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自分は、全てを持っている

自分が思うことを溜めて、書かなくなった。
現在の私は、”今”に夢中だからなのだろう。
自分の経験、考え・想いは、一瞬で”過去”になる。
その瞬間に感じ切り、解き放ってしまうようになった。

でも、今日は。
「綴っとこ」がやってきた💨
「書かなくなった」を、ちょっと返上。

意識を外にでなく、自分や相手に向けてみよう。
私達は、全てを持っていることに気づいたことを、綴ります。

私は、細身な子供だった。
やせっぽちな娘を、”人並みな体格”に育てたい両親の愛により、
体格を大きくすると思う乳製品・小麦製品・肉食を勧められ、育った。

幼い時から高校時代まで、アトピー性皮膚炎がひどかった。
元々アスリートなタイプでもなかったが、スポーツ全般に消極的になった。
汗をかいたり、日に当たると、患部がとても痒くなるからだ。
皮膚炎がひどい時は、外見が気になり、
身を飾ることや人前に出ることを控えたくなった。
皮膚炎は、皮膚だけでなく自分の心にまで炎症を起こすものなのだ。

成人して、皮膚炎は幾分軽快した。
実家を離れ、暮らすようになって以来、皮膚炎とは無縁になった。

最初に暮らした街は、自然豊かな地だった。
皮膚炎が治癒したのは、そんな環境のお蔭だと思っていた。

私自身は皮膚炎とアレルギーに悩むことがなくなったが
その後、再びそれらと向き合う経験をしている。
私の家族は皆、食物アレルギー持ちだからだ。

人生で一番水分量が多い、赤ちゃんの肌はつるつるなもの。
私の家族もそんな肌で生まれたけれど、ひと月後は湿疹だらけになった。

ある時、小児科医から家族に関しアドバイスを受けた。
「この子は小柄すぎる。粉末ミルクを食事に入れなさい」と。
新米ハハオヤの私は、それにならわないといけないのかと悶々とした。
根拠はないが、アドバイス通り食事にミルクを入れて与えることが
とても怖くて、嫌だったからだ。

ミルクを食事に入れることができないまま、次の検診の日を迎えた。
再度、体格が小さいことを指摘された。
さらに悶々としたところに、
「お医者さんは色々わかっているのに。何も知らないあなたの一存で、
〇〇ちゃんは体が大きくなる可能性を奪われているかもしれないのよ。」
などと周囲から言われたことが、堪えた。
確かにそうかもしれないからだ。

全く気が向かないまま、家族の食事に粉ミルクを入れてみた。
この時のことを、鮮明に覚えている。
普段は素直に食事を食べる、乳児だった家族が初めて、
大きく顔を反らせ、スプーンの食べ物に”断固拒否”を示した。

この時点で、止めたくなった。
しかし、新たなことを試しもしてないことに、一抹の後ろめたさを感じる。
思い切ってそっと、スプーンの先を家族の小さな口に入れてみた。

その刹那、家族は目を見開いた。
ほどなく、その小さな体は、赤い丘疹でいっぱいになった。
呼吸にも異変が見られ、酷い下痢をした。
アナフィラキシー症状を目の当たりにするのは、
生まれて初めての経験だった。
でも、これは「赤信号」な出来事だとすぐにわかった。

家族を命の危険に晒し、守り切れなかったこと。
自分の直感に従えなかった自分自身を責めた。

その後、別の家族も食物アレルギー持ちであると見受けていた。
同じように全身の湿疹がひどく、離乳食が進まないからだ。

家族皆に、母乳でひどい湿疹が出るということは、
母親である私の食事・体質に原因があると考えられた。
確かに以前、アトピー性皮膚炎に罹ってはいたけど、
健康を気遣う生活をしているのに。

何が足りないのだろうと、辛くなった。
家族の命を守るため、アレルギー関連の情報をネットで調べては
”外からの救い”を乞い続けた。

日本の家族から、毎日のように電話があり、アドバイスを受けた。
その上、びっくりするくらいたくさんのアレルギー対策本・グッズ、
代替食材、関連の新聞記事切り抜き等が送られてきた。
それらを目にすると、ため息が出て不安が募った。

そのうち、気づいた。
自分は、足りないことをしているのか??
本当にそうなんだろうか。むしろ足りすぎてはいないだろうか。
自分は、知らない??
家族の様子を見て、「おかしい」「イヤだ」と、気づけていたじゃないか。

私は自分の知識と想いの全てをもって、
母乳も出るこの体を健康にしようと努力している。十分じゃないか。
たくさんの食アレ対応グッズ・食品を持ち、
色々調べて新たに情報を知ったところで、解決に近づいているのか?
逆に、知らないことが増え、足りないことが増えてる。
解決から程遠いところに行くばかり。そうじゃないか。

「〇〇ちゃん、かわいそうに。食べられなくて。」
「気の毒ねえ。様子を見てみたら、何とかなるかもよ?」
「大きくなれば、アレルギーは治るから大丈夫。」
「無理やりでも食べさせてたら?食べられるようになるかも」
などの周囲の声を、自分に聞かせることを、止めた。
皆、親切心からの一言であるとはわかっていたから、厚意は受けとった。
でも、私が自分の軸を持てるまで、見守るだけにしてもらいたいこと。
物を送ることも遠慮してもらいたいと、ようやく伝えることができた。

以前のことを教訓に、私自身の直感を尊重することにした。
重度のアレルギー持ちの方は理解していただけるかと思うが、
あらゆる検査は目安でしかない。情報も然り。
目の前の事実が、全てなのだ。
自分でない人のことは、相手そのものをとらえきれる状態の
自らでいることが肝要だ。
外に滂沱とある情報や物でなく、
すでに完璧なその人と波動を合わせればいいのだ。

