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グッとくる広告デザインを言語化してみた

こちらも以前の記事同様で現在参加しているゼミの課題なのですが、気になる広告についてそこにある意図や考え方を言語化する宿題が出されていたのでnoteにまとめてみようと思いました。

私自身デザイナーではあるものの広告などのグラフィックデザインは専門外なため(という言い訳ですが、)あまり普段から街なかの広告を注目して見ていなく、今回は自分が好きな大塚製薬の広告をザッピングしてみてフィーリングで目に止まったものをつらつら分析してみようと思います。※なお、引用しているグラフィックの出典は以下です

自分が米津玄師好きということも多分に影響されてますが、今回は数年前に彼が広告塔を務めた際のカロリーメイトの広告について分析してみようと思います。

自分もあまりきちんとやったことがなかったのですが、広告をデザインという切り口で分解して言語化するとどういうことが見えてくるのか、という部分をこの場で共有できたらと思います。
自分自身まだ着地点が見えていませんがよければお付き合いいただけたら嬉しいです。

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あと「よねつけんし」を未だに「予熱剣士」って変換するGoogle 日本語入力さん頑張って。

大人へ向けた豊かな空気感漂う広告

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まず全体的な印象ですが、ターゲットは若年層というよりは社会人以上の人、年齢は20~30代前半くらいに設定されている感じがします。

イメージキャラクターの選出もそうですが、広告全体も青みがかった白をベースにコントラストを押さえ気味にしたグラフィックで、余白をたっぷりとった大人向けなデザインがされている印象です。

おそらく忙しく働く若者の栄養補給の方法として、ちょっとおしゃれでカッコいいイメージを訴求しようとしている意図が見えます。キャッチコピーも英語ですしね。

カロリーメイトのパッケージは(めちゃくちゃ秀逸で大好きなデザインですが)いかんせんかなりポップ寄りなため、それをそのまま広告へ展開しようとするとどうしてもメーカー側が抑えておきたいターゲットへリーチしづらくなってしまう懸念があるのでしょう。

同じ大塚製薬のポカリスエットの広告とと比較するとわかりやすいのですが、部活を頑張る学生や家族へ向けた元気で清涼感あふれるイメージを強めなコントラストのビジュアルで押し出しているのとは対象的に、カロリーメイトの広告は総じてかなり落ち着いたハイセンスなデザインにまとめられているのが印象を受けます。

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↑ポカリスエットの広告。深緑の中に映える白い服とテーブル、そして強い光によって作られるはっきりとしたコントラストと、大胆に配置されたタイポグラフィが目を惹きます。


余白を効果的に用いた抜け感あるタイポグラフィ

ポカリとは対象的なカロリーメイトのタイポグラフィは、キャッチコピーの「BALANCED FOR HUMAN.」のコントラストは抑え気味で、書体自体もポカリに比べると装飾もない比較的プレーンなものが採用されています。

そして米津玄師の目線近くに、黒文字のメッセージが配置されていることで見る人の視線を効果的に誘導しています。

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書体はいずれもサンセリフ(ゴシック体)を用いることで現代的なイメージをもたせつつ、動きが乏しいビジュアル全体の印象が固くなりすぎないように、隠し味として若干文字を斜体にしてバランスをとっている部分も絶妙です。


小さくても商品の存在感を際立たせるワザ

前述の通り、背景からコピーからキャラクターの着衣にいたるまで全体的に青系にまとめつつコントラスト抑えめにしているグラフィックなため、右下にある黄色いカロリーメイトの商品が強烈なインパクトを放っています。

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さらに黄色と青は補色(色味としての性質が真逆)の関係であるためより黄色のインパクトが強まる効果があります。

また、広告全体の中でも効果的に右下への情報量が薄く設計されているのもあり、情報量的に大きな余白を商品周りに生み出すことで、商品自体をさらに際立たせる設計になっています
右上の領域はキャッチコピー、メッセージ、手に持ったカロリーメイトに加えて米津玄師の顔の向きも相まって非常に情報の量が密に設計されている一方、右下の領域はガランと大きく余白が残されていることがわかります。

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※青枠内側が情報量が多い密な領域、赤枠内側が薄い領域


大塚製薬はやっぱりなんか好き

本題からまったくずれますが、大塚製薬ってなんかイケてて好きなんですよね。

今回のカロリーメイトやポカリスエットなど多くの主力商品のパッケージデザインは何十年も変わらず、風化しない耐久性を持った名作デザインだと思います。

あとポカリスエットのCMとかも結構話題になりますよね。こういうクリエイティブに積極的に投資をしようとする姿勢を昔から持っている企業って本当に素敵だと思います。

昨今様々な企業が就活生や投資家へ向けて「こんなパーパスを持ってます!」とか「SDGsに貢献しています!」などと口を揃えて言うようになりましたが、自分にとっては「うちの会社はクリエイティブを尊重しています!」というメッセージのほうが何倍も心に刺ささるだろうなぁと思った今日このごろでした。

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@やました
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