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小説|赤いバトン[改訂版]|全20話&あとがき

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昭和58年、愛知県某市の中学校。ある一人の女性教諭から始まった不思議な縁(えん)。昭和から平成、そして令和へと、さまざまな世代が感謝の環(わ)でつながり、やがて大団円を迎える。
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#連載小説

小説|赤いバトン[改訂版]|第8話 結婚三十五周年(語り:コウサク)

先月、ボクたち夫婦は、めでたく結婚三十五周年を迎えた。語呂あわせで[珊瑚(さんご)婚式]…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第9話 一学期(語り:クミコ)

コウサク先生は帰宅するなり、 「クミコ先生! バトンがつながっているよ!」と珍しく興奮して…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第10話 馴れ初め(語り:クミコ)

副顧問として担当し始めた女子体操部の練習のあと、ジャージ姿のまま美術室に行くと、約束した…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第11話 もうひとつの馴れ初め(語り:コウサク)

夕食後のリビングで、クミコ先生が2‐Dの集合写真を眺めていた。 それは二学期の終業日、ク…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第12話 Q&A(語り:クミコ)

そういえば、あのあとのお話がまだでした。 コウサク先生に代わって、わたしがお話しします。 …

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小説|赤いバトン[改訂版]|第13話 夏休み(語り:クミコ)

夏休み、わたしは女子体操部の副顧問だったため、部活の練習日には、顧問の先生とともに指導に…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第14話 土下座(語り:クミコ)

書店に着くと、奥の小部屋に通された。 「失礼します」と言って、室内に入った。 警察官と店員さんが立っており、店長らしき人と、2‐Dの生徒が丸椅子に腰掛けていた。 わたし、警察官、店長らしき人は、それぞれ名乗り合った。店長らしき人は、やはり店長だった。その間も生徒はうなだれた姿勢で縮こまり、こちらを向くことすらできずにいた。 わたしが生徒に目をやると、 視線を感じた生徒は、下を向いたまま、 か細い声で「ごめんなさい、クミコ先生」と言った。 わたしはわざと黙っていた。 店長がテ

小説|赤いバトン[改訂版]|第15話 二学期(語り:クミコ)

二学期に入ると、わたしは先生方から責められることがなくなった。 なぜなら、2‐Dが授業中…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第16話 母の日(語り:コウスケ)

この春からオレは高校一年生になった。令和初の高一だ。 かと言って、大した話ではない。何か…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第17話 メッセージ(語り:ケイコ)

今日は、令和初の母の日。 日曜日なのに早起きした一人息子のコウスケ。 朝食後「ちょっと出か…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第18話 あいしるラジオ(語り:ユカリ)

わたしは、自身初のラジオドラマ脚本の打合せで、あいしるラジオ放送さまに伺った。 エントラ…

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小説|赤いバトン[改訂版]|第19話 I Know Now(語り:ココミ)

わたしが所属している編成部は、局内で[加藤家]と呼ばれている。加藤ばかりが五人もいて、編…

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小説|赤いバトン[改訂版]|最終話 終わりが始まり(語り:ユカリ)

ココミさんは「これが便箋のコピーです」と言って、 A4サイズ二枚を渡してくれた。 わたし…

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小説|赤いバトン[改訂版]|あとがき

ユカリとリカコの姉妹は、三重県津市出身。リカコの友人コトノ(赤ミソジーズ)は、岐阜県美濃加茂市出身。ノリコ(赤ミソジーズ)は愛知県出身ですが、市町村までは特定していません。しかし現在の住まいと勤務先の小学校は、愛知県稲沢市。そしてクミコ先生(サンキュー先生)が勤務していた中学校も稲沢市内。……という設定です。それぞれの地元ご出身でしたら、「あー、はい、はい」と気づかれた方もいらっしゃると思います。愛三岐にまつわるモノやコトもポツポツ入れました。セリフにも方言が多く、東海エリア