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定点調査を時系列比較したいが、調査の仕様変更もしたい。そんな時どうする?/従業員リサーチナレッジ

新型コロナ影響で働き方が変化する中、従業員による会社への評価を定点観測によって的確に把握し、意思決定することが重要になっています。今回はそんな「定点調査」のポイントやお悩みについて解説していきたいと思いす。

1.多くの企業が従業員リサーチを定点調査で実施する3つの目的

マクロミルではさまざまなテーマの従業員リサーチをサポートしますが、そのほとんどが「定点調査」です。定点調査とは、ある一定期間ごとに同じ質問の調査を行なうことで、回答傾向の変化を測り分析することです。
従業員リサーチの実施に当たっては、その取り組み自体を従業員とのコミュニケーションと位置付けている企業様もいらっしゃいますが、調査結果の分析の視点ではどうでしょうか。これまでマクロミルがサポートした従業員リサーチを振り返り、改めて、定点調査にする目的について整理してみました。主な3つをご紹介します。

(1)会社の健康診断として、何かしらの変化を把握できるようにするため
仕事に対するモチベーションや職場や上司に対する評価、会社方針への共感など、従業員満足度に関連する項目を定点調査で把握することで、会社の健康状態がわかります。

(2)従業員向け施策などの効果測定、改善点の確認や継続の検討のために
多くの企業が従業員の満足度向上のためにさまざまな施策を講じていると思います。その施策に対する評価や意見を確認することで、継続の判断や改善点を検討する材料にされています。

(3)会社方針や重点戦略、新制度などに対する理解度、浸透度を把握するため
従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲は業績の向上に不可欠です。


改めて整理すると、定点調査を実施するメリットを感じていただいた方もいるのではないでしょうか。そんな定点調査ですが、多くのお客様から「仕様変更」についてのご相談をいただきます。時系列比較をする場合、調査仕様を変えてしまうと、回答結果に影響することも多くあるため、基本的には調査仕様を変更しません。しかし、回答方法を紙の調査票からWebに変更したい、前任から引き継いだ設問を見直したい、アンケートシステムを変えて効率化したいなど仕様変更せざるを得ない状況も多く、よくお困りの声をいただきます。では、どんな仕様変更をすると、定点調査結果の時系列比較に影響を与えてしまうのでしょうか。

2.定点調査結果の時系列比較に影響を与えてしまう仕様変更とは?

従業員リサーチといった調査の種類に限らず、調査結果を時系列で比較する場合は、調査仕様を変更しないことが大前提です。なぜなら、設問文の言いまわしを変更することで与える印象が変わり回答傾向が変化したり、調査実施時期をある年は会社イベントの前にに、その次の年は会社イベントの後にと変えてしまうことで従業員のモチベーションが変わったりと、、影響が出てしまうことがあるからです。
ここでは、具体的に何を変えると回答結果に影響する可能性があるのかについてまとめてみました。

■調査企画段階
実施時期 ・・・ 実施する季節や月など
回答期間 ・・・ 同じ営業日数を確保できているか
回答方法 ・・・ 紙調査票か、Web調査画面か、見え方(UI)は同じか

■調査票作成段階
設問の順序 ・・・ 順番やランダマイズの設定は同じか
設問文 ・・・ 聞き方や表現は同じか
設問形式 ・・・ SA/MA/マトリクスなど前回と同じ形式か
選択肢 ・・・ 選択肢数や内容は前回と同じか

これから実施する定点調査の仕様検討では、上記の点について気を付けていただけたらと思います。
とはいえ、さまざまな理由から仕様変更することも多くあります。次は、調査仕様を変更した場合、回答結果にできるだけ影響を与えない工夫や、データの傾向が変わった場合の判断について、ご紹介します。

3.仕様変更で回答結果に影響を与えづらい工夫

よく、「新規設問を入れたい」というご相談をいただきます。
新しい制度を導入したので浸透度を確認したい、今年から始めた施策に対する評価を取りたいなど、従業員のためにいろいろな施策を講じているからこそ、その成果を確認したいのは当然だと思います。ただ、新規設問を入れることで前回までの設問順を崩してしまうと、それが回答結果に影響を与える可能性もあります。
新規設問を入れる場合は、まずは設問の順番を変えないように最後にできるか、検討していただくのがいいと思います。例えば、前年まではQ1で「会社に対する総合満足度」を聴取していたのに、今年は新規設問で「新制度の認知」や「施策への評価」などを聴取すると回答者は新規設問を答えながら会社の取り組みを改めて認識し、そのうえで「会社に対する総合満足度」を回答するため、前回よりもスコアが高く出ることが想定されます。
全体の流れとして違和感がないように、なるべく質問順を変えないことをお勧めしています。

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4.データの傾向が変わった場合の判断

実は回答結果に影響を与えない工夫はそう多くありません。みなさまからいただく仕様変更のご相談は、ほとんどが回答結果に影響を与える可能性があります。そこで回答傾向が変化した場合、「時系列による実際の変化」なのか「仕様変更が影響してしまった変化」なのかを判断しなければなりません。そのポイントについてご紹介します。

■同一調査内で仕様変更ありの設問と仕様変更なしの設問について、時系列結果を比較する
仕様変更が調査内の一部の設問の場合、仕様変更をした設問としなかった設問で時系列結果を比較することで、判断することができます。
仕様変更していない部分でもスコアに変化がある場合には断言できませんが、時系列による変化という可能性もあると判断していいと思います。

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■前回と今回だけでなく、それ以降も回答傾向をウォッチする
前回の調査結果と今回仕様変更をした調査結果の比較だけではなく、、今後実施していく数回の調査結果を比較していくことで、時系列による変化なのか、仕様変更の影響なのかを判断をしていきます。
もし仕様変更が影響していた場合、変更後の結果については、参考値として見ていくに留めていただくことをお勧めしています。

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今回の結果は高いのか、低いのか。
従業員リサーチは他社の結果と比べられないケースも多いため、自社の結果を時系列で比較することが多くなります。とはいえ、いろいろな理由から仕様変更することもあると思います。そんな時は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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筆者
企業様の従業員リサーチなどをご支援するリサーチプラットフォームグループ(左から、平岩、竹内、川村、徳田)

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