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「自分とつながる。チームとつながる。」の出版に際して。「はじめに」を全文公開します。

初めましての方は、初めまして。
株式会社ツクルバ 代表取締役ファウンダー / 株式会社KOU 代表取締役の中村です。

まずは自己紹介を。

2011年のツクルバ創業から不動産・建築・テクノロジー領域をメインとし、リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」、あらゆるチャレンジを応援するシェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」などを展開してきました。この数年は主にカウカモの事業成長とともに会社も大きくなり、そして2019年7月末には東証マザーズに上場しました。
また、株式会社KOUの創業に参画し、2019年からはその代表を務めています。現代社会の中でこぼれ落ちてしまっているものを拾い上げることをテーマに、地域通貨をベースにしたコミュニティアプリ(※事業譲渡済み)や、感情を切り口にした対話をサポートするツール「emochan(エモチャン)」の開発を行なってきています。

そんな仕事をしている僕ですが、この度こちらの書籍を出版することになりました。

「感情でつながることに大切さ」を多くの人に伝えたい

これは、僕が自分自身と仲間と向き合うなかで気づいた「感情でつながることの大切さ」について書いた本です。

2011年に株式会社ツクルバを共同創業してから約10年、株式会社KOUの立ち上げ含めて、文字通りがむしゃらに走ってきました。その前の会社員経験を含めても、まだ短い仕事人生ではあります。そのなかで自分が体験してきた仕事上の多くの葛藤は、自分の内側と向き合うことからほどけていく感覚がありました。

自己受容の重要性、組織の中で他者といかに関係性を築いていくのかについて、お二人の専門家との対談も交えつつお伝えしています。若手ビジネスパーソンからマネージャーや経営者まで、すべての働く人々にとっての「幸せに働くこと」のヒントとなる一書となることを願い、実践のなかでの学びを詰め込みました。

自分とつながること、チームとつながることの大切さ。
職場においても「感情」と向き合うことをあきらめないこと。
葛藤からの気づきを多くの人に伝えたい。

その想いで本を書いていったら、起業家の成功談ではなく、一人の仕事人としての気づきをまとめた本になりました。

「はじめに」の全文公開をします。

12月3日の発売から約1週間。身近な方々からは「さっそく読んだよ!」という声をいただいています。

・感情と向き合う、ということをしてこなかったから新鮮だった
・日々、感情に蓋をして生きているなぁと気付いた
・「こうあるべき」と凝り固まっていた考え方を、良い意味で覆してくれた

こういう声を聞くと本を書いてよかったなぁ!と力が湧いてきます。本当にありがとうございます。

でも、もっと多くの人に本書を手に取っていただきたいのです。多くの職場が幸せな職場になるように。もっと多くの人が幸せに働くことができるように。そのために書いたこの本が、もっと広まって欲しい。

ちなみに、本書の印税に関しては全額寄付に充てる予定です。
『働くこと』をテーマに本書の執筆を進める中で、何かしらの理由で働けない方々もいるはずなのに、この本では全く対象にできていないことに気づきました。
多くの人に本が届くことが、この本で対象にできていない方々にも繋がることを願い、若者の就労支援に取り組む『認定NPO法人育て上げネット』さんへ本書の印税の全てを寄付することにしました。

そしてこの度、出版社の協力を得て「はじめに」を全文公開することにします。この文章を読んで気になった方は、ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。

職場で感情でつながろう!だなんて理想論だ。という人もいるかもしれません。それでも僕は理想を掲げて、人と人がちゃんと向き合う職場をつくっていきたいと思います。

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
(Imagine / John lennon)

多くの人に届け!

・・・

(以下、「はじめに」の転載です)

「仕事」が今、楽しくないあなたへ

あなたにとって「仕事」とはどんなものだろうか?

お金を稼ぐための手段だったり、自分のスキルを高めていくための機会だったり、実現したい何かに向けた日々のアクションそのものだったり?

仕事には様々な側面がある。そして、仕事に向き合う時間は人生においてかなりの比率を占める重要な要素だ。「時間」を使うということは、つまり「いのち」を使うことになる。だからこそ、僕らは仕事についてよく悩む。

誰だって前向きに、楽しく働きたいはずなのに、なかなか上手くいかない。

希望したプロジェクトチームに入ることができてウキウキしていたのに、最近どうも自分の思っていた方向性と違うことをやっている気がする。「この仕事って、プロジェクトの目的とずれてませんか?」とプロジェクトリーダーに聞いてみたけれど、「今は数字を出すことが重要なんだよ」と言われてそれ以上反論できなかった。この人には言っても仕方ないんだと思って黙って従っている......。
初めてマネージャーになって、チームで一丸となって頑張ろうと思っていたのに、メンバーはなんだかしらけている。自分としてはマネジメントの本もたくさん読んで頑張っているのに、どうしてメンバーはついてきてくれないのか......。

職場で直面する状況にストレスを感じて、自分の外側の世界を変えようともがいても、なかなかいい方向には進まない。特に他人というのは、こちらが思うようには変わってくれないし、なんだか空回りばかりで疲れてしまう。気がつけば「なんでこの仕事してるんだっけ?」と消耗している自分がいる。

それは、マネージャーや職場、はたまた会社のせいだろうか?
仕事帰りの居酒屋で友人に愚痴をこぼす前に、ちょっと考えてほしい。自分の外側の世界を変えるのは難しくても、自分の心の持ちようは変えることができる。ここに希望がある。

