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子どもの生きがい発見! 街全体で子どもを育てる、起業教育

私はあんふぁにという会社で子どもを対象に、起業体験ワークショップを通して子どもたちと商品開発やサービス作りを行う「ダビンチクラブ」というプログラムを行っています。これまで、カードゲームやLINEスタンプなどを制作、販売してきました。今、小5の子どもたちと検索エンジンを企画中。子どもの遊び心をそのまま活かして、楽しいものを楽しい体験を通して作り続けています。


自社アプリのヒットが生んだ起業プログラム


私はゲーム好きです。今でも仕事として「ハマる経験」をする(という名目)のためにスマホでゲームをしてます。今でこそハマりすぎてやばくなりそうな気配がしたらアプリを削除できますが、以前は普通に食事や睡眠を忘れてゲームしていた時期もありました。

私が最初に自分でアプリをつくろうと考えたのが、「計算機をゲームのように楽しくしたもの」でした。四則演算を4つのアクションで行っていくというもの。機能をシンプルに削ぎ落としていった結果、足し算だけが残り、今のSUM! ができました。やっぱりゲームになりましたが、算数の知育アプリでもあり、小さいお子さんがプレイすると繰り上がりの足し算が本当に速くなります(たくさんのユーザーさんから実際に聞いた感想です)。

実は、このゲームをつくった経験のすべてが本当に最高で、それが現在行っている起業プログラムにつながっています。どういうことかというと、ゲーム好きがゲームを仕事としてつくる楽しさ、他社のゲームを仕事として研究する楽しさ、アプリをダウンロードしてもらえ、App Storeのトップで特集される楽しさ、それによって得られる報酬、そして何より、アプリをプレイしたたくさんのユーザーから「このアプリ最高!」っていう声を聞く喜び。その全てが最高の経験でした。遊ぶように働いて、お金を稼げるなんて最高です! 今の子どもたちもそんな風に、好きなこと・得意なことを活かして人が必要なものをつくる仕事ができるようになってもらいたい! そんな思いから、起業体験プログラムを始めたのです。私はデザイナーとして数多くのスタートアップのビジネスに関わった経験や、英会話講師だったもあり、それらも活かすことができました。


好き・得意をビジネスにする教育


今は実に様々な教育プログラムを受けられる時代で、私が子どもだった頃に比べると何十倍も種類があるような気がします。その中でも最近増えているのが、子どもの「好きなこと」「興味あること」を扱ったプログラム。ロボット、YouTuber、プログラミング。確かに子どもたちが飛びつきそうなものばかり。一方、親の立場から考えるとどうでしょう。「21世紀」「教育」で検索してみると、プログラミングやSTEAM教育、プロジェクト型学習、ICT教育などが出てきます。「やっぱりプログラミングだな」「え? STEAMのAってArt? じゃあ美術やらせればいいの?」「コミュニケーションは外せない」「英語はやっておかないと」など、右往左往。それもそのはず、10年先、5年先、なんなら1年先の世界も予想がつかない現在、子どもが大人になる2030年に備えて学ばせておくべき物なんてわかるはずがない。隣のお子さんがスイミングを始めたら気になるし、学校でロボットに詳しい友達がいたらそっちも気になる。でも、親が子に願う根本はそんなに違いがないはず、と思い、今の親が子どもに望むことを調べてみました。(https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1559816171245/)

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人工知能時代に仕事が持てる人になってほしい! と考える親は実は少なくて、「失敗しても立ち直れず成長できる」「自分の力で道を切り開ける」といった、自分で自分らしく生きる方法を切り拓いてほしいという人間の本質的なところを願っているようです。

では、好きなこと・得意なこと(自分らしさ)を仕事に活かすには、今何を学べばいいのでしょう。そこで、こんなチャートがあります。

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「好き」x「得意」=「情熱」が持てるプログラムはたくさんあって、「得意」を「お金」にする専門学校のようなスクールもあります。でも、それが本当に人が必要としている(またはこれから必要となる)ことなのかは別の話です。自分が好きなことが必要とされていても(例えば海外でボランティアをする)、それがお金にできるとは限りません。このチャートの真ん中に近い教育を目指しているのではないでしょうか。「生きがい」を見つけ、実践できる機会。生きがいがあれば、自分が好きなことで人が必要なものがつくれるし、お金にもなる。つまり、価値を創り出せるのです。

そんな背景があり、今まで「価値創造ワークショップ」というコンセプトで、子どもたちといっしょに起業体験を行い、いろんな商品開発や取り組みをしてきました。

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でも、もっと「必要とされていること」に焦点を当てていくため、地域との創造的なつながりの場を含めたプログラムを始めました。それが「まち育」です。まち育では、現在行っているものづくりワークショップの課題として、地域のお困りごとをネットで募集します。ワークショップでは、子どもたちだけではできないことを地域の住民や起業家(サポーター)の助けを借り、時には地域企業で余った商品や廃材を材料にしながらお困りごとの解決策を考え、ものづくりしていきます。完成した商品やサービス、イベントは地域に還元。こうすることで、自分の生きがいを発見し、地域の中で実践できることになります。

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また、商品やイベントを作る子どもたちや場所、時間が違えば、違った成果物が生まれてきます。地域の特色が色濃く出るものも生まれるでしょう。

成果物としては、こんな物ができると面白いなあと想像しています。

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もし商品が売れたり、イベントで収入があれば、スクールに報酬が還元されます。
こうすることで、街全体で子どもの成長を見守ることができるし、子どもたちも今までなかった多くの人や地域の課題との出会いが生まれます。

「まち育」で子どもが身に付くこと
・新しい価値を創る実践的なスキル
・周辺地域への理解
・地域の人との触れ合い
・お金の仕組みの理解
・失敗から立ち直るー「学び方」を自ら学ぶ
・地域の中で、自分の「居場所」を発見

地域に目を向けると、Win Winどころか、スクールやサポーター、協力企業や起業家なども含めるとWinx6です!

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子ども達や関係者の「知」と、その土地・素材・時代などが掛け合わされ、その場所、その時、その人たちにしかできないものが出来上がり、それを地域の人たちで使っていく。こんな「地産『知』消」が世界各地で起きてくれば、きっと素晴らしい世界になると信じています。


千葉県柏市から本格始動

「まち育」をコンセプトにした活動は、すでに柏市を中心に開始していて、導入スクールも増えております。活動報告は、ブログやFacebookグループで行っております。

https://davinci-club.enfani.com/
https://www.facebook.com/groups/davinciclubjp/


Society5.0との連携

"サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)"
そのコンセプトで謳われている「人間中心」。システムや仕組みについては語られていますが、人間はどのようにアップデートすべきなのかは今後検討すべき課題です。サイバー空間・フィジカル空間が融合し、場所や時間さえを超えて繋がれる時代に、国や地域、人のアイデンティティはどうなるのか。「まち育」は、そのような背景でこそ価値を高めることができる、地域の古くて新しいネットワークだと考えています。

今後の動き

「まち育」を企業の社員研修に取り入れたプログラム「ゼロからビズ」も近々開始いたします。お楽しみに!

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