あそびの価値をどう伝えよう。導き出した「あそび場は『社会インフラ』」というキーワード
「あそび」って何だろう。あそび場を届けるとはどういうことだろう。
まちのこ団を立ち上げて3年目。より多くの“子どもたちの原体験を豊かにする”べく、「県北BCPアイデアソン」というプログラムにチャレンジする機会を頂きました。
約半年間の中で、新しい事業を開発する。正直、試行錯誤と苦悩の連続でした。それでも、もがいてもがいて、最終的に「優秀賞」及び「審査員特別賞」という結果を頂くことができました。
「あそび場を『社会インフラ』にする」。半年間の試行錯誤の末、たどり着いたキーワード。そこまでのお話、そしてまちのこ団の決意について、お付き合いいただけますと幸いです。
県北BCPアイデアソンへの挑戦
県北BCP(Business Challenge Program)とは、茨城県北地域の企業10組がリーダーとなり、アイデアやスキルを持ち寄った一般参加のチャレンジャーたちと一緒に新たなビジネスにチャレンジするというプロジェクトです。
選ばれたリーダーは県北地域では名実ともに実績のある方々で、その中にまちのこ団も並ばせていただきました。恐悦至極。ありがとうございます。
(県北BCPについて詳しくは公式ホームページをご覧ください:https://civicpower.jp/bcp/)
全6回のアイデアソン、前半戦。
当初、私たちまちのこ団は「あそび場のアイキャッチコンテンツをつくる」というテーマで臨みました。
課題意識として、まだまだまちのこ団と移動式あそび場について認知度が低く、もっと広く活動を知ってもらいたいということがありました。チャレンジャーが考えやすく、そして面白いアイキャッチコンテンツができればシンプルに注目を集められ、認知度向上につながるのではと考えていました。
まちのこ団ブースに集まってくださったのは、生命保険会社社員、食育教室運営者、大学職員、銀行員、活動家、コミュニティ運営者、県職員の方などなど。普段の活動の中ではなかなか関わる機会のない肩書の方々の視点やアイデアは、なるほど!の連続でした。
「アイキャッチコンテンツ」として、バルーンアートができるチャレンジャーの方に巨大イバラキくんをつくってもらいました。
中間発表。コメンテーターに伝わらなかった「あそび」の価値
「アイキャッチコンテンツをつくる」。形にはなりましたが、事業化につなげることが難しく行き詰まりました。
そこで本来の「移動式あそび場を広げるには」という部分に立ち返り、①移動式あそび場のニーズがあるところはどこか、②顧客に提供できる価値=まちのこ団の特徴と強みは何か、を考え、10月の中間発表では「移動式あそび場を提供したいところ=新規顧客獲得について」を発表しました。
コメンテーターの方々からは、「マネタイズのイメージがつかない」「利用するかと言われたら、しないと思う」「価格に見合った価値が提供されるのか疑問」など、厳しいコメントを頂きました。
正直、ショックでした。「あそび」の価値を伝えることの難しさを痛感しました。
後半戦。改めて考える「あそび」って何だろう
どうしたらあそびの価値が伝わるか。中間発表での結果を踏まえ、あそび場の提供価値について調査、分析を行い、最終報告会前最後の回では、改めて「あそび」とは何だろう、ということを話し合いました。
「子どもにとってあそびが大切だということはわかるけれど、でもそれがどう大切かという重要度が伝わりにくいよね」
「確かに。どう言えばより大切さが伝わるだろう」
「あそびは生きる力をつけるために大切」
「あそびからたくさん学びを得られるから大切」
「うーん、わかるけど、なんかいまいちピンとこないよね」
議論が煮詰まりかけたそのとき、お子さんのいるチャレンジャーの方がぼそりと。
「子どもにとってあそびって、息をするように当たり前なことだと思うんだよね」
「「「それだ!!」」」
「息をするように当たり前なこと」=「生きるのに欠かせないもの」=「空気、水、食事」=インフラだ!!
