アメリカにもある「緑の日」?!
3月17日は何の日?
突然ですが、3月17日が何の日だか知っていますか?
3月17日は「St. Patrick's Day (セントパトリックスデー)」私が呼ぶところの「緑の日」。「St. Patrick's Day」は、アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックの命日で、彼の功績をたたえるアイルランドの祝祭日だそうです。ここアメリカでは、祝日にはならないものの「St. Patrick's Day」を意識して、アイルランドを象徴する緑色を身にまとった人がたくさん出没します。アイルランド系の人はもちろんなのでしょうが、そうでない人も「St. Patrick's Day」には緑の服を着たり、緑の帽子を被ったり、緑のアクセサリーをつけたり。クリスマスにサンタハットを被る(『クリスマスにはサンタハットを。その心は?』)のと同じで、基本的に陽気なアメリカ人ならではの、なんとはない行動のひとつとお見受けします。クリスマスにサンタハットを被ったり、赤いセーターを着たり、St. Patrick's Dayに緑の服を着るということを知っていはいるものの、どうにも気恥ずかしさが先立ってしまい、結局何もできない私は、なんて日本人!
もう何年も前のことになりますが、働いていたベーカリーカフェでSt. Patrick's Dayに何気なく覗いたキッチンで、真グリーンのシェフコートを着て溌剌と働いていたオーナーのKarenさんの姿が、今でも目に浮かびます。ちなみに彼女はデンマーク系のアメリカ人。彼女の姿は、まさに、
“Screaming St. Patrick's Day (セントパトリックスデーを叫んでいる )”でした。どことない気恥ずかしさと、他国の文化や習慣に対しての勝手な遠慮が先立ってしまう私にとっては、見ているだけで楽しい、そしてちょっとうらやましい姿でもありました。
そう、職場でもお店でもレストランでも、それこそ街中でも「St. Patrick's Day」には、そんな陽気なアメリカ人の姿にたくさん出会うので、私は「St. Patrick's Day」を「緑の日」と呼んでいるのです。
アイルランドといったら…?
「St. Patrick's Day」の影響もあり、アイルランドといったら「緑」のイメージですが、果たして日本でも同じような印象を持つものでしょうか。
同じように、アイルランド人というと、透き通るような色白の肌、赤毛、そして、そばかすです。なんていう発言をすると、アメリカでは「人種差別だ!」とも言われかねないのですが、私としては差別の意図は全くなく、むしろ一種の「憧れ」が根底にある発言なんですけどね。
でも、実際のところは何人であっても「赤毛のアン」のアンのように、赤毛やそばかすをコンプレックスに感じている人のほうが多いようなので、気軽な発言は避けた方がいいのかもしれません。それでも私は、スポーツ選手や俳優で色白で赤毛の人を見ると、つい旦那さんに「この人アイルランド人?」と聞いてしまいます。あくまでも家庭内の会話ですのであしからず。
でも、「え?これって赤なの?」っていう茶系の髪でも「赤毛」だったり「これは赤毛でしょう!」という髪色に「いや、これは明るい茶髪だ」と言われたり。私には未だに赤毛と茶髪のボーダーラインが見えてきません。
なぜだか難しい…
アイルランドの妖精
もうひとつ、アイルランドに欠かせないものと言ったらレプラコーン (Leprechaun) ですね。レプラコーンは、アイルランド民話に登場するいたずら好きの妖精です。あ、妖精というとティンカーベルのような背中に羽があったりする、かわいい感じを思い浮かべるかもしれませんが、レプラコーンは、赤毛で髭ずらの小っちゃなおじさん。もちろん、緑の服を着ています。NBA好きな人は、Boston Celtics のマスコットキャラクターと言えば分かりますね。あれ、ただのおじさんではなく、妖精なんです、妖精。
このレプラコーンについて、フツーのアメリカ人(この場合は、アイルランド系ではないアメリカ人という意味)はどう思っているんだろうと思い、日系二世の旦那さんに聞いてみました。
私:レプラコーンって言うと、どんな感じ?
