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クリスマスにはサンタハットを。その心は?

クリスマス前のこの時期、アメリカで見かける、とても微笑ましい、私が好きな光景があります。それは、サンタハットをかぶった人の姿。ここで言うサンタハットというのは、いわゆる日本なら百均で、アメリカならDollar Storeで買えるアレ、よくあるサンタの帽子のことです。そして、目撃する場所は、お店だったり、家の近所だったり、つまりどこでも。サンタハットをかぶっているのは、子供からお年寄りまで、それこそ老若男女。時には、ひとりでお買い物をするおじいちゃまが、また時には、仲良くデート中の若いカップルがおそろいで、そして、小さな子供を連れたママも。と言っても、みんながみんなかぶっているという訳ではないですよ。普段の生活の中で、サンタハット姿の人をちらほらと見かける、ということです。アメリカに来たばかりの頃は、普段着にただサンタハットのみを追加している感じの姿に、私はどうも違和感を覚え「これは何かの冗談なのかな?」なんて、変に深読みしようとしたものです。私のイメージでは、サンタハットはクリスマスパーティーやイベントの際に、サンタクロース役になる人がかぶるモノなのです。まさか普段の生活の中で、しかもクリスマス当日でもないのに、まるで普通の帽子と同じような感覚で着用されているのを目撃するとは…。だもので、なんだかちょっとおかしかったのです。ところが、隣にいるうちの旦那さんの様子をうかがうと、これが全く気にする様子もないのです。

先日、サンタハットならぬ、緑色のエルフハットを着用した男性を見かけまして、改めて、クリスマス前になるとサンタハットを普通にかぶる「その心」を、日系アメリカ人二世の旦那さんに聞いてみました。彼の思うところをまとめると、要するに、クリスマスを楽しむ一環として、一番手っ取り早くできるものがクリスマスハットなのだろう、とのこと。なるほど。女子がクリスマスデザインのネイルをする行動と近いってことね。そう考えると少し納得。

アメリカの人たちは、日本と比べると、自分が着たいものを着る傾向があります。真冬であろうと、暑いと思えばタンクトップを着るし、ビーチサンダルをはきたければビーチサンダルをはきます。時には、それはどう見てもパジャマですね、という姿でお買い物をしている人だって見かけます。先日は、レストランでひとりで食事を楽しんでいるおじいさまが、なぜか靴下のみで靴の姿が見当たらず、これはいったいどういうことなのだろう?と不思議に思ったものです。つまり、周りからどう見えるか、という項目の優先順位が限りなく低いのでしょう。そんなアメリカならではの、自由さ&気楽さが爆発している感じが私は好き。日本にいる頃から、もっぱらGパンとTシャツの私にとっては、過ごしやすさは満点です。

そういう訳で、おそらくは「もうすぐクリスマス!→待ち遠しい!→そうだ、今日はサンタハットをかぶろう!」みたいな流れで、普段着にサンタハットが追加されるのでしょう。本人も楽しく、周りの人もほっこりする、アメリカらしいクリスマスの楽しみ方です。

さて、サンタハットは最も手っ取り早いクリスマスアイテムと書きましたが、もう少しお金と気合いを使おうと思ったら、Ugly sweater(アグリーセーター)と呼ばれるクリスマスデザインのセーターがあります。アグリーセーターを日本語にするならば、もしかしたら今や死語なのかもしれませんが「ダサいセーター」とでもいったところでしょうか。あえてイケていないクリスマスデザインがあしらわれたセーターのことで、クリスマスパーティーのときに着る人が多いようです。旦那さん曰く、アグリーセーターのデザインは、年々アグリーになっているとのことで、最近では安っぽい電飾がついたものなどもあるようですよ。これをクリスマスパーティーに着て、みんなで笑って楽しむのです。普段着に追加されるサンタハットと比べると、ハロウィンのコスチュームに近い感覚がありそうですね。

私には、毎年家にアメリカ並みのイルミネーションを施し、大きなクリスマスツリーに飾りつけをして、お友達やご家族と盛大なクリスマスパーティーを開く、クリスマスが超好きな、日本のお友達がいます。以前、このお友達にクリスマスプレゼントで、アグリーセーターを贈ろうかと考えたことがありました。着る機会は間違いなくあるし、何よりもクリスマスが大好きなので、この独特な感覚を楽しめるとしたら彼女しかいない!と思ったのです。これはGood ideaかも♪と思いながら、勇んでお店にアグリーセーターを買いに行ったのですが、結果から言うと、買えませんでした。理由1、あまりにもアグリーで。。。アグリーであればあるほど楽しいはずなのですが、私にはどーしても彼女があのセーターを着ている姿が描けなかった…(笑)。そして理由2、これが意外とお高いのです。と言っても、普通のセーターの値段なのですが、おそらくは年に1度しか着ないであろうこのアグリーなセーターに、この値段を払う、と考えると、どうにうも胸が苦しくって。数多く並ぶアグリーセーターを片っ端から見ては、あ~、う~、でも~、とひとりで苦悩の時間を過ごした後、「やっぱり無理~」となり、結局、可愛いクリスマスデザインのパジャマセットに落ち着いたのでした。なぜか、敗北感。

そうそう、アメリカへ来て間もないころのクリスマスに、Christmas stocking(クリスマスストッキング)、つまり、サンタの靴下に、適当に見繕ったお菓子をあれこれ入れて、日本の父と母に贈ったことがありました。お菓子好きで、ごちゃごちゃした可愛いものに喜ぶ母の顔を思い浮かべてのことでした。送ったお菓子はふたりで仲良く分けあって楽しんでもらえたとのことでしたが、後日、父から奇妙なリクエストが届きました。「サンタの靴下は結構あったかい。もう片方も送って欲しい」というのです。は?サンタの靴下は当然のことながら履くために作られているものではなく、しかもフェルト生地だったような。。。ていうか、履いたの?あったかいの? 冗談かと思いきや、どうも真面目なリクエストのよう。なので、探しましたよ、もう片方を。リクエストが来たのはクリスマス直前だか直後だったかで、同じ商品を切らしているお店が多くて、旦那さんに「あったよ~」と似通ったものを渡されるも「だめだめ、同じものでないと。履くんだから」と、なんとも奇妙な会話。思わぬ時間をかけて『もう片方』を調達したものです。また後日、母から父が本当に履いていること、下手したら、人が来たときに履いたまま出ていきかねない状態でハラハラしていると聞き、笑ったものです。人目や常識を気にせず、サンタ靴下を履く父は、もしかして、自由で気兼ねないアメリカ人のマインドを持っていたのでしょうか?でも、サンタ靴下を履いたっていう人の話は、アメリカでも聞いたことないなぁ。


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