宿災備忘録-発:第2章6話②
境内を離れ、鳥居をくぐり、石段を下りる。満車状態の駐車場。鷹丸はその隅へと歩を進め、準備されていたかのような2人がけのベンチに腰を下ろし、脚を組んだ。
美影は鷹丸から少し離れて歩いていた。外灯もない場所に座る鷹丸の姿が、月明かりのおかげでよく見える。ベンチの手前で足を止め、結露をまとったジュースを握り締めた。
鷹丸は缶ビールを飲み干し、タバコに火をつけた。吐き出された煙は、夜が染み渡った空間に広がる。それはカタチを記憶する間も与えずに消え去り、鼻を刺激する匂いだけが残