町医者 松嶋大

こんにちは、町医者です。 岩手県盛岡市にて「なないろのとびら診療所」を運営しています。…

町医者 松嶋大

こんにちは、町医者です。 岩手県盛岡市にて「なないろのとびら診療所」を運営しています。 総合診療をベースに認知症診療と在宅医療に集中する、自称「患者バカ町医者」です。 理念は、日々最善を尽くすこと。 みなさま、どうぞよろしくお願いします。

マガジン

  • 町医者エッセイ

    町医者松嶋大が書き溜めているエッセイです。

  • しごとのこと。活動のこと。

    町医者松嶋大のオフィシャルなおしごと、活動のお話です。 なないろ、おたがいさま、財団のこと。

  • おちゃのま

    盛岡市仙北町にあるおちゃのま。屋根のついた公園。 この公園についての記事です。

  • ブラック町医者

    キレイゴトでは語れない町医者がそこにおります。

  • 生きること、死ぬこと。

    人生とはなんだろう。 生きるとは、死ぬとは? 終末期医療を中心に生死について考えてみます。

最近の記事

  • 固定された記事

こんにちは、町医者松嶋大です。

こんにちは、町医者の松嶋大です。 岩手県盛岡市仙北町の「なないろのとびら診療所」を運営しています。 総合診療をベースに認知症診療と在宅医療に集中する、自称「患者バカ町医者」です。 理念は、日々最善を尽くすこと。 患者さんの健康と幸福のため、食にも力を入れています。 みなさま、どうぞよろしくお願いします。 ----- ★町医者松嶋大 https://lit.link/machiisya ★なないろのとびら診療所で町医者をしています。 http://www.clin

    • 何かしらのバリアを持つ方が、社会と繋がっていくこと。事実ともに。

      何かしらのバリアのために、社会との接点を持つのが容易ではない方。 少なくないです。 なないろのとびら診療所では、そのような方が社会との接点をわずかであっても持てるように、いくつかの取り組みをしています。 今回はそのうちの二つをご紹介します。 -- 不登校の女子高生が外来を受診。 ぼくが診察室で解決できることはなかった。 そこで、なないろの外来でバイトしてもらうことに。 誰かの役に立っていると気づくことが大切だと思ったから。 日増しに笑顔が増え、動きがどんどんスピー

      • 全うした@町医者エッセイ

        老衰で、最期が迫っていた常男さんが、やっとの思いで声を絞り出しおっしゃいました。もはや目は開ける力も残っていませんでした。常男さんは、この翌日にお亡くなりになりました。 まもなく最期を迎えんとする患者さんに、私は、お聞きすることにしています。 「どのような人生でしたか?」 患者さんをしっかり憶えておきたい、患者さんが歩んだ人生を憶え患者さんの物語を残し繋いでゆきたい、そういう思いからお聞きしています。 さて、「全うした」と語った常男さんは、すでにやりき

        • 憧れの男@町医者エッセイ

          矢兵衛さん、心から尊敬してやまない患者さんです。いや、敬愛する男性と申し上げた方がいいでしょうか。同じ男として、その生き方に惚れた方です。 初対面の折、矢兵衛さんの盛岡弁を耳にし、とっさにお尋ねしました。 「矢兵衛さん、もしかして仙北町のご出身ですか?」 同じ盛岡弁であっても、地域によって若干異なる印象があります。矢兵衛さんの盛岡弁は、私にとって最もしっくりする響きで、かつとても懐かしい響きでした。なるほど、私の祖父母が操っていた方言に似ているなと。祖父母も、かく

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        記事

          「生ききる」を選べる時代に@町医者エッセイ

          Sさんの葬儀に参列しました。私はSさんの最後の主治医。葬儀の数日前、Sさんは、ご自宅で、愛するご家族に囲まれその人生に終止符を打たれました。 葬儀中、遺影の真正面に立つと、溢れ出す涙をこらえられませんでした。晩年、苦しみが少なくなかったはずのSさんが、遺影の奥で穏やかに笑みを浮かべていらっしゃる。眩しすぎました。Sさん、本当にごめんなさい、僕にもっとできることがあったのではないですか。Sさんに申し訳ない気持ちで一杯でした。一方で、尊敬すべき人生の先輩のSさんの、偉大な人生の最

          「生ききる」を選べる時代に@町医者エッセイ

          一人称、二人称、三人称としての私。

          医師は、患者さんの前で、一人称でしょうか、それとも二人称もしくは三人称でしょうか。 一般的に、一人称が私、二人称があなた、三人称が他人と定義されます。 医療現場に置き換えると、患者が一人称ならば、家族が二人称とされることが多いようです。となると、医師は三人称、つまり他人でしょうか。 医師は、患者にとっては間違いなく他人です。しかし、病を通じて患者の物語に関わるとき、単なる他人とは思えない局面も少なくありません。 医師は患者にとって何人称であるかを考えることを通じて、患者との距

          一人称、二人称、三人称としての私。

          おうちに帰りたい@町医者エッセイ

          「痛み止め増やして、先生。でもね、眠くはなりたくないの。家族ともっと話したいから」 痛みに耐えながら初江さんは懇願されました。 末期胃がんを患う40代半ばの初江さんは、日々襲う耐え難い痛みと闘っていました。モルヒネを使っていましたが、痛みは日増しに悪くなる一方で、その量も日々増え続けました。モルヒネを増やすと痛みは軽くなるのですが、引き換えに眠気が強くなりました。痛みを取って欲しいけど眠気も困る。痛みと眠気、初江さんにとってジレンマな二重苦でした。 二重苦に立ち向かうため

