信しても、送信を取り消せるツールを使用するなど、事前に損害を抑える対応策を考えると良いでしょう。

3. 取り組みの撤退ラインはどこか

リスク発生した際、徹底的な原因究明、再防止策の策定し、実行するのは当然です。
ですが、発生頻度や顧客の信頼や売上への損害の大きさを考慮した上で、取り組みの撤退ラインを決めることが重要です。

「これだけ時間をかけたから…」
「これだけ皆と労力をかけてやったか…」
「これだけお金をかけたから…」

と、既に使ってしまった時間、労力、お金など、回収できない埋没費用（サンクコスト）に引きづられ、更なる損失を生んでしまってはいけません。
松下幸之助が言うように

”槍の名人は、突くときよりも引く時のほうが早いという。
商売でも引くべきには躊躇しないことが肝要。”
　　　　　　　　　　　　　　　ー 松下 幸之助

撤退に躊躇しないために、あらかじめ撤退ラインを決めておくことが大切です。

今回の「データ流出」の場合、
「1年以内に顧客データが3件流出した場合リモートワークを中止し、社内デスクトップ作業のみにする」
など、決めるとよいでしょう。

今後の社会と私たちの生き方

新型コロナウィルスを契機に感染症への防衛体制だけでなく、経済の発展や社会的課題の解決を目指すSociety5.0、国際社会共通目標であるSDGsなど企業に求められるものは変化しており、その多くは前例や事例がない事柄です。
働き方や価値観など前提が大きく変わり、その変化に迅速に対応するためには前例や事例ありきで企業の取り組みを判断するのでは遅すぎます。
リスクへの備えを明らかにすることで、挑戦への不安を払拭し、変化の荒波に適応することが重要だと考えます。

それは、企業だけでなく、私たちも同じです。
新型コロナウィルスによる経済低迷により、多くの企業が倒産しており、自分も仕事がなくなるのではないかと不安な方も沢山いるのではないでしょうか。

転職、資格勉強、副業など選択肢は多くあり、どれを選べばいいか分からない。
更に今の状況が悪化するくらいなら現状維持をしよう。
きっとまた元に戻れば大丈夫。

しかし、「元」にはもう戻れません。
AI、IoT、５G、ドローンなどの技術革新。
テレワークやフレックス勤務などの働き方の変化。
変化は日々起こっており、進んでしまった時計の針を巻き戻すことは出来ないのです。

もしも、あなたが新しいことに挑戦することを恐れているのであれば、
本記事で紹介した失敗へのリスクに備えるための3つの質問を問いかけてみてください。
変わるための一歩を踏み出すための後押しになれば幸いです。