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【海外記事】生成AIによってもたらされる「超パーソナライズ」UX 3

今日もこちらの記事を読んでいきます。なお、画像も以下から引用します。

前回は生成AIが進化していく中でUXを設計する際のアプローチについて議論されていました。

めちゃくそ長い上にどんどん英文が難しくなってきて心折れそうになりながらも、大胆な読み飛ばしと意訳を含みつつ読み進めてみます。
比喩が多用されており和訳しても理解しきれない部分が個人的にもあるのですが、ある程度適当に読み飛ばしながら読んでいただけたら幸いです。

本日もよろしくお願いいたします。


プラットフォームからオープンワールドへ

この業界の現代の状況はビデオゲームがプラットフォーマー(2Dの左右の動き)からオープンワールド(3Dの自由な動き)となったタイミングに似ているかもしれません。多くのゲームのロジックや物語は移植可能なものですが、ユーザーの主体性には顕著な変化があります。
生成AIは私達が同じようなジャンプを作れるようにしてくれますが、私達はユーザーがサービスを楽しんだりタスクを完了したりすることを奨励しながら、ユーザーの安全確保のための適量の制限を設ける必要があります。

プラットフォームからオープンワールドへ(出典:任天堂)

ストーリーを伝える役割としての”制限”

もしスポーツ場に足を踏み入れたことがあるなら、様々な奇妙なマークが芝生にあることに気づくでしょう。これらはプレーヤーへ向けた一つの制限であり、それらが試合自体を下支えしています。
私達はまたスポーツの外でも制限を見ることができます。例えば映画監督は16:9の画角の中で作品を表現しなければなりません。

制限によって状況を理解し、それに適用しようとするため、私たち人間は制限を求めているのです。

デザイナーやプロダクトの専門家として、私たちはUXの中にコンテキストを与えるために制限を設ける責務を担っています。従来、私たちは個々人へ向けて通行可能な通路の数を制限することでこれらを行っていました。
ここでの課題は、AIとのインタラクションに独自の道があるわけではなく、個々人の目的やコンテキストによってそれらのフローが決まってくることです。そのため私たちはオープンワールドゲームの壁のような自分たちのシステムに対して一定のルールを作る必要があります。これは何が不可能なのかを定義するものであり、可能性を羅列したものではありません。
これによってユーザーはシステムなしに安心して利用することができる一方で、ユーザーの安全性と私たちのブランドコミュニケーションが常に維持される状態となります。

オープンワールドにおけるUX

オープンワールドにおけるUXについて、実現できるかもしれない部分を一つ議論してみたいと思います。
オープンワールドUXは予測可能で一貫性があり、明確な物語を提供し、仕立てられたUXを提供するようないくつかの素晴らしい機能を備えています。
オープンワールドUXはユーザーごとのインプットやアクションに対して良く調整された様々なシナリオのもと、一貫性のある期待された反応を返すことを保証する必要があります。これは2つの色を混ぜ合わせる際にどんな色が危険になるのかを正確に理解しているものの特定の状況で驚きを受け入れるアーティストのようなものです。
オープンワールドUXはまたユーザージャーニーの明快性や目的、方向性を定義する明確な物語を生み出します。最終的には、これらのUXは制限の組み合わせが適用されることで、デザイナーによる良く考え抜かれたものとなるでしょう。それは作曲家がオーケストラにおける楽器パートを追加したり削除するようなもので、それらはいかに音楽が演奏され得るかに影響します。

デザイナーや製品の専門家にとっては、これらのオープンワールドUXはほんとうの意味でのカスタマイズされたインタラクションや柔軟なレイアウトや迅速なフィードバックのループの機会を生み出すものです。
デザイナーはユーザーにむけて特定のインタラクションを仕立てることができ、その各タッチポイントはきちんとパーソナライズされたものとなるでしょう。制限を設けることで、デザインはユーザーの行動傾向にダイナミックに適用することができます。最終的にはデザインのあらゆる変更や改善が簡単に反映され、ユーザーのフィードバックをもとにしたリアルタイムでのUX改善が実現できます。

