宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・参4
「……上の息子達が、幼くして旅立ったのは、以前お話ししましたね。私は不謹慎ながら、貴方のお父上を羨ましく思いました。貴方は親より先に旅立つことは、決してないのだろうとね……貴方ほどではないが、私も残される悲しみ、何もできない不甲斐なさ、そんなものを知っていると言っていいかもしれない……悲しいのは、当たり前です。大切なものが失われるんですから、悲しくて悔しくて情けなくて、それが当たり前なんです。その感情に素直になったところで、誰も責めはしません……もしも、貴方が私のために泣いて