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配牌降りの是非(局収支編)

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん


1.はじめに

こんな感じの配牌で、アガリまでかなり遠い場合に、普通に孤立字牌から切ってまっすぐ進めるか、中張牌を序盤から並べて配牌降りして放銃を避ける(アガリの可能性をほぼ諦める)かの選択を考えます。

配牌降り時(アガリ・放銃・聴牌流局の可能性が0)の局収支は牌譜解析から、通常進行時の局収支はエクセルマクロと人力とシミュレーションを組み合わせて算出して、両者を比較してみます。

2.配牌降り時の局収支(牌譜解析結果)

まずは、配牌降り時(アガリ・放銃・聴牌流局の可能性が0)の局収支牌譜解析から出したいと思います。

・終局時を調査対象とする
・4者のプレイヤー(以下、自分とする)それぞれについて調べる
・以下のデータを取る。自分視点の局結果(ツモアガリ・ロンアガリ・放銃・被ツモ・横移動・聴牌流局・不聴流局)、終局時に自分がリーチしているか、自分が親か子か、局収支

この牌譜解析で得られたcsvファイルに対して、エクセルピボットテーブル集計にかけます。

上表は、自分非リーチ時の、行方向に局結果(フィルターをかけて、アガリ・放銃・聴牌流局を除く)を、列方向に自分親子と局結果分布(確率)・局収支を取ったものです。

自分子の場合で、リーチ・アガリ・放銃・聴牌流局がない場合、
被ツモ…確率41.01%、被ツモ時失点-2063
横移動…確率42.00%、横移動時得失点+17点(プラスの値になっているのは、ダブロン発生時、自分が二人目アガリのときに横移動扱いにしている牌譜解析上仕様によるもの)
不聴流局…確率16.99%、不聴流局時失点-1132点
配牌降り時局収支…-1032点

(完全にアガリ・放銃・聴牌流局の可能性がない条件での)配牌降りの局収支は-1032点ということで、思ったよりは高い(損失は少なめ)という印象を受けました。相手のアガリが副露など安手のケースも含まれるなどの影響かと思いました。

なお、上記は自分の配牌時の状況(特にドラの見え枚数)については条件をつけていないので、配牌降り(多くの場合、ドラの手持ち枚数が少ない)するにあたり、被ツモ時の失点を過小評価している可能性があります。その点について、以下のような補正・修正が考えられます。

対リーチ放銃(下記リンク)・ドラ28牌の場合で、ドラ枚数不問5144点ドラ赤0見え5617点で、放銃時失点約500点増
・自分子の被ツモなので、放銃の3分の1(166点)~4分の1(125点)の間で、約150点増
・配牌降り時、被ツモ確率41.01%×失点増150点≒60点の局収支押し下げ効果

実際は、リーチだけでなく、副露などの安手が含まれることや、終局(被ツモの発生する)までにドラや赤を引き入れることも考えられること(どちらも失点増を打ち消す方向の影響)から、ドラや赤を配牌時点で持ってないことによる影響は、60点分よりは縮小するのかと思います。これを踏まえれば、配牌降りの局収支は-1100点よりはちょっと高めと推測されます。

ここまでは、配牌降り時、完全にリーチ・アガリ・放銃・聴牌流局の可能性がないことを想定していました。実際は、中張牌をバラ切りしても完全に放銃を防げないこと、また字牌が重なるなどして、アガリや聴牌流局、それに伴い放銃の可能性ができることも考えられます。

配牌降り時局収支は約-1000~-1100点だったので、
5000点クラスのアガリの可能性が1ポイント増につき、局収支60点増
放銃の可能性(子の平均失点で-5100点)1ポイント増につき、局収支40点減
聴牌流局の可能性(非リーチ時平均得点1400点)1ポイント増につき、局収支25点増
と、補正されます。本記事では、配牌から完全降りを想定しますが、ご参考までに。

3.配牌から通常進行時の局収支の計算方法

今回は、以下のような4シャンテンの配牌(14枚手牌)3種類について、通常進行時の局収支を計算してみます。

〇共通仮定
自分北家の1巡目
ドラ発
・トンパツ(場風東
1巡目の捨て牌…東家、南家、西家(役牌北と白が2切れの想定)
・他家リーチに対して、聴牌からは全ツ一向聴からは危険度5%以上牌を切ることになったら、二向聴からは危険度3%以上牌を切ることになったら降りに回る

〇使用パラメータ
・ある牌をツモる確率(巡目・牌種類・見え枚数・持ち枚数別)
・ある牌が他家から切られる確率(巡目・牌種類・見え枚数・持ち枚数別)
リーチ発生確率(巡目別・親子別)

〇局収支の計算方法
自分ツモ牌と他家から切られる牌について、乱数とツモ率出る率パラメータから決定する。
・他家切り順について、乱数とリーチ発生率パラメータからリーチの発生を決定する
自分の切り順の打牌選択は(天鳳の牌理ツール使いながら)人力で決める(基本的に自己都合で孤立字牌(特に2切れの白や北)から切っていく方針)。
・自分の手牌が2シャンテンになる、もしくは他家からリーチがかかった直後の自分のツモ番時点で上記作業を中断する。
・ここまでで得られた自分手牌・他家捨て牌(+リーチ状況)を入力値として、シミュレーションにかけて局収支を算出する。
・上記サイクルを1配牌につき20回行う。

例えば、1個目の配牌(3m3m5m7m9m1p3p4s8s9s南西北白)の場合で、2シャンテンになるor他家リーチかかるまでツモと打牌と他家切る牌を生成した結果が以下の表のようになります。

1列目から順に、中断時点の自分手牌・自分のツモ牌自分捨て牌他家捨て牌中断時点巡目(平均5.6巡目)・他家リーチ者有無(リーチあり率15%)となります。

この20個のシナリオを入力値として、シミュレーションにかけて以下の表にまとめます。

行方向が各シナリオで、列方向が左から巡目・他家リーチ・自分手牌・現巡目での打牌(局収支が最も高い打牌を選択)・局収支・アガリ率・放銃率・聴牌流局率・半荘収支・天鳳ptです。

例えば、1番目の1m3m3m5m7m9m1p3p9p3s4s7s8s9s5巡目・他家リーチなし)となったシナリオで、打1mとした時の局収支-893点、アガリ率8.8%、放銃率12.6%、聴牌流局率12.1%などです。

20シナリオ分の局収支の平均値を取ったものを通常進行時の局収支として、配牌降り時(-1000~-1100点)と比較して、どちらが有利かを判断します。

以下、注意点をいくつか。
2シャンテンになるor他家リーチがかかるまでの巡目について、副露やダマアガリの可能性を無視している
自分の打牌選択について、2巡目以降他家捨て牌による見え枚数は考慮しないものとした。
他家リーチがかかってから次の自分のツモ番までの間、他家切る牌分布やリーチ発生率をリーチなし状態のものを参照している

特に、2シャンテンになるまで副露の可能性無視は正直ちょっと良くないとは思います。副露の可能性を考えると、入れるべきパラメータの量がかなり増えるのが面倒なのと、副露への対応で自分の打牌選択が曲がること考慮が大変なので、今回は断念しました。

以下、有料部分で3つ分の配牌について、通常手進行時の局収支などの表掲載と分析をしていきます。

4.通常進行時の局収支(シミュレーション結果)

まずは、1個目の配牌について、通常進行時の局収支を見ていきます。下表になります。

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