「社会インフラ」。電気、水道、ガスや、道路整備、医療や行政サービスなど。私たちが生きていくうえで無くてはならないもの。
子どもたちにとって、あそびは生きていくうえで無くてはならないもの。「あそび場は『社会インフラ』」。光が見えた瞬間でした。
迎えた最終報告会
7回目の最終報告では、BCPリーダーとチャレンジャーが取り組んできた事業について発表し、5名のコメンテーターとオーディエンスにより選ばれたチームに賞として「最優秀賞」「優秀賞」そして「オーディエンス賞」が用意されていました。
審査員(コメンテーター)の方々。豪華です。
全10組の発表。まちのこ団は休憩をはさんで後半2組目の発表でした。あそび場は子どもたちにとっては生きる上で欠かせないもの、社会インフラであるということ、そして実現のためのアクションを発表しました。
「優秀賞」と「審査員特別賞」頂きました!
評価項目は、下記の6点。
なんと、光栄なことに、「優秀賞」を頂くことができました!さらには、コメンテーターのNPO法人パブリックマインド 理事 /Eight Roads Ventures Japan Vice President 公山 倫子さん選出の「審査員特別賞」も頂き、ダブル受賞!うれしい…。(「審査員特別賞」は、審査員1人1人が選出する形式となっています)
コメンテーターの方々からは、「自分がまさに子育て中で、どこか出かけようとすると準備が大変、移動が大変、気を遣うことも多いが、マンションに来てくれることで気軽にアクセスができ、さらにご近所との付き合いのきっかけにもなる。住んでいるマンションにあるといいと感じた」
「(プレゼンの機会に立ちあうことが多いが)話を聞くたび成長している。誰がやっても難しい事業だと思うが、やり続けることが大切」
などお言葉を頂きました。
(最終報告会について詳しくは公式ホームページをご覧ください。他の9組のリーダーの方々のお話もどれも興味深く、ワクワクしながら聴いていました。https://civicpower.jp/bcp/2022final/)
「あそび場を『社会インフラ』にする」ために
中間報告会では伝わり切らなかった「あそび」の価値。チャレンジャーの方々との会話からキーワードが生まれ、最終報告会では少しは伝えることができたのではないかと感じています。
最後に少し、個人的な話をさせてください。
あそびを通して子どもたちの原体験を豊かにしたい。あそびを通して少しでも生きやすい世の中にしたい。そんな想いを胸に、2019年末に茨城県にUターンをしてまちのこ団を立ち上げ、約3年間駆け抜けてきました。
はじめの頃、想いはあるけれどそれを事業としてやっていくにはどうしたらいいのか右も左もわからなかったとき、力になってくださったのが今回のBCP運営のしびっくぱわーの皆さんでした。(いつも本当にありがとうございます!!!!)そして、茨城県北地域の起業型地域おこし協力隊(KENPOKU PROJECT E)に着任し、県の方々はじめ多方面から様々なバックアップをしていただきました。
起業型地域おこし協力隊の任期は最大3年のため、今年度1月31日付で満了。上記のような背景もあり、今回のBCPアイデアソンはまちのこ団にとってひとつの大きな区切りであり、大きなチャレンジでした。
今回、光栄なことに賞を頂くことができたことは、本当に励みになりました。何より、集まってくださったチャレンジャーの方々から、まちのこ団の事業は良いものだから広めたい、世の中には必要だよ、と言ってもらえたことは本当にうれしかったです。
改めて、チャレンジャーの皆さま、そしてしびっくぱわーの皆さま、関わってくださった皆さま、ありがとうございました。
まちじゅうどこでもあそび場に。あそび溢れる社会に向けて、これからも一歩ずつ進んでいきます。どうぞお力添えのほどよろしくお願いいたします。
(まずは住環境にあそび場を。不動産関係、住宅関係、ディベロッパーの皆さまなど、お知り合いにいらっしゃいましたらぜひお声がけくださいませ)
(写真=しびっくぱわー・まちのこ団/文=サトウミキ)
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