          おうちに帰りたい@町医者エッセイ

          未完成なぼく@町医者エッセイ

          大都会で働いていた湊さんは、60歳を目前に故郷岩手に戻りました。運命は残酷でした。岩手に戻り程なくして、湊さんを病魔が襲います。胃ガンでした。手術にて一旦は改善するも病魔はすぐ勢いを取り戻します。再発と転移。抗ガン剤治療を受けましたが、少しずつ効かなくなりました。いよいよどの薬も受け付けなくなり、緩和医療中心の自宅療養を希望され、私のところにやってきました。梅雨の最中、ジメジメした7月初めでした。 初対面の折、末期ガンであることは一目瞭然でした。顔はやせ細り、治療の影響で喉

          未完成なぼく@町医者エッセイ

          町医者出前講座のミッション:区別して差別をなくす

          区別と差別。 全く異なった意味ですが、なんとなく同義のように解釈されることがあります。 例えば、ピック病を患う方が万引きしたとします。 ぼくは「ピックだからアタリマエだよ」なんて言うと、ある方が「差別的発言だ」とおっしゃいます。 ぼくは差別をした意図は皆無ですが、差別的だと感じる人がいることを知ることが大切です。差別は差別だと主観的に感じるところから広がっていくと思うからです。 ぼくの願いは「差別がない社会」です。 差別がない社会って、どのような社会なのか考えてみまし

          町医者出前講座のミッション:区別して差別をなくす

          AIと人間の架け橋に。

          AIが日常的に普及すれば、町医者松嶋大の仕事は無くなる、と確信しています。 例えば診断。 町医者松嶋大の場合。 症状や経過、ちょっとした身体診察でおよそ病気のあてがつく。 必要な検査をおこなって病気はほぼ確定します。 例えば治療。 病気をもとに患者さんのちょっとした情報(年齢や内臓、アレルギーなど)から判断します。お薬、手術、あえての経過観察など。 これら診断や治療の決断は町医者松嶋大(人間)ですら時間がかかりません。 (もちろん複雑なものは、相当の時間がかかります)

          AIと人間の架け橋に。

          早く出会いたい!:保健室事業を再開します

          随分前に中止した「保健室事業」を再開することにしました。 今回は企業向け保健室。 診療所が企業に出向き、職員のみなさまのご相談にのります。 血圧測定をしたり医療的側面もありますが、相談内容としてはなんでもありです。医療のことや他のこと、自分のことや家族やともだち、とにかくなんでもありです。 なないろの「どこに相談していいかわからない外来」を、企業の職員の方々に無料で開放しているイメージです。 なぜ保健室事業か? 一言で申せば、「困っている方に早く出会うため」に尽き

          早く出会いたい!:保健室事業を再開します

          「どこ相談」、開設してよかった!

          通称「どこ相談」、正式には「どこに相談したらいいかわからない外来」。 そのまんまの外来なんですが、開設してよかったなーと最近つくづく思います。 というのも「どこ相談」にいらっしゃる方が、少しずつ増えているからです。 相談内容をみてみますと、ほんといろいろ。 医療的な相談が多いのはもちろんなのですが、その他では下記です。 自分のことではなく、家族や他人のこと 制度が絡む相談 不登校、引きこもり 共通しているのは、とにかく「相談先が不明」だということですね。 おそら

          「どこ相談」、開設してよかった!

          新年あけましておめでとうございます。

          新年あけましておめでとうございます。 今年は「よりそい」ます。 ひとによりそい、地域によりそう。 ひととひと、ひとと地域をつなぐ。 わたしからあなたへ、あなたからあのひとへ。 あのひとからあなたへ、あなたからわたしへ。 なにかとてもあたたかく、やさしいなにかが循環するような、やさしさであふれる社会になればいいなと、いつも願っています。 社会との接点をもちつづけられる場を創りたい、そうこころに決めて2015年にひとりだちしました。2024年は、原点にたちかえって活

          新年あけましておめでとうございます。

          2023年もありがとうございました。

          2023年も大晦日です。 今年もお世話になりました。 いろいろな出来事、いろいろな変化、いろいろなチャレンジがあったはずなのですが、ほぼ覚えていません。 七変化な松嶋でして、過去を適度に廃棄しつつ前進しているので、あまり覚えてないんでしょうね。生きる術かもしれません。 とにかく一つのところにとどまる落ち着きがない松嶋でございます。 さてそんな落ち着きない松嶋ですが、あえて2023年の変化(収穫)を書き出します。 ①情は大切に。でも流されない、飲み込まれない。 ②今の松

          2023年もありがとうございました。

          MVP2023が決定!

          なないろのとびら診療所は28日が仕事納め。 みんなでランチしました。 ランチの場で恒例のMVP発表を行いました。 このMVPは、スタッフがスタッフを選出するもので、2023年一番輝いたスタッフをみんなで讃えようというものです。 このスタッフがスタッフを讃えるというのが、本当にいいと思うんですよね。仲間同士が敬意をもって、ともに仕事をするということにつながりますしね。 副賞も奮発しましたよー。 名誉と栄誉、そして実益を。 そうそう、無論、選出されなかったスタッフも

          MVP2023が決定!

          私財をなげうって

          「私財をなげうって」というフレーズがありますよね。 私財をなげうって●●を創った、みたいな。 随分前からこのフレーズに憧れていたんです。 とにかくカッコいい感じがして。 数年前、ついにやりましたよ。 「私財をなげうって」おちゃのまを創ったんです。 おちゃのまはほぼお金を産まない場所で、カッコよく言えば「私財をなげうって」公の場を創ったといいますか。 でもでも、 「私財をなげうって」とはいえ、称賛は全くいらない。 「私財をなげうって」とはいえ、寄付も全く。いら

          私財をなげうって