彼:レプラコーン?あぁ、、、日本のほら、あれ、あれ、あれ、、、
私:天狗?
彼:ちがう、ちがう。あれ、あれ、、、
私:あぁ、カッパだね!
彼:ちがう。ほら、あれ、、、
私:え、たぬき?
彼:そう、たぬき!
た、たぬき?
どうやら、彼の中ではたぬきは想像上の生き物のようでして。緑だし、悪戯をするからカッパのほうが近いんじゃない?と提案してみると、それはそれで否定はされませんでしたが、たぬきも悪さをすると思っているらしく、やっぱりたぬきがいいようでした。まぁ、いいんですけどねぇ。
幼い頃、動物園で「次は何が見たい?」と聞かれた私が「たぬき!」と答えると、3歳上の兄が真面目な顔で「マチコ、たぬきはおそばやさんに行かないといないんだよ」と諭していたという、母から聞いた話を思い出してしまいました。
「St. Patrick's Day」ならではの食べ物は?
祝日にはその日ならではの食べ物がつきもの。
私にとっては「St. Patrick's Day」と言ったら、マクドナルドの期間限定の「シャムロックシェーク」!はい、伝統も何もありません。
シャムロックというのは、クローバーの一種で、アイルランドはもちろん「St. Patrick's Day」のシンボルとしては欠かせないものです。マクドナルドのシャムロックシェークは、見た目は緑で、味はミント。チョコミントのアイスクリームが好きな人にはお勧めです。「期間限定」モノが大好きな私としては、毎年「St. Patrick's Day」の時期になるとシャムロックシェークを求めてマクドナルドへ行ってしまうのです。
あとは、実際に買ったことこそありませんが、スーパーなどには「これ、食べるの?」系アメリカ流緑のカップケーキやクッキーなどが並びます。
そして、ベーカリーで働く私にとっては「St. Patrick's Day」と言ったらIrish Soda Bread (アイリッシュソーダブレッド) です。見た目にはスコーンに近い感じで、膨張剤にイーストではなくベーキングパウダーやベーキングソーダを使う、いわゆる「クイックブレッド」と呼ばれるタイプのパンです。ちょっと紛らわしいのですが、アメリカでは、Banana Bread (バナナブレッド)は、日本でいうところのバナナのパウンドケーキになります。形はもちろんパウンドケーキ型ですよ。同じように、Apple Bread (アップルブレッド)、Pumpkin Bread (パンプキンブレッド)、Sweet Potato Bread (スイートポテトブレッド)もみんな、日本でいうところのパウンドケーキ。
さて、ソーダブレッドですが、私が過去、アメリカの3店舗で作ってきた製品から考えると、最大の特徴はCaraway Seed (キャラウェイシード) と呼ばれる、クミンにとてもよく似たスパイスが入るところでしょう。パンの中にはブラックカレント(小ぶりの干しブドウ)やレーズンが入り、トップには十字の切り込みが入れられます。私、スコーンはもちろん、クイックブレッド全般は好きなのですが、このソーダブレッドだけはどうしても… というのも、Caraway Seedが苦手なのです。好きな人にとっては、これが何とも言えずおいしいらしいのですが、ライブレッドのような独特な匂いがどうしてもだめなのです。そして、自分が好きでないものは、どうしたって作ることにも消極的に。うまくできたのは分かっていても食べたくはないとなりますからねぇ。悩ましいところです。
日本でも「St. Patrick's Day」?!
日本でも場所によっては「St. Patrick's Day」のパレードが開催されるところもあるようですが、移民の国アメリカと比べると、日本での「St. Patrick's Day」の馴染み度はまだまだかと思われます。でも、ハロウィンやイースターのように、そのうち日本でもその知名度が上がってくるかもしれません。
「St. Patrick's Day」は3月17日。
流行り先取りで、何気なく緑でも身にまとってみますか?
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