モノを愛用するということ
「お仕事頑張ったから、じぶんにご褒美!」っていうとき、どんなご褒美を用意しますか?
例えば、美味しいご飯を食べに行く、ちょっと奮発していいワインを買う、なんていう方もいらっしゃいます。
あとは旅行に出かける方もいますね。ちょっと今は難しい時期ですが…。
わたしの場合、モノを買うというのが定番でした。
子どものころ満足に買ってもらえなかったツケが回ったのでしょうか?
モノというのは本来道具であり、長く愛用したいアイテム。場合によってはメンテナンスも必要ですね。
でもわたしの場合、それに気づかず「ご褒美!」と称してタガが外れたかのように、ダムが決壊したかのように、一気に買ってしまうわけです。
モノ依存症とまではいかないのですが、気づくとモノがあふれる寸前までいくことも。
しかしあることをきっかけに今は控え気味となりました。
遺品整理で気づいたモノの正体
それは母の死です。
血は争えないのでしょうね、母もモノ依存症気味。
生前からやけにモノに囲まれて生活しているな、と思っていました。昔の人ですから、捨てないというのもあったのでしょう。
ところがこれがとんでもないことになっている!と、遺品整理のときに判明。
もはやどの品が母にゆかりのあるモノなのか分からないほど、モノであふれた部屋。
どれもゆかりはあるはずなのでしょうが、その強弱はまったくわからない…。
正直、途方に暮れてしまいました。訳あって整理する時間が1週間しかありません。1日1日時ばかりが過ぎていき、部屋は一向に片付きません。
ほんとうは、これはどんなときに、どんな思いで買ったのかな、などと一つ一つ母を偲びながら整理したかったのですが、それは叶わず…。
結局、ほとんど処分することにしました。
それ以来、ほんとうに必要なモノ以外買うのをやめました。そして、新たなモノを買ったら古いものは捨てる。
そうすると、まだ使えるモノは買わない、という循環になります。
モノは道具にすぎない、という発想です。
モノへの愛着は「選ぶこと」と「使うこと」
道具にすぎないと言えどもせっかく買ったモノだから、長く使いたい、愛用したい、という気持ちがあります。
ですので、ものすごく選ぶ時間が増えました。
今は便利な時代。ネットでありとあらゆる情報が手に入りますので、評判とかおすすめ度合いをチェックします。
しかも入念にチェックします。他のサイトでの評判はどうか、似たような商品は他にないか、価格は適当か、などなど。
そうした吟味を経たのち、必要かどうか、今あるモノではほんとうにダメなのか、もう一度考えます。
今までご褒美とかこつけて買い漁っていたのと同じ人間か!と思うほどの変わりよう。
スケールは違いますけど会社が何か大きな買い物をするとき、相見積もり取って比較して、社長さんなどお偉いさんに稟議を回して「お願いしますっ!」ってやりますね。
あれを一人で自作自演している感覚です。
そしていよいよご購入!もうこの時点で感無量です。長い時間かけて選びに選んで買ったわけですから。
もう文字通りの「ご褒美」となりました。
あとは、これを使っていくだけです。
メンテナンスも重要
最初はていねいに使っていても、普段使いですからだんだん扱いも雑になっていきます。
たとえば革靴。仕事に行くときに必ず履きますから、わたしにとっては普段使いの代名詞。
革靴っていうのはピンキリなんですが、選び抜いた革靴は今までのモノよりちょっと値の張るものを買ってみました。
最初のうちはそれこそネットで「靴の磨き方」の情報を入手し、ブラシも購入し、毎週クリームを塗って磨いていたんですね。
でも、それが2週間1回となり、月1回となり、半年に1回と、だんだんおろそかになってしまいます…。
慣れないことなので最初は好奇心でやり始めるのですが、そのうち面倒くさくなる悪い癖…。
あと革靴はつま先やかかと部分の靴底がすり減っていきます。ちょっとお高めの革靴ですから、これを修理屋さんで直してもらうんです。
満を持して修理屋さんに持ち込んだら「あぁ、もっと早く来ていただかないと…」って言われてしまいました。
大切にしたいという気持ちがありながらズボラな性格があだとなって、なんとも情けない状況に。
あとはワイシャツ。そもそも洋服は自分の体にジャストサイズの方が見栄えが良く着心地もいいですよね。これも選びに選んでいたときに得た情報。
そこで、セミオーダーのワイシャツを仕立ててもらったことがあります。
こんな経験ありませんでしたので、最初のうちはアイロンがけをすべて自分でやっていました。
これもネットで「正しいアイロンがけの仕方」を収集し、毎週アイロンがけしていました。だいたい日曜の夜ですね。
でもこれも長続きしない。面倒くさくなって結局クリーニングに出す始末。
ちなみにワイシャツは2〜3年経つとどうしても袖口やえり周りが擦れてきます。買い替えのサイン。
さらにせっかくセミオーダーで測ってもらったけれど、じぶんの体型が変化してしまったり…。
今ではお店の人に首回りとかちゃんと測ってもらった上で既製品を買うようになりました。あとダイエットも…。
このように、モノを長く使うにはメンテナンスが欠かせません。
でも、選びに選んだモノを使い続けるのはいいものの、肝心のメンテナンスをサボってしまうというのが情けないところです。
身の丈に合ったモノを見つけること!
こうやって考えると、メンテナンスにそんなに手間がかからない比較的リーズナブルなモノの方が、わたしにとっては使い勝手がいいのかもしれません。
それから性質によっては長く使えないモノもあります。
例えば洋服がそうですが、長く使おうにも寿命がそんなに長くなかったり、流行やじぶんの体型、好みの変化によって使えなくなってしまいます。
さらにもう一つ大切なのは、使わなくなったモノは捨てる、ですね。
思い出がつまったモノはなかなか捨てられないけど、置いておくスペースにも限りがあるし、難しい…。
でも最近は写真を撮ってポイすることにしました。過去のわたしを彩ったモノたち。ちゃんとiPhoneのアルバムに収めています。
たかが道具、されど道具。使っていくうちに馴染んでいき、じぶんの一部であるかのようなモノ。だから、歯を磨くように、顔を洗うようにちゃんとお手入れするのが肝心。
自分と同じように愛してあげたいものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?