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不完全ベタオリを想定した配牌降りと役牌1鳴き判断

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん

※重要な追記
本記事を書いた後に、シミュレーションで重要な設定ミスが発覚しました。
・別のテーマで設定した「自分門前聴牌時リーチ禁止」の設定を削除し忘れていた

そこで、再度シミュレーションのデータを取り直して、データ差し替えを行いました。

前回2記事にも波及する設定ミスなので、本記事の有料部分で書いた内容をそのまま前回記事にも追記しました。よって、前回2記事を購入していただいた方は、本記事の有料部分購入は必要ありません

1.はじめに

こちらの記事の続き(というか改良版)です。

前回は、配牌降りとか安くて遠い役牌1鳴きをする際、降りるときに100%放銃を回避できる前提にしていました。今回は降りる選択をした時でも安牌がなくなるなどして放銃の可能性がわずかにある前提で計算しなおしてみます。

2.不完全ベタオリの計算方法について

まず、不完全ベタオリをやる前に、シミュレーション上で完全ベタオリをした場合(通常のベタオリの挙動をするが、自分の切り順での放銃の可能性を強制的に0にする)が下表になります。

シミュレーション上完全ベタオリ
牌譜解析上完全ベタオリ

前回の牌譜解析ベースの完全ベタオリ局収支(全体データから、自分のアガリ・放銃・聴牌流局・リーチになった局を除いた)と比べて、-1032点→-1155点と、同じ完全ベタオリ前提にもかかわらず120点ほど局収支が低くなっています。

細かく見ると、不聴流局率と不聴流局時平均失点の増加が局収支悪化の一因になってそうです。

理由としては、牌譜解析ベースについて、結果的に自分のアガリ・放銃・聴牌流局・リーチになった局を除いただけで、結果的にアガリや聴牌流局にはならなかったけど、自分が副露などをして他家に攻撃を抑制するような圧がかかってるデータが含まれるため(牌譜解析側が不聴流局率と聴牌人数を過小に評価している)、と考えられます。

前回牌譜解析のデータのフィルターのかけ方によるゆがみがある点と、通常進行とか役牌1鳴き判断と同じシミュレーションの土俵で比較するのが望ましいと考えられる点より、配牌降りとかスルー降りについて前回の牌譜解析データは破棄して、今回のシミュレーションデータを使うことにします。

次に、不完全ベタオリについて考えてみます。

他家からリーチとか多副露あるとか巡目が深い状況なら、従前どおりのベタオリの手法(この瞬間一番危険度が低い牌を切る)で問題ないと思いますが、巡目が早くて他家が非リーチ門前とか副露数が少ない状況だと、先に安全牌を消費してしまうと、後でもっと激しい他家攻撃が来た時に安牌を切れなくなるという問題があります。そこで、聴牌率が低い段階では先に将来危険牌から切るように以下のようなアルゴリズムで、ベタオリの挙動を修正させます。

〇他家にリーチがいる、または他家3人の副露数合計が2以上
→この瞬間一番危険度指数*1が低い牌を切る

〇他家にリーチがおらず、他家3人の副露数合計が1
→各牌の危険度指数について、「最大危険度指数閾値」(巡目によって変わる)を超えない中で、最も危険度指数が高い牌を切る(すべての牌の危険度指数が「最大危険度指数閾値」を超える場合、危険度指数が一番低い牌を切る)
 ・6巡目以前の「最大危険度指数閾値」:50点
 ・7~9巡目の「最大危険度指数閾値」:25点
 ・10巡目以降の「最大危険度指数閾値」:0点

〇他家が全員非リーチ門前
→各牌の危険度指数について、「最大危険度指数閾値」(巡目によって変わる)を超えない中で、最も危険度指数が高い牌を切る(すべての牌の危険度指数が「最大危険度指数閾値」を超える場合、危険度指数が一番低い牌を切る)
 ・6巡目以前の「最大危険度指数閾値」:75点
 ・7~9巡目の「最大危険度指数閾値」:50点
 ・10~15巡目の「最大危険度指数閾値」:25点
 ・16巡目以降の「最大危険度指数閾値」:0点

*1
(危険度指数)=(下家への放銃率)×(下家への放銃時平均失点)
+(対面への放銃率)×(対面への放銃時平均失点)
+(上家への放銃率)×(上家への放銃時平均失点)

〇ベタオリの例
8巡目で全員非リーチ門前で、切る牌の候補が以下の場合。
・1m:危険度指数20点
・5m:危険度指数60点
・7m:危険度指数40点
・白(3切れ):危険度指数0点
→「最大危険度指数閾値」50点を超えない中で、最も危険度指数が高い7m(危険度指数40点)を切る
→仮に他家1副露がいる場合(危険度指数の値はそのままとして)は、「最大危険度指数閾値」25点になるため、切る牌は1m(危険度指数20点)に変わる

各巡目・状況ごとの「最大危険度指数閾値」については、少しずつ数字を調整して一番ベタオリ時局収支が高くなるような値に設定しました。

このアルゴリズムに従って、配牌不完全降りをした場合のシミュレーション上各種数値が下表になります。

シミュレーション上不完全降り

先ほどの完全ベタオリと比較して、放銃率約2%(放銃時失点-4699点)がついており、局収支は-1155点→-1218点と60点ほどの悪化になります。

3.不完全ベタオリを考慮した配牌降り

※重要な追記
本記事を書いた後に、シミュレーションで重要な設定ミスが発覚しました。
・別のテーマで設定した「自分門前聴牌時リーチ禁止」の設定を削除し忘れていた

そこで、再度シミュレーションのデータを取り直して、データ差し替えを行いました。

前回2記事にも波及する設定ミスなので、本記事の有料部分で書いた内容をそのまま前回記事にも追記しました。よって、前回2記事を購入していただいた方は、本記事の有料部分購入は必要ありません


ここからは、1巡目で4~5シャンテンの以下牌姿について、不完全ベタオリを考慮した配牌降りの是非を調べてみます。(表の形式は前回記事とほぼ同じ)

まずは1個目の牌姿(3m3m5m7m9m1p3p4s8s9s南西北白)が下表になります。

配牌降りの局収支が前回(牌譜解析かつ完全降り)-1032点から今回(シミュレーションかつ不完全降り)-1215点に下がったことにより、前回記事では、この牌姿なら配牌降り有利判定してましたが、今回のデータ(門前聴牌リーチできる)だと、逆に通常進行有利(通常進行時-1067点)ということに結論が動きました。

一見手牌価値は高くないように見えますが、アガリ率9.5%に対して、放銃率2.1%→11.0%とほぼ同程度ということで、まだ配牌時点で他家攻撃がない状況から手を崩すのは得策でないと。

次の牌姿(1m3m4m6m1p2p7p9p1s6s8s南西北)を見ていきます。

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