NHKスペシャル 渡辺恒夫 戦争と政治の御厨氏のコメント

2020年8月9日(日)のNHKスペシャルは、読売新聞グループ代表取締役主筆・渡辺恒雄氏を取材した『NHKスペシャル 渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像~』でした。

ネット上では、保守派の論客の渡辺氏をNHKが取り上げたことや、渡辺氏の語る戦後政治の裏側、などに様々なコメントがされていますが、私は、番組中の御厨氏のコメントが的確だっと思います。

「戦争というものがあって、戦争の体験からみんなが話しをしたときには、生活も入れば、文化も入れば、そのときの『嫌だったな』っていう感情も入れば、ものすごく議論そのものが豊かになるんですよ。政治の議論というのは基盤になるところが広くないとだめなんですよ。だけど今それがどんどんなくなって政治家にも官僚にもないというところで、何となく行き詰まり現象起きてるんだというふうに思いますね。
日本はこれからものを語っていく上で大変ですよ。戦争に代わるものとして何を、皆が知っている議論の中において議論をやっていくのか、それがもう共通のベースがないもの」

平成の時代に、皆が知っている議論として議論が出来た事象としては、「バブル崩壊」がありました。

バブル崩壊により株価・不動産価格が下落し、投資に失敗して財務体質が痛んだ企業や、多額の住宅ローンを抱えた個人を救済するのか、しないのか、その後の金融機関の破綻に対して公的資金を投入するのか、しないのか、など議論百出でした。そこには御厨氏が言う、政治の議論の幅広い基盤、言い換えれば、バブル崩壊という皆の共通した経験がありました。

今の政治は、まるでブラウン運動のように、大きな問題よりも小さな粒子のような問題がバラバラに飛び交っているように思えます。

御厨氏の言うように、これからの日本は実体験として共通するものがないのであれば、せめて近代史に正面から向き合う努力が必要なのかもしれません。



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