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教員向けICT資格3選と合格体験記

 GIGAスクール構想によって、生徒が一人一台端末を持つ時代になりました。教員も指導する立場として、ある程度の知識やスキルを持つことが重要になってきましたが、学校や生徒によって使っている端末やOSは様々です。例えば、教員自身が使っている端末がWindowsでも生徒が使っている端末がiPadだとしたら、多少はiOSの勉強をしておかないと対応が難しいです。ではどうやって学んでいけばよいのでしょうか。実は、Apple・Mircrosoft・Googleがそれぞれ、教員用の学習プログラムとスキルの証明としての資格を用意してくれています。今回は3社それぞれの学習プログラムと、私が実際に受験した合格体験記とを合わせてご紹介します。

Apple Teacher

 Appleの教育者向け無料学習プログラム。iPadとMacのどちらかで6つの基礎講座を受け、クイズに合格する(8割正解で合格)と認定されます。6つの基礎講座の内容はiPad or Macの基本・Pages・Keynote・Numbers・iMovie・GarageBandとなっており、普段から使っている人ならいきなりクイズに挑戦しても十分合格できます。しかも、間違えても何度でも再挑戦できます。Appleが公式サイトで「Apple Teacherになるのは、楽しくて、簡単なこと。」とうたっているように、楽しくクイズに答えて簡単に取れる資格です。私は普段からiPadを使っており以前はMacユーザーだったので、1時間もかからずにすべてのクイズに合格し、Apple Teacherとして認定されました。本当に基礎的なことしか問われないので、Apple製品やサービスでどう授業や学校を変えていくかということまでは踏み込まれません。実践力や応用力がある証明とは言えず、むしろスタートラインに立つきっかけの資格と言えるでしょう。

所要時間:★☆☆

難易度:★☆☆

Microsoft Innovative Educator(マイクロソフト認定教員)

 Mircrosoft Educator Centerに登録し、講座をいくつか受講してクイズに合格すると取得できます。こちらもすべて無料なので、気軽に受けることができますし、クイズにも何度も挑戦できます。多くの人にとって、Windowsは普段から使っているOSだと思うので、比較的やりやすいと思います。Microsoft Teamsというツールの使い方を学ぶことになりますが、Teams自体使ったことがなくても、Google ClassroomやZOOMなどを使ったことがあれば、共通している部分があるので覚えやすいかなと思います。こちらも、30分もかからず認定を受けることができたので、難易度は低いです。Microsoft公式サイトの説明に「Microsoft Innovative Educator は、ICT を活用し、自らが成長し、学びを共有する教育者たちのネットワークに参加するための第一ステップです。」と書かれているように、ここを合格することが最初の一歩です。Mircrosoft Educator Centerには膨大な量のトレーニングや資料があるので、合格した後にも学ぶことがたくさんあります。

所要時間:★☆☆

難易度:★☆☆

Google認定教育者

 Google認定教育者にはレベル1とレベル2があります。レベル1は基本的なツールの知識とスキルが身についていること、レベル2はその応用までできることの証明になります。3社の認定資格のうち唯一有料で、試験時間はどちらのレベルも3時間です。Webカメラ付きのパソコンで、Google chromeで受験します。不合格になった場合は、その回数に応じて再受験まで一定期間空けなくてはなりません。前述の2社とは違い、有料で気軽に再受験できないのでプレッシャーがかかりますが、内容が難しいかといえばそんなことはありません。Google Teacher Centerで無料で受講できるトレーニングプログラムをこなせば、十分合格可能です。私個人としては、ほとんど使ったことがなかったツール(Google keep, Blogger, Your Plan Your Planet)の勉強をしなくてはならなかったことと、Googleの教育に対するマインドセットを理解するのに時間がかかりました。問題文が、微妙に変な日本語なのでそれも難しく感じる要因でした。普段から仕事でGoogle Workspaceを使っていましたが、勉強を始めてレベル1に合格するまでトータル8時間くらいはかかったかもしれません。試験は3時間はかからず、1時間程度で終えることができました。レベル2に関しては、レベル1で試験の傾向とGoogleのマインドセットを理解できたのでスムーズでした。位置づけとしては基礎のレベル1、応用のレベル2なのですが、さほど難易度は変わらない印象です。受験料が有料なので試験を受けて資格を獲得するに至らなくても、Google Teacher Centerのトレーニングプログラムはとても勉強になるので、それだけでもやる価値は大いにあります。

所要時間:★★★

難易度:★★☆

筆者が取得した理由

 私がこれらの資格を取得した理由は2つです。1つ目は、単純に好奇心からです。SNSを見ていると、これらの資格を取得したという先生をちらほら見かけるようになりました。私もICTと教育に興味があるものとして、どんなものか体験してみたかったのです。2つ目は、今後教員や生徒に研修を行う際に、安心や信頼感を与えるファクターになるのではないかという期待です。資格の有無よりも、どんな教育活動を実践してきたかが重要だとは思いますが、とはいえ分かりやすい指標として持っていて損はないのかなと考えています。
 いずれの資格も、まだまだ日本での認知度は高いとは言えません。この記事が、ICT教育に挑戦してみよう、資格を取ってみようという教員の後押しになれば幸いです。


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