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帰国子女を育てる ということ

私の子供はいわゆる帰国子女です。会社の都合で海外赴任になり、子女を帯同したことから、子供の希望に関係なく、子供は幼少期と中学時代を海外で過ごすことになりました。

お子さんは英語ができていいですね。日本の受験の時に帰国子女枠があっていいですね。お子さんにとって貴重な経験ですね。とよく言われました。

ただ、本人もいきなり違う言語国に放り投げ出され大変でしょうが、親も大変でした。
1.赴任期間中の日本語教育
2.日本文化の経験
3.帰国してからの語学力の維持(大抵の場合は英語)

私の子供の場合、まず2歳から6歳まで米国で育ちました。この年齢で基礎的な言語能力が備わる、と聞いていましたので、日本語教育のために赴任前に絵本専門店で買えるだけの絵本を購入して船便で送りました。年齢に応じた絵本を片っ端から購入しました。


2歳ですと、幼稚園に通う年ではありませんから、四六時中自宅にいます。そうすると話し相手は母親だけになりますから、男の子でも「女性言葉」になります。これは奇妙でした。
いくら寝る前に私が絵本を読み聞かせても、せいぜい20分です。帰国して公立の小学校に編入しましたが、しばらくは妙な日本語を話していました。

この年齢に米国にいましたから、七五三の経験がありません。「大きな栗の木下で」を歌うこともできません。その代わりにハロウィンとかの経験を覚えているようですが、親としては日本の童謡を歌うことが出来ないのはちょっと寂しい気がします。童謡はともかく、世の中で七五三のお祝いの姿を見ると、親戚の子供でも盛大にお祝いしてあげたくなります。

米国で現地の幼稚園、小学校に通うようになると、日中は英語モードですので、英語の方が得意になります。小学校になると宿題もでますが、親にとっては手伝うのが難しい宿題もあります。
中学生になった時に再度赴任しましたが、ローマ時代のことを調べてレポートにするという宿題にはほとほと困りました。英語での歴史用語が分からず、ネットで調べては宿題を手伝いました。

そして、普段の会話は日本語(女性言葉)と英語のちゃんぽんになってきます。
「どうして数字の9は7が怖いの?」となぞなぞを日本語で聞いてきます。「???」という感じですが、英語にしてみると、「7,8、9。seven eight nine」。eightはate。数字の7が9を食べたから、9は7が怖い、ということです。
黄色のことは、「イエロイ」。yellowと黄色いが混ざっています。
帰国してからも、「この車はスピードが高いねえ」と。高い=high。スピードがhigh。
今となっては笑い話ですが、当時は「どうしたものか、、、」とため息をついたものです。

2回目の赴任した時には、現地の日本人コミュニティで餅つき大会、書き初め、などの催しがありましたので、日本文化に触れる機会がありました。
余談になりますが、現地の人で「漢字、カタカナ」に興味を持つ人が、名前をカタカナで書いて上げると大変喜んでくれました。日本のTシャツに英語がプリントされているようなものでしょうか。
ただ、書き初めの由来を現地の人に説明するのは難しかったです。語学力もさることながら、由来など考えたこともなかったからです。日本のことを学び直すよいきっかけになりました。

閑話休題。多くの親御さんは、せっかく現地で英語に触れたので帰国してからも英語力を維持させたいと思うことでしょう。我が家もそうでした。そのため、1回目の帰国前には英語の子供本を買えるだけ買い、図書館でCDブックを借りて、自宅でダビングをしました。今ではネットで簡単にできるかもしれません。

こうして英語力の維持をさせようとしますが、小学校、自宅のTVなどなど、日本語を浴び続けますので、相当頑張らないと幼少期の英語力は維持できないです。土曜日に英語学校に行かせましたが、次第に足が遠のいてしまいました。今考えると、幼少期の英語は「Play ground英語(遊び場英語」と言って、話し言葉が中心で、文法はまだ学んでいませんでしたから、英語力の維持したとしても、子供言葉だったことでしょう。

帰国子女を育てることには苦労もありますが、海外ならではの経験もあります。仕事を抜けて幼稚園の学芸会に行ったり、ハロウィン用のカボチャ取りに行ったり。。。
苦労のほとんどは、言葉、でした。これから赴任して現地で子育てをされる人、特に幼少期の子供を連れて行く場合、日本語の絵本を持参することをおすすめします。
現地校に通えば日本語と英語のちゃんぽんは仕方がありませんが、自宅ではTV、ネットなどを利用して出来るだけ日本語に接する機会をもった方がいいと思います。そして、日本文化のイベントがあれば、経験させてあげる。


帰国してからの英語力の維持は、本人次第ですが、これといった方策は見つかりませんでした。強いて言えば、CDブックを聞いていましたので、ヒアリング力は維持でき、2回目の赴任の時に本人があまり苦労しなくてすみました。

子女教育は海外勤務者の一番の悩みです。最近、フランス人にとっては、日本は子女の母国語教育のインフラが弱い、と聞きました。インターナショナルスクールは主要都市にありますが、フランス語学校がない、とのことでした。

2回目に赴任した国は英語圏ではありませんでしたので、とても共感しました。



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