泣きたくなるほど感情だだもれのエッセイを育児の隙間時間にちょっとずつ執筆。子どもたちや家族、かけがえのない友人たちが教えてくれること、ずっと考えてきた熟成思考、あれ?仕事ってなん…
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2019年11月の記事一覧
30%全力で青と白の間の空色をいく
「残念なお知らせです」
会うなり佐藤先輩は、がさりともっていたビニール袋を持ち上げてみせた。袋には、私の好きなシュークリーム屋さんの箱と紙袋。
「え、うれしいお知らせではなくて?」
先輩と会うときはいつもこうだ。
先輩はそんなにシュークリーム好きじゃないのに、シュークリーム好きの私のためだけに、こうして食べきれないほどおみやげとして買ってくる。しかも、天邪鬼なことをいって手渡すのがお決まり
マイナス思考の幸福論 【#幸せをテーマに書いてみよう】
その休日は、よく晴れていた。
明るい朝陽がリビングダイニングいっぱいに心地よく充満している。
夫と子どもたちはいつもよりゆっくり寝ていて、私はおだやかな気持ちでキッチンに立つ。手でちぎったキャベツと鶏肉のそぼろがはいった透明なスープにふうわりと卵を落としてスープをつくった。
みんなが起きた頃、ごりごりとお気に入りの珈琲豆を挽きはじめる。あつあつのお湯を注ぐと、香ばしい香りが部屋に立ち込めて、
子どもの夢はとっぴょうしもない
わが家のトイレは、洗面所の向かい側にある。
3歳の二男は、まだひとりでトイレができない。
大きい方がしたくなると、子ども用の便座をひっつかみ、
「じろちゃん、じゅんびするからね、かっか(母)はこないで!」
ときびしい顔でさけび、トイレに直行する。
しばらくがんばってから、
「ちょっときてぇ〜」
と私を呼ぶ。まだ全部できっていないけれど、長時間ひとりでトイレにこもるのはこわいらしい。