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帰国子女を育てる ということ(その5)

海外のインターナショナルスクールに通い続けながら日本の高校を受験する、ということになりました。子供が決めたことです。

日本の高校すべてに帰国子女枠があるわけではありませんし、都道府県によっては公立高校は中学時代の内申を重視するところもありますから、いくら受験の結果がよくても希望する高校に入ることはできません。

そうなると、私立・国立の高校になりますが、そもそも中高一貫校がほとんどで、高校から入ることが出来る先は限られています。

さらに見落としがちな気をつけないといけないポイントがあります。

それは、高校によっては、海外在住者には受験資格を与えていないところがあることです。この場合には、願書を提出する前には帰国して住民登録をしておく必要があります。

10月に日本に出張した際に、第一志望の学校の説明会に行きました。説明会が終わった後に、個別の質問に答える場が設定され、並んで待っていました。インターナショナルスクールの生徒でも受験資格があるか、ということでした。
ところが、意外な回答が帰ってきました。「日本に住民登録がないと受験資格がない」というものです。説明書にはそのような記載がなく、たまたま別の質問で聞いたから分ったことでした。

さあ、それからが大変です。帰国させないといけないのです。他の学校はそのような受験資格はなかったのですが、私以外は1月早々に帰国することになりました。

高校受験のためには、インターナショナルスクールにメモを書いて貰うことが必要になります。成績証明書のようなものです。日本の中学の先生にも「調査所」を受験する学校ごとに書いてもらう必要もあることも分かりました。どこかの高校に入らないといけませんので、複数の高校を受験します。そのために、いくら先生の仕事とはいえ、何枚も調査票を書いて貰うことになります。

11月には引っ越し会社に来て貰い、見積もりをしてもらいます。船便を出す日を予約し、帰国のフライトを押さえます。12月上旬には荷物を船便で出し、下旬には航空便で当座必要になる荷物を出しました。
同時に、日本の公立中学に連絡して、受け入れの準備をしてもらいます。制服は容赦してもらい、3学期だけの通学になってしまいますが、仕方がありません。
1月に帰国し、次の日には住民登録をし、教育委員会に転入の手続きをし、通学する中学校の先生と面談を行い、先生に改めて「調査書」の作成を依頼し、願書を高校に郵送する、という、どれか1つの工程が失敗すると受験できなくなるような状況でした。

当初は、一時帰国して受験し、それからまた戻って最後の海外生活を楽しんでから、本帰国する、という想定でしたが、「日本に住民登録があることが受験資格」ということで慌ただしいスケジュールになってしまいました。

幸い、第一志望の学校に入ることができましたが、あの時の説明会で並んで質問しなかったら、どうなっていたことやら。

帰国子女を育てる、ということは、未知なることへの模索・親としての鍛錬の機会、だと思います。

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