見出し画像

#021 自分自身をできるだけコントロールするには--理系各員に捧ぐ

本シリーズは、①勉強頑張ったら選択肢が増える、②理系かつ高成績の方が選択肢は多い、③選択肢が多いと良い会社に入れて幸せになれるというよくあるお話の②まで必死で頑張ったものの、③は半分嘘である。ということに気付いて四苦八苦した僕が、理系が気付かぬうちに罠にハマらないために、考えて損のないだろうトピックを書いていくものである。

#008 自分の性格を書き換える方法--理系各員に捧ぐでは、僕たちの今日の性格を作り出す元になる「記憶」の性質を利用して、逆に自分の性格を書き換える方法を紹介した。

このプロセスは、自分自身の体験を振り返ってまとめたものだが、先日、手段は少々違えど、自分自身を変えることを目的にしたテクニックが存在することを知った。

最近話題のコーチングの基礎にもなっている、神経言語プログラミング(NLP:Neuro-Linguistic Programming)だ。

このことをネットで知って、早速NLPの原本とも言われるリチャード・バンドラー先生の『新装版 神経言語プログラミング-頭脳をつかえば自分も変わる-』を購入した。

本稿では、この本の内容と僕自身の実践を合わせて、自分自身をできるだけコントロールするためのヒントを紹介したい。

人間の行動のベクトルは、信念と思い込みの関数

人間の行動は「信念」あるいは「思いこみ」とよばれる、いささかやっかいなものを中心に組み立てられていると見ることができます。
(リチャード・バンドラー 著、酒井一夫 訳、『新装版 神経言語プログラミング-頭脳をつかえば自分も変わる-』、東京図書、2019)

僕は人の記憶の性質から、人間は論理関係の集合体だと見ている。この本で言う「信念」や「思いこみ」は、僕たちを形作る論理の根本にあたるものだ。数学で例えると、公理と言えるだろう。

信念は、善良な人を人殺しにしてしまうほど強力なものだと、リチャード先生は言う。

ただ、信念は生まれつき持っているものでないとも言うのである。つまり、人生のどこかで後天的に身に付けるのが、僕たちの行動の根源にある「信念」「思いこみ」だ。

後天的に身に付けたんだから、変えることができる。

信念を変える方法 1

信念を変える方法は、2つある。

1つ目として、僕のオリジナルの方を紹介する。#008で紹介したものをワークスタイルにしたものになる。

まず、自分が変えたいと思っている信念を、ノートに書く。これは何個書いてもいい。

次に、その信念のせいで起こっている出来事を、不都合なことも都合のいいことも関係無しに書いていく。書き方としては、マインドマップのようなものをイメージして欲しい。信念から線で出来事をつないでいく。

この信念があるから→自分はこう考えて→こういう行動をとって→この結果になる

こんな流れを、信念から何本か書いていく。これが、論理の集合体である自分自身を分析する作業になる。

これが終わったら次は、さっき生やした流れの最終地点、つまり結果をどう変えたいのかを書く。次にその結果になるには、どんな行動をとったらいいかを書き、その行動をとる自分の考えを書き、信念の修正案を考える。

この結果が欲しい→みんなハッピーになる行動はこれだ→この行動をするには自分ならこう考えられそう→信念はどんな言葉になる?

さっきの逆ステップを辿るのだ。信念が後天的に身についたものなら、さらに後から身につけ直せばいい。

歳を取ると「自分のキャラ」を自分で破れなくなる。自分のキャラを変えられないのは、周りの人に急に変わったと思われるのが、なんだか嫌だからである。でも、他人はそれほど自分に興味はない。勝手に変えればいい。

さっきの作業を、ひとつの信念あたり、複数エピソード。さらに複数の信念に関してやれば、自分らしさを保ったまま、うまく信念を変える変化のスタートポイントが見えてくるはずである。

あとは、そのポイントからゆっくり実生活を変えていけばいい。

信念を変える方法 2

次に本から、リチャード先生の方法を紹介する。

信念を思い浮かべることはさっきと一緒だが、それとは別に疑惑も思い浮かべる。疑惑とは

本当かもしれないし、そうでないかもしれない、とにかくわからないという事柄
(リチャード・バンドラー 著、酒井一夫 訳、『新装版 神経言語プログラミング-頭脳をつかえば自分も変わる-』、東京図書、2019)

だという。

信念と疑惑の両者を思い浮かべたら、「信念の情景」と「疑惑の情景」を脳内に作る。つまり、2つの概念を映像として、脳内に作り出すのだ。

そして両者を注意深く観察して、それぞれの特徴とその違いをノートに書き出していく。

本書では信念と疑惑のそれぞれにこんなイメージが紹介されていた。

信念
大きい/明るい/くっきりしている/安定している/視野の中心にある/枠付き/背景が小さい(信念という映像のフレームが視野の大部分を占めていて、その奥の背景が見えない)
疑惑
小さい/暗い/ぼやけている/点滅している/視野の右上隅のほうにある/枠なし/背景が大きい

次に、この性質の表を参考にして、信念の情景をひとつずつ変えてみる。

まず、大きかった信念の情景を、小さくしてみる。このとき、自分の中で信念だと思っていたものが揺らいだ感覚があるか、それとも変わらず信念のままだと感じるか、自分の印象をメモしておく。

メモが終わったら、大きさを元に戻して、明るさを変えてみる。明るかった画面を暗くして、また印象が変わるか確かめる。

この手順を繰り返すことで、自分の信念というものは、「大きさ」か「明るさ」か「位置」か、どれが鍵で出来上がっているのかを確かめる。この鍵の部分を変えることで、信念を疑惑に変えることができる。

鍵を確認したら、こうなりたい、という信念を肯定表現で、さらに目標に至る過程を対象に設定する。本書での例えは、「神経言語プログラミングをマスターする」ではなく、「マスターするために集中して学習できる」といった表現を使うように勧められている。

新しい信念を設定したら、それの社会性をチェックした後、以下の手順で新しい信念を自分に植え付ける。

古い信念を鍵を使って疑惑に変化させる→今まで古い信念があったところが空いていると感じる状態を作る→空いた空間に新しい信念をはめ込む

これで、信念の置き換えは完了した。あとは新しい信念を様々な角度からチェックして、自分の人格の分裂等の問題が起きないかをチェックして完了だ。

さらに詳細な方法は、本に載っている。

まとめ

行動は信念から生まれる。ただ、信念は後天的に身についたものなので、さらに後から変えることもできる。この性質を使って、自分の行動をコントロールするための方法を紹介した。

これまで自分に馴染んできた信念を変えるときは、注意深くする必要がある。急激に無理にかえるのはストレスになるからだ。あくまでゆっくり、自分ができる範囲を確かめながら変える必要がある。

変えるときは年単位で変えるくらいの感覚が健全なように思う。何事もバランスを保って無理なく行う方が良い。

ではまた次回も、よろしくお願いします。


※トップフォトは、ぱくたそさまを利用しています。
ぱくたそ(www.pakutaso.com)

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?