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誰にでも怒鳴りつける『馬鹿ヤロー』おじさんに『おはよう』と言われた終戦の日


娘を保育園に連れていく途中の道に、変わったおじいちゃんが住んでいる。

毎朝道路沿いに仁王立ちして待ち構え、

自転車に乗っている人を見かけるとかならず

「バカヤロー!危ねぇじゃねーか!」


と怒鳴り散らす。

まぁまぁ尖ったおじいちゃんだ。

スマホを見ながら危険な運転をしている人がいれば当然

「バカヤロー!危ねぇじゃねーか!」


だいぶ安全運転をしている華奢な女子が通ってもやはり

「バカヤロー!危ねぇじゃねーか!」


過去に自転車にぶつかられた経験でもあるのだろうか。

おじいさんなんだけど、娘との呼び名は「馬鹿ヤローおじさん」である。


ぼくは運良く(残念ながら?)他の人が怒鳴られているタイミングだったりして「馬鹿ヤローおじさん」に一度もご指導いただいたことがなかった。

が、先日、ついにその日がやってきた。


タイミングは、ドンピシャ。

他に誰もいない。


怒鳴られるための絶好の環境が整っているではないか!キター!

「バカヤロー!危ねぇじゃねーか!」


予想に違わず、それは飛んできた。

「おはようございま〜す!」


ぼくはそう返そうと決めていた。

「おはよう。」


え?

正直、ちょびっと涙が出たような気がする。たぶん。


*******


その日は娘を保育園に連れて行った後だったので、お迎えのときにその話をした。

「ねえパパ!それはほんものの魔法だよ!」

子供の言葉は、ときどき心に直接触れてくる。


*******


そして、おじいちゃんの戦いは終わった。


翌日から、朝の待ち伏せ馬鹿ヤローキャンペーンが無くなったのだ。

ちょっと寂しくもあるけれど、おじいちゃんが自分で決めた終戦。

おじいちゃんの中で何かが解決したのだろうか。

あれから、街のどこかでたまに見かけるが、穏やかな顔をしている。


ぼくにとって愛すべき光景がひとつ消えてしまったわけだが、

おじいちゃんにとってあの数年?数十年?はなんだったのだろうか。

そして、あの「おはよう」の瞬間、どんな気持ちだったのだろう。


たぶん、今日もおじいちゃんはこの街のどこかで生きている。


***

最後までお読みいただきありがとうございました!
本日も魔法に満ちた1日をお過ごしください✋✨

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