素人判断と行動が危険であることは、わかっていた。
原因を正確に突き止められるかどうかわからないことも、重々承知だった。それでも家族として、何かしたいという思いが募った。

私・家族が食べるものを増やすのでなく、減らすことから始めた。
まず、米飯だけに限定して数日過ごした。
そして、アイテムを1つ足しては、自分と家族の体調をチェックした。
家族の命にかかわることだから、私は必死だった。
この素人テストの結果は、信ぴょう性があるかどうかもわからない。
でも、私の家族に関しては論文が書けそうなほど、色々なことがわかった。

まず、卵・乳製品はかなり早い時点で反応が見られた。
小麦は、数時間以降に激しい反応が見られた。
大豆・とうもろこしは2時間以内にくることもあれば、数時間かかった。
その他の食材も、少しずつ試して結果を記録した。
一年くらいはかかったが、家族にとって危険が高い物、低いものを
概ね把握することができた。

あれから何年も経った。
家族の食物アレルギーは、程度やアイテムの変化があったものの
無くなりはしてない。
家族それぞれがアレルギー持ちであること自体にも、慣れた。

様々なことを経て、私達はアレルギーと対峙しない選択をしている。
起こる事象に良い悪い、正誤をつけず、共生することを選んだからだ。

アレルギーがあることは、”不足がある””不健康”なことだろうか?
そうでないことも、わかった。
食べることができる喜びは倍増するし、健康にかなり気をつかうからだ。
レアな特性をもっている、というプラスと捉えることもできる。

全ては、事象をどのように捉えるかだ。
「食べることができないもの」でなく、
「食べなくていいもの」があって楽だとも、考えられるのだから。

つい最近、毛髪を検体として食物アレルギーを測るテストを
家族の1人が見つけ、受けた。
結果は実に、興味深いものだった。
その家族は唯一、Epi-penを所持していないが
他の家族がアナフィラキシー症状を起こすのと同じアイテムに
アレルギーがあることが判明したからだ。

彼らの母親である私も、高い確率でそれらのアイテムに
食物アレルギーがあるか、消化しきれていないと予測された。
だから、母乳を介し家族にアレルギーを伝えてしまったのかもしれない。

ふと、実家に暮らしていた頃のことを思い出した。
乳製品、小麦、大豆、とうもろこし・・・
これらは実家にいた時、摂食を勧められたアイテムだ。
少なくとも私は、これらの食品に耐性が低い体なのだろう。
だから、酷いアトピー性皮膚炎を患っていたのかもしれない。

昭和世代の両親は、食品添加物の知識に疎いところがある。
「カロリー控えめ」、「塩分控えめ」のキャッチフレーズに弱い。
畜肉の飼育には、色々な薬剤が使われている。
原因はつきとめられないが、食品添加物も障りだったと思われる。

実家を離れてからアレルギーが軽快・治癒したのは、環境の変化もあるが、自分が欲するものを選ぶようになったからかもしれない。
また、不要なものの摂食を無意識に控えたからかもしれない。

「みんな、ごめん。知らなかったとはいえ、私の体質のせいで、
 みんなを食物アレルギー持ちにしちゃった。」
私がそう言うと、家族は口を揃えて言ってくれた。
「よかったよ。このまま知らずにいたら、お母さん病気になってた。
 気づくことができてよかった。それに、アレルギーのお蔭で、
 私達は食べること、健康に気をつけることができる。」
むしろ、よかったんだよ。
そう言われて、胸がいっぱいになった。

在住国に暮らし始めて以来、私はフレキシタリアンだ。
いわゆる「ゆるべジ」。
たまには魚や家畜の肉を口にするが、基本は玄米菜食で暮している。

先の家族のアレルギーテスト結果を受けて、
自ずとゆるくやっていたグルテンフリー(小麦製品を取らない)、
デイリーフリー(乳製品を取らない)にも納得がいった。
元々、小麦製品が続くと、眠気・だるさを感じた。
乳製品を取ると、頭が鈍る?感じがする。お腹も緩くなるし。
健康に良い食材なのかもしれないが、私には合わないのだろう。

体に良いと思って多食していた大豆製品も、
豆乳などアレルギーを起こしやすい食品は消化しきれないようだ。
一年前、毎日運動をし、過食をしないにもかかわらず体重は増えるばかりだったことをきっかけに、ダイエットプログラムに入った。
豆製品を控えた途端、驚くほど体を絞れた。

この国の食材には、トウモロコシの粉をよく使われている。
摂食を控えたら、体調が軽やかになった。

一時帰国の際、いつもアトピー性皮膚炎が復活するのは、
せっかく母国にいるのだから、色々なものを食べようとして
しまうからだと気づいた💦💦

自分のことは、自分が一番よく知っている。
相手のことは、相手そのものを見て、感じて、受け止め理解すればいい。
私は「自分は知らない、足らない」「私達は不完全な存在だ」と
錯覚した経験から、そう気づいた。

実は、自分は何でも知っている完璧な存在。
わからない、と思うのは、自分に問うていないからかもしれない。
体のことも、自らの反応が全てだ。
そっと、自分の体に問えばいい。
自分の周りの人にしてもそうだ。
わからない、と思うのは、相手に問うていないからかもしれない。
体のことも、相手の反応が全てだ。

ココロ動くことを、する。
ココロ動くものを、食べる。
ココロ動くものを、置く。
ココロ動く場所で、暮らす。
ココロ動く、今を生きる。

私達は皆、完璧な存在だ。
足りないものは、無い。
等しく、全てを持っているのだから。


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