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その頃の証券会社は、株屋さんのイメージがまだ強く
資産運用とか、より、株を儲けたいという人が
大半でした。

まだ、男女雇用均等法もない頃なので、
営業向きの女子社員を採用したといっても、
やはり、営業のメインは男性社員でした。

なのに、女子社員の私が、どうして営業が
できたかというと、ずばり、株が当たるように
なったからです。

株が好きなお客さんは、担当が男性だから
女性だからとか関係ない、とにかく儲けさせて
くれる人がいいと、金銭最優先の男女平等主義
だったので、働きやすい業界でした。

今のネット社会では、株の情報は、世界中の
個人まで一瞬に、情報がいきわたるので
下の私の方法は、まったくもう通用しません。
ただ、大昔の事例として聞いてください。

私は、証券に入社するとき、自分の力で
お金を稼ぐようになりたいと思って
いました。

女子社員は、お嫁さん候補だとか言われて
いましたが、私はどうしても、ここで
自分で稼ぐスキルを身につけたいと思って
いました。

まだ、女子社員は結婚したら退職するという
慣例があるころです。
もし結婚したら、退職しなければならない。
それまでに、株がうまくできるようになりたい
そうすれば、他の小さな証券会社でも営業
できるし、それもだめなら、自分で株をして
お金を増やせばいいと思っていました。

幸いにも、社内に、株の先生は大勢います。
初めに、支店長に、
「株はどうしたら、上手くなれますか」
と聞きに行きました。
すると、
「株はね、今日のニュースで動くからね。
昨日のニュースをたくさん知っていても
仕方がない。だから、誰よりも今日の
ニュースをたくさん知っている方が
いいんだよ、今日のニュースをたくさん
知っている新人のあなたの方が、昨日
までのニュースしか知らない、ベテラン
社員に勝てるのが、株なんだよ」と
教えてくれました。

次の日から、私は朝一番に出社しました。

証券会社に届く、日経新聞、日経産業新聞、
日刊工業新聞、他の業界新聞など、8紙に
目を通すためです。
そして、その日の新聞の見出しなどを、自分の
ノートにつけていきました。

業界紙には、毎日、この銘柄が上がるとか書いて
あります。でも、その銘柄が大きく新聞に出た時が
一番高値の時も多く、新聞の見出しをたくさん
知っているからといって、株で儲かるわけでは
ない、とわかりました。