一直線的なユーザージャーニーからダイナミックなユーザージャーニーへ

UXの領域においては大きな変化が見られますが、一直線的なユーザージャーニーは基盤として残っています。これらのジャーニーはユーザーリサーチやビジネスの目標によって予め定められたゴールに向かってユーザーを一歩一歩導いていくものです。
しかし、組織は小さな顧客群に対しては投資価値なしと判断して、ユーザーの細かいニーズに対してサービスを設計しないことがよくあります。ただ生成AIがあれば、デザイナーはユーザーごとのコンテキストや目標に合わせたダイナミックなユーザージャーニーを生み出すことができるようになります。

一直線的なユーザージャーニー

最近のUIには、多くのユーザーが混乱しています。一直線的なフローはユーザーと機械の双方に対して理解しやすいものではあります。特にデバイスのセットアップやオンラインでの購入動作などの繰り返し作業においては最適です。これらの強みはシンプルさとわかりやすさ、予測しやすさ、そして比較的簡単に実装できる点にあります。一直線的なフローは、ユーザーの迷いを予め予測しやすいため、ユーザーが目標を達成するのを助けることができます。さらにこれらはユーザー自身が次に何が起こるのかということを簡単に予測することができます。これらの明快さによって、予測しやすい各ステップごとの動作を簡単にプログラムの機能へと変換することができ、直線的な開発が実現されます。

一直線的なユーザージャーニー(出典:Mikes Johnson)

一直線的なユーザージャーニーにおける制約

現代のUXにおいて必要性が高まっている真のパーソナライゼーションは、一直線的なデザインの制約との相性がよくありません。一直線的なユーザージャーニーは本質的に各ユーザーの傾向や行動に合わせて提供するという姿勢とは相反するものとなってしまいます。

例えば一直線的なアプローチを行う音楽アプリにおいてのプレイリストの作成(新規作成、名前付け、トラックの追加、など)の複数のステップによってユーザーに操作を促しています。対象的にダイナミックモデルにおいては、ユーザーの行動傾向や嗜好に合わせてこれらのステップをたった1ステップ(プレイリストの作成)で完結できるようになるかもしれません。

メタレベルへの移行

昨今、デジタル環境においてはより汎用的でかつ個別最適化されたアプローチが求められています。

一直線的なユーザージャーニーは、自分たちのプロダクトやサービスに対するユーザーのインタラクションのメタレベルとしてみなされるべきです。

例えば、新しいコートを買うための一直線的なユーザージャーニー(商品を探し→選択し→購入する)は、それらのステップの中にダイナミックな要素を入れ込んでいます。ユーザー各々が好きな方法、例えば声やオススメを見てみたりや、トレンドで検索などで商品を探すことができます。AIによって促進されるダイナミックなユーザージャーニーへの移行は私たちに自由にそれぞれのUXを形作ることを約束してくれるのです。

→次回に続く


感想:AI時代のUXはルールを作ること

非常に難解な記事で自分でもちょっとわからない部分もあったため、読んでいる人にとってはその40倍はわからない文章になっていた気がしなくもないのですが、この記事ももう少しのため、あと1回分程度お付き合いいただけたら幸いです。

AIの登場によってユーザーの自由度への制限がさらになくなり、際限なくデジタル上をユーザーが動き回る時代においては、ある程度設計者側が制限やルールを設けていく必要があることが語られていました。

UXはユーザー自身にできる限りの自由度を与えて、好きなようにデジタルを扱えるようにするものと考えがちなところもあったのですが、AI登場以降の超自由なデジタルプロダクトにおいてはむしろ積極的にルールを作りユーザーを制限していくゲーム設計能力が必要なのだと感じました。

UI/UXを仕事にして以降、人が熱中してしまうゲームのシステム設計やインターフェイスに対してかなり関心を持つようになったのですが、AI時代においてはよりそういったゲーム設計者のような広い視点でユーザージャーニーを設計できる人材が求められていくのだろうと考えさせられました。


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