我他彼此(ガタピシ)
九條です。
今日は彼岸の入りですね。
この「彼岸」という言葉の本来の意味は「悟りの境地」または(転じて)「あの世」という意味です。
この彼岸に対応した語として(最近はあまり使いませんが)「此岸(しがん)」という言葉があります。
「此岸」とはこの世の事です。「彼岸」も「此岸」も仏教用語ですね。
春と秋の「お彼岸」の時期に先祖供養をするようになったのは平安時代初期からで、その契機は早良親王の怨霊を鎮めるために行われたものだと伝えられています[1]。
ですから、お彼岸の(時期に先祖供養をするという)行事は、もともとの仏教の教えにはないものだったのですね[2]。
また、此岸(しがん)と彼岸(ひがん)に因む言葉で「我他彼此(がたひし/がたぴし」という言葉があります。
その意味は「我と他人。彼岸と此岸」で、相反するものが対立して物事がうまく(スムーズに)行かない状態を指しています。^_^
【註】
1)『日本後紀』巻十三 大同元年三月十七日条
(令諸国国分寺僧 春秋二仲月別七日 読金剛般若経)が初出。
2)怨霊思想・怨霊(御霊)信仰そのものが仏教にはない思想であり、また奈良時代以前の日本にはなかった思想(信仰)。
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