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"無敵の人には保護犬を" ひろゆき 「がんばらない勇気」

読書メモ#23です。今回は未だにブームの衰えを感じないひろゆき氏の「がんばらない勇気」を読んで自分が考えたことを書こうと思います。

結構彼の配信やら出演しているAbemaなどをダラダラBGM代わりに流しているためかなり彼の考えをインストールしている自負のある自分ですが(キモい)、この本はその普段の発言の補足説明的な感じで楽しくサクサク読めました。

4日ほど前にこの本をBOOKOFFで買って読んでいたのですが、その翌日に安倍元総理の一件がありました。

その後メディアでも彼はたびたび「無敵の人」への言及をしていますが、この本の中にはその彼なりの考えがより明確に記されていました。(本人は本の文章の執筆には関わっていないと公言していますが、笑)

メディアでの発信を知らない人にはひろゆきが考える社会のあり方が伝わるような、すでにひろゆきの考えを知っている人にとってはより具体的な補足資料になるようにまとめられたらと思います。
もちろん彼の考えを鵜呑みにする必要は全くないのですが、個人的には一考の価値ある指針に思えます。

また、ここ数日言いようのない不安を抱えているような人にとってのちょっとした気休めにもなれば、とも思い書いてみます。

そもそも「無敵の人」とは?

ここ数年、おぞましいような犯罪やテロが起こった際によく「無敵の人」という言葉を耳にするようになりました。

「無敵の人」とは一言で言うなら刑罰への恐怖が消えた無敵の状態にある人のことです。

法治国家のもとでは犯罪は裁かれ、刑罰が与えられます。

その裏には「誰もが刑罰を恐れている」という状況が暗黙の必須要件で、国民の誰もが罰金や収監や死刑から逃れたいという心理を前提として成り立っているシステムという見方もできます。

しかし、無敵の人はその名の通り刑罰への恐怖がなく、刑罰が刑罰として機能しなくなった人のことを指しています。

例えば身よりもない自殺志願者のような、この世への未練も生への執着もなくなった人のことです。

ひろゆき曰く、海外ではこのような無敵状態の人が関係のない人を無差別に殺人して最後に自殺をするという「拡大自殺」はあったものの、日本人の気質としてそのような行動を起こすよりは一人で静かに自らを殺めるような傾向があったといいます。

しかし、近年は大阪北新地のクリニックや京都アニメーションの放火事件、相模原のやまゆり園など、、無敵の人と思われる大勢を巻き込んだ無差別殺人が跡を絶ちません。


無敵の人ができるまで

ひろゆきが言うには、無敵の人は皆家族や社会から孤立した人間であるといいます。

学校でのいじめや進学、就職の失敗、会社での不当な扱いなどで社会から孤立し、家族との縁もなくなったときに無敵の人が生まれます。

社会からドロップアウトしてしまうと収入も途絶え、身寄りがなければ生活保護などに頼るしかありません。

しかしその頼みの綱の生活保護も、仕事ができない理由(主に病気)や家族などの身寄りがないこと、財産が全くないことなどかなり厳しい条件が重ならないと受給ができません。貯金や持ち家などで資産が10万円でもあると申請は通らないそうです。

自分からは社会へ復帰できず、国からも周りからも生活の支援を受けることができない。

さらにひろゆきが危惧しているのはそういった人たちへ向けられる世間の目です。
本書ではKKO問題という言葉で表現されていました。

KKOとは「キモくて金のないおっさん」の略。その名の通り容姿に恵まれず、資産もない中年男性のこと。
そういった要素から、他人から肯定されず、経済的な側面だけでなく恋愛面でも人間関係に恵まれないような属性を持つ人です。

LGBTや身体障害者などに対しては世間的にも寛容に、優しくあろうとする風潮があり、社会的にもチャレンジの機会を与えようとする機運があるのに対し、KKOの人たちにはそれすらもなく、生活に困窮し、社会からも孤立してどんどん戻れなくなっていきます。

そういった人たちが、ある日無敵の人へ変身を遂げ、その中のごくごく一部が拡大自殺や凶悪なテロに手を染めてしまうという構造があります。
昨今の無敵の人関連と見られる凶悪な事件の多くは40代前後の氷河期世代の男性で、学校を卒業した頃の就職が非常に困難だった人たちであることも指摘しています。


無敵の人が世の中に未練の残るような施策を

そう言った無敵の人が多く存在する社会にある日本で様々な対策が考えられることでしょう。

テロ対策を強化したり、ベース賃金を高くしたり、、様々な施策は考えられるでしょう。

その中でひろゆきの主張は、「無敵の人を孤立させず、社会への未練を残すような施策」を講じることで無敵の人を救い、社会を健全な状態に戻そうとするものです。

そこで出てくるのが彼の代名詞にもありつつあるベーシックインカム。

財源など細かい部分は省きますが、全国民に7万円を一律で配ってしまうという政策です。これによりまず誰でも生活はできる社会になる、と言います。

7万円あれば多少不便はあれど最低限の衣食住は確保できるでしょう。働けなくてもひとまず毎日屋根のある場所で寝泊まりできて食事ができるという安心感は、ホームレス生活者など多くの国民を救うことになるかと思います。

身体的、能力的な理由から働くことができない、働いても生活すらままならなかったような無敵の人たちにとっては人生の選択肢が増えます。

今の世の中では考えられませんがベーシックインカムのある世界では、例えば地域の掃除などの簡単な作業を時給300円で行ってもらうような仕事の募集も可能になります。生活のベースは国からの支給で確保しつつ、余剰資金をできることで賄うという発想です。
様々な理由から通常の仕事ができないような人たちも、このように仕事の間口が広がることで社会との接点を持てる可能性が広がるような未来をひろゆきは語っています。

しかしそれでもまだ社会へ出ていくことができない人は出てくるでしょう。

そういう人には保護犬を提供する施策を提案しています。

ペットショップなどへの規制がゆるく、動物の生命への考え方が欧米と異なる日本では、保護犬の殺処分の多さが際立っているといいます。

そういった犬たちを、同じく社会から孤立してしまっているような人へ与えてあげることで、孤独感をなくし、彼らが拡大自殺などを起こさないように世の中への未練を残すような施策を提言しています。

社会から孤立している人たちは、自分が誰からも必要とされていないという感情から日々孤独をつのらせています。

しかし、一人では生きていくことができないペットを飼うことで、自分の存在価値を認識し、自殺に走るようなことがないように仕向けることができると語っています。


感想:パズルのように課題を解決する

社会から孤立している人に保護犬を提供すれば良い、というのはあくまで1つの案にすぎませんが、彼の主張が世間の関心を集めて支持される部分の1つに「1つの問題を解決するための施策が別の問題の解決にもつながる」ような施策を生み出している点があると思いました。

7月10日に参議院選挙がありましたが、「消費税減税」や「10万円支給」など政治家が主張する耳障りの良い政策には必ずどこか別のところへしわ寄せがいき、誰かが代わりに痛みを引き受けるような構造になります。

しかし、今回のような無敵の人対策は、孤立する人々を救いながら保護犬の殺処分問題も解決できるという点が非常に面白い。
なにかの問題を解決するためにはつい「この問題を解決するには何を犠牲にしなくてはいけないか」という痛みの転嫁へ思考がいきがちですが、このひろゆきの主張のような、全く異なる分野の問題をかけ合わせてどちらの問題も解決してしまおうというクリエイティブな発想は政治に限らずビジネスの世界にも応用していくべき思考だなぁと考えさせられました。

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@やました
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