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褒め上手なアメリカ人



人と人との距離感

日本と比べると、人と人との距離の近さを感じることが多いのがアメリカ生活。ここで言うところの『人と人との距離』は、見ず知らずの人同士の距離のこと。家族や友達、同僚など、身近な存在の人との距離は、たとえ何人であっても、個人個人がそれぞれの関係性を築いていくものですからね。誰と、どのようにして、どのような人間関係であるかは、どこにいようと私次第なのだと信じています。

さて、今日フォーカスすのは、アメリカ生活の中で、たまたま出会った人との距離感について。これぞアメリカ!と思える経験談を紹介しつつ、考察をしてみようと思います。

プチ褒めはコミュ力なり!

アメリカ人はとにかく誉め上手。
お店のレジでたまたま同じ列に並んでいた人に「あなたの髪型ステキね!」とか「いい色のシャツだわ!」というような『プチ褒め』は日常茶飯事。アメリカ生活が長い、私の日本人の知り合いは「会話を始めようと思ったら、まずはその人のタトゥーを誉める!」と言っていましたっけ。アメリカでタトゥーを入れている人にとっては、自慢のタトゥーに興味を持ってもらえるのは嬉しいことで、いろいろと話をしたくなるようです。なるほどと思うところも多いので、私も職場に新人さんが来たときはよく使わせてもらっています。「Nice tattoo! (いいタトゥーだね!)」とか「What's in your tattoo? (なんのタトゥーなの?)」と聞くだけで、期待以上にいろいろな情報が得られるものなんですよ。
たまたま居合わせた人を誉める行為は、コミュ力のひとつ。褒められて嫌な気持ちはしないですからね。たとえその場限りの人付き合いであっても、お互いにポジティブな方向性で向き合えるのは気持ちがいいものです。
「今日も暑いですねぇ」の代わりに「その日傘、素敵ですね」と言ってみてもいいのかも。

アメリカ人は、こんな風に人を誉める

上で挙げたような、❝とりあえず褒めてみた❞ 以上の褒められ体験がしばしばおこるのがアメリカ生活。どういうことかというと…

先日、週1で食料品の買い出しに行く大型スーパーで買い物を終え、持参したバッグをアメリカンな大型カートに入れて駐車場を歩いていたときのことでした。後ろから車がグイーンと近づいてきて、私の横で止まりました。次の瞬間、助手席側の窓が下りて、運転席のおばさまに笑顔で「Nice basket! (素敵なバスケットね!)」と声をかけられました。私のカート内には、日本のお友達の手作りの、このバスケットが鎮座していたのです。👇👇👇

使い勝手最高!

おしゃれで丈夫で大きくて、お買物に最適。正直、このバスケットを使い始めてから、いつかはこんなことがあるだろうな、と予測はしていましたが、カート内のバスケットを目ざとく見つけて、これは一声かけなきゃ!と車を寄せてくれるのがアメリカン。

別のときにも、同じく日本のお友達からもらったバッグを背に歩いていて、後ろから近付いてきた車の人に「いいバッグね!どこで買ったの?」と声をかけられたこともありました。自分がいいと思ったものはいい、相手が誰であるかは関係なく、この気持ちを伝えたい!と思い、実際に伝えるのが、アメリカ人にとっては至って自然な行為のようです。ということを当のアメリカ人に言っても「ん?何のこと?」と言われそうですが、こんな風に当たり前にポジティブのお裾分けができるのは、アメリカ人の魅力のひとつです。


ごく最近、病院でお世話になった看護師さんも然り。不安な気持ちでいた私の姿を一目して「あなたのズボン、いいわね!」と。その時、私がはいていたのは、半年前の日本への一時帰国時にユニクロで購入した、ワイドな綿パン。日本で流行っているように思えて購入したものですが、確かにアメリカではあまり見ないシルエットなのかも。おしゃれな雰囲気が漂う、スラッとした若い看護師さんは、さすがに目ざとい。笑顔で返したものの、なんとなくそれどころではなかった私だったのですが、しばらくすると私の姿をまじまじと眺めた彼女が「やっぱり、あなたのズボン、すごくいい!」と。彼女の本気度がひしひしと伝わってきたので「これ、日本で買ったの」と言うと、「あ~、やっぱりぃ。どこで買ったのか聞こうと思っていたんだけど、ほらねぇ、私が買えないところでしょ?全く、そんなもんよね~。それにしても、それ、本当にいいわ」って。
すごいぞ、ユニクロ。

褒めるのも怒るのも気兼ねなく…?

また、少し前のことになりますが、こんなこともありました。
仕事帰りの夜道をひとりで運転していたときのことでした。道路工事によって、いつも使っている道が通行止めで回り道を行くようにとの看板が出ていました。どの車もそれに従って徐行していたつもりだったとは思うのですが、道路工事は爆音で続行中だし、暗いしで、3車線くらいあるうちのどの車線が使用可能なのかが、いまいち不明。誰もが、一体どこを走ればいいの?って感じで、私も「こういうことかな?」と思えた車線を自信なく徐行していました。その時、ふと横を見ると、大きな重機に乗った威勢のいい黒人のお姉さんが私のことを指さしています。怒られるのかと思ったら「You! You! You are doing right! (あなた、あなた!あなたがやっているのが正しい!)」と。続いて、大声で周りの車を「Follow her!(彼女について行って!)」と促したのです。豪快に怒られるのかと思ったら、豪快に褒められたという、これまたアメリカっぽい経験でした。

アメリカ人並みに誉めまくる私…?

こんな風に私自身、アメリカでの日常生活の中で、褒められて嬉しい経験をしてきているので、私もそれなりに人を誉めることができるようになってきたように感じます。たまたま居合わせた人への『プチ褒め』はまだ練習中として、顔見知り程度の人に「髪切ったの?いいね!」とか「その色、良く似合うね!」なんていう言葉は、我ながら驚くほど自然に出てくるようになりました。

ちなみに褒められたときの反応は「ありがとう!」が基本。「いやいや、そんなことないですぅ」と言うのは日本式。たとえそんな言葉が頭を過ったとしても「Thank you!」と返しましょう。その方がお互いに気持ちいいものですからね。これも、アメリカで学んだコト。

先日、コロナのブースターとインフルエンザワクチンを接種してきました。アメリカでは、ドラッグストア内の薬局で接種ができます。前回注射してもらったドラッグストアのテクニシャンのお兄さんが驚くほど上手だったので、同じお兄さんがいてくれることを願って、同じお店で予約。ラッキーにも、その彼が今回も注射をうってくれました。これが前回にもまして上手で、驚くほど痛みなし。
注射直後に「前にもあなたにうってもらって、すごく上手だったからこのお店に来たの!」「今日あなたがいてくれて本当によかった!」しまいには「You are the best! (あなたが一番!)」とまで、なぜか誉め続けずにはいられなかった私。「僕も今日ここにいられてよかったよ」と一緒に喜んでもらいましたが、帰りの車を運転しながら、我ながら、なんであんなに誉めまくったんだろう?と苦笑せずにはいられませんでした。


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