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放課後まほらbo第五話「学習方略」が意欲を支える

【第五話】
■オレ流という学習方略
■「学び方」を学ぶ
■学び方と自己効力感
放課後まほらboでは、子どもの自立した学習を目指して自己調整学習の力をつけるため、「学び方」を身に付けることに拘ります。


■オレ流という学習方略
前回は、動機付けについて考えてみました。自分で勉強を進めていくためには学習意欲がないとはじまりません。ただ意欲があれば全てうまくいくのかというと、そうもいかない。やる気があるのに、どうやればいいのかわからなければ途端に頓挫してしまいます。やみ雲に始めても挫折を繰り返し、そのうち意欲も減退するでしょう。昨年放送されたNHKの番組で、落合博満さんと西武ライオンズ山川穂高選手の対談を見たのですが、印象深かったのは、効果的な打ち方を身に付けるには、自分自身が腑に落ちる方法を探究すること、現役の間はいつどんな時も考え抜き工夫すること、そして悩んだら「暗闇の素振り」をするという落合さん自身の現役時代のお話が聞けたことでした。オレ流には、工夫し考え抜かれた根拠と、豊富な練習量があり、それを支えた一切の外からの情報を遮断した中で「自分の身体との対話」を重要視したというのです。  

オレ流落合

●ロッテオリオンズ時代。3冠王3回の日本記録保持者

■「学び方」を学ぶ
 オレ流の落合さんが言うように、自分に合った打撃方法や勉強の仕方などは、各自で工夫し体得しなければならないものだというのは、その通りでしょう。その意味でも、学校ではこれまで学び方に焦点を当てることはあまりなかったのだと思います。あっても探求学習のような「調べ方」「まとめ方」「発表の仕方」のようなことであって、普段の学習法は子どもたち自身に任されているのが実情ではないでしょうか。コロナ禍で明らかになったのは、この部分なのだと思われます。宿題が出されないと勉強ができない、プリントを必要とする。ある大学生の告白ですが、小学校から某有名教室のプリント学習で先取りをして自信のあった数学が、高校1年生でそれまでの先取りのストックがなくなり、その途端、そこからどのように勉強をすすめたらいいのかさえ分からなくなり途方に暮れ、成績も散々になった体験を話してくれました。復活するのに1年以上を必要としたそうです。それではどのような「学び方」が必要だったのでしょうか。

■学び方と自己効力感
落合さんの対談にヒントがありました。落合さんのいうオレ流とは、自分勝手にやることではありませんでした。「色んな人の話を聴くのはいい、鵜呑みにするなよ。合わないと思ったら否定するのではなく少し横に置いておけばいい。」そして「自分の腑に落ちたことが一番なんだ」と、山川選手に語り掛けています。つまり「これは効果が上がるいい方法だ」と、思える効力感が重要で、言われたからやっているようではダメだということです。
鵜呑みにするなというのは、教わったことを咀嚼し、自分の考えとして持つことを大切にするようにということを意味します。その上で、自分の考え方として採用しないものは、否定するのではなく別の知識として持っておけということでしょう。このように対談の内容を読み解いていくことで導かれたこれら「知識」や「考え方」とは、以前紹介した市川先生の情報処理モデルを彷彿とさせる内容ではありませんか。落合さんはオレ流職人のように言われていますが、科学的アプローチで日々の練習を積んでおられたようです。そして最後の「暗闇での素振り」はまさに…
次回は、メタ認知について。
以上。

(みやけ もとゆき/もっちゃん)