あなたの人生をどうするか、目の前の世界をどう見るかは、あなたに主導権がある。この本を通じて、「どんな眼差しで日々の仕事に向き合うか」を考え直してみたらどうだろう あなたの職場が今以上に楽しい場になるように、そして働くあなた自身が充実した人生を過ごせるようになるために必要なことを、この本では伝えたいと思う。

僕が経験した組織の成長痛と自己の受容

僕は大学院を出て2つの会社で働いた後、ツクルバという会社を共同創業し、2020年の今年10期目を迎えた。最初は「co –ba(コーバ)」というシェアードワークプレイスの事業を立ち上げ、現在はもう一つの事業の柱として中古リノベーション住宅の流 通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を運営している。また、2年前からは KOU という別の会社も立ち上げて、最近、感情を自覚してシェアするためのカードゲーム『emochan(エモチャン)』をリリースした。

起業家というのは、自分のやりたいことがあって、それを実現するために事業をつくり、働いている。だから、仕事へのモチベーションは常に高いし、公私の区別なく仕事に没頭しているのが楽しくて仕方ない、という人が多い。
僕も最初はそうだった。でも、ここ数年はかなり苦しかった。組織が大きくなるにつれ、いろいろなことが上手く行かなくなったのだ。

原因の一つは、企業が成長するときには必ずと言っていいほど経験する「組織の成長痛」 だ。詳しくは1章にあるけれど、人数が多くなることで組織の一体感が保ちづらくなる「横の成長痛」と、組織の拡大とともに意図せずとも階層化が進んでいくことによる「縦の成長痛」、これらに僕も会社のメンバーも悩まされた。
もう一つは僕自身の成長痛だ。会社の成長とともに経営者として取り組む課題も難しいものになっていく。僕はあるべき自分の役割を果たそうと必死で頑張ってきたけれど、やってもやっても満たされることがない焦りを常に感じていた。それでもなんとかしなきゃいけないとあがき続けることが、苦しくなっていった。

この事態を打開するきっかけになったのは、まずは自分自身の内面に向き合うという経験だった。それまで僕は、「世間に認められる価値を生み出すんだ」というモチベーションに突き動かされるように頑張っていたのだけれど、それではなんだか苦しくなってしまった。その理由は分からないけれど、これまでの自分のやり方を変えなければいけないんじゃないかーーそう思っていたとき、たまたま出会ったのが、自分の内面を理解することで自らを変容するための技術である「インナーテクノロジー」だった。 

自分の感情に向き合い、その奥にある痛みや、それを見ないようにする回避行動のクセを発見した。見えていなかった自分のありのままの状態を受け入れたとき、僕はそれまで気づいていなかった本当の願いも同時に発見した。 そこから、改めて自分がやるべきことが見えてきた。周りの人たちとの関わり方も変わってきた。会社のメンバーにも、感情を自覚する、自分の願いを理解するということを勧め、実際にやってみる人も出てきた。

そんなプロセスを経て、僕は自分自身の成長痛を抜け出した。そしてそれが、組織の成長痛に苦しむ会社にとっても、いい影響を及ぼし始めたと感じている。

問題を解く鍵は、エモーショナルなつながりにある

自分の感情を自覚し、その奥にある本当の願いを知ったときから、僕は自分の考えや行動がありのままの自分自身とつながっている という感覚を持てるようになった。誰かが期待しているからとか、みんなが評価してくれるから、という外発的な動機付けではなく、自分が心からそうしたいと願っていることに向かって動いている、という感覚だ。

最近、組織にとって重要な要素として「心理的安全性」が注目されている。だけど、 いいチームというのは心理的安全性だけに負うものではなく、メンバーそれぞれが自分の感情を自覚し、自分とつながる力によるところも大きいんじゃないかと考えるようになった。
心理的安全性があるというのは、メンバーが感情的な面も含めて「自分はこのチームとつながっている」という感覚を持てる状態だとも言える。つまり「自分とのつながり」 と「チームとのつながり」、この2つを深めていくと、成果の出るいいチームが育まれていくのではないか。それは同時に個々人の人生の充実や幸福にもつながるのではないかということを、この本では示したい。

これまで、職場というのは感情を持ち込むべきところではない、というふうに考えられてきた。でも、これからの時代はむしろ感情を素直に共有できる職場づくりをした方が、 組織のためにも個人のためにもなる、そのことを知ってもらいたいのだ。

本書の内容

まず1章では僕の経験を振り返りながら、職場における感情の扱われ方によって仕事というものがどう変わるかを見ていく。
2章では、自分とつながっている感覚とチームとつながっている感覚が相互に作用し、 チームと個人の成長に作用していくことをアカデミックな理論も参考にしつつ、示していく。
3章、4章では、三好大助さんと長尾彰さんという、それぞれインナーテクノロジーとチームビルディングの専門家に登場いただく。僕との対談を通して、心理的安全性と自分の感情の自覚および受容がなぜ重要なのかと、それらを高める具体的な方法について教えてもらう。
最後に5章では、新型コロナウイルス感染症(COVID– )によって変化しつつある世界において、どんなマネジメントや職場のあり方が求められるようになるのか、僕なりの展望を語るつもりだ。

「人間、誰しもありのままで価値がある。そのままでいいんだ、ということを証明したい」 というのが僕の願いだ。世の中に、ありのままの自分でいられるような職場が増えていくよう、本書がその小さなきっかけになったらとても嬉しい。

・・・

最後にamazonのリンクを再掲。よろしければ是非!
https://www.amazon.co.jp/dp/4434282069

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