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福岡から東京へ。飛行機だと近いけど、わざわざ来てくれるって、ねぇ。

ムカつくやん!!!

電話口でアヤが言い放った。彼女は、専門学校が同じだった約20年来の友人。いやいや、そんなことないよ、となだめるように話す私を遮って、その後も「なんでwakaが?」「あんた、大丈夫なん?」と立て続けに言葉を続けてくる。

これは先週のはなし。

「しばらく日本を離れるから、仕事で東京来ることがあったら言ってね」

事の発端は、私がアヤに送った絵文字付きの軽いLINE。彼女は専門学校を卒業してからずっと福岡空港で働いていて、たまに羽田への出張もあることを知っていたからである。

私が日本を離れるきっかけとなったのは離婚。すべてクリアにできるこのタイミングで、仕事や生き方に広がりが見えない状況も含めて、全部強引に変えてみよう、と思い付いたのだ。

私が発つのは10月。基本的にはすべてのモノを処分して、選び抜いた持ち物だけ、スーツケースに入れて日本を出る。どこかの国でそのまま暮らせたら最高だな、と思っているので現時点での帰国は未定だ。(そんなに上手くいかないことは百も承知なので、この辺のイロイロは別の記事で。)

感情をぶつけてくるアヤ。

そう、昔からそうだった。電話を切って、なぜか温かい気持ちになって、理由もわからず一人でちょっと笑ってしまった。女々しく泣いたりはしないけれど、10代の頃からアヤは真っすぐ気持ちを伝えてくれる。

今、怒っている、楽しい、好き、嫌い、むかつく、悲しい、、、etc。いつだってダイレクトに反応が返ってくるから、最初は「この人、当たりが強い……!」と感じて少しとまどったこともある。

でもこれは、私が持ち合わせていないもの。

私はいつも、客観的に考えて、口に出す言葉を一瞬考えて、見方によっては少し冷めている。もちろん「えー!ひどいねー!」なんて反射的に言うこともあるけれど、深刻な話題であるほどこの傾向が強まる気がする。

だから媚びるわけでもなく、相手を陥れるれるわけでもないこの素直な反応がちょっと羨ましい。誰にでも優しいというより、自分が友達だと思っている相手に対して、ぐっと気持ちを入れてくる感じ。

昔から、話の始めに「ねぇ聞いて。めっちゃ嬉しいことあったんやけど。」「ちょっと最悪なことが起きた。実はさー・・・」なんて、今から話すことがどういう内容なのか知らせてくるのも特徴だ。(ちなみに私は、「あの試験落ちてさ」とか「さっき●●に会ってさー」とか、事実から話すタイプ。)

生きやすさ優先で、手放してきたこと。

話を戻して、今回の離婚の報告について。

私がLINEを送ると、アヤからすぐに電話がかかってきた。最近はLINE電話が多いので、普通に電話帳からかけてくるという時点で一瞬たじろぐ。

私がもしもし、と言ったすぐあとで「ちょっと!そんな軽く送ってくる内容じゃないし!どういうこと?ビックリなんですけど!!」と怒涛のトーク。私がざっくり理由を話すと、またすぐに「え?向こうが言ってきたってこと?なんかムカつくんですけど!!」と、 ”ですけど!!” をどんどん繰り出してくる。

30分ほど話して電話を切って、ひとりで笑ってしまった私。でもその理由の根本は嬉しかったからだ。自分ですぐにわかった。

アヤの「完全にあんたの味方」というスタンスが嬉しかった。

少し歳をとって社会人をやっていると、プライベートな話をしていても論理的な話し方になることってないだろうか?私はある。というか、大体そう。

事実はどうなのか、何が原因なのか、どうすることが最良なのか……そんな正解みたいなものを探してしまうことが身に付いている。それが目の前の相手にとっても良いことだと無意識に思っている。

でも、アヤは違う。

相手が何と言おうと、私は知らん。

……この感じ。強引だし、強くてつい笑っちゃうんだけど、「想われてる側」のこっちは単純に嬉しい。ついでに言うと、私が文句を言わない限り、そこまで相手を悪くは言わないギリギリのラインを保つのも、私がアヤを好きなところ。(……でも、少しは悪く言う。そこはご愛敬ってことで。)

ちなみにアヤは、純粋な少女タイプでも世間知らずなお嬢様でもない、たぶん。普通に恋愛もして、18歳から1つの会社でバリバリ働く、真っ当な社会人だ。

最後には「9月に絶対東京行く。来なくていいって言っても行くから。」そう言って電話は切られた。

あとで予定が入ってる日だけLINEで知らせといて、と言ったアヤに「はいはいー。」と返事をした私。最初に予定聞いたときは、しばらく東京に行く予定はないって言ってたのに。

それがアヤ。

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