おすすめ画像診断教科書〜整形外科/骨軟部(関節、腫瘍)編〜

こんにちは、画像診断医/放射線科医のるなです。私は放射線診断専門医であり、核医学専門医、マンモグラフィ読影認定医も持っております。IVRは苦手ですが、読影は下手ですが好きです^^

今回、よく”おすすめの教科書”を質問して頂ける中で、完全に独断と偏見で、私の"画像診断"の教科書の"推し"を紹介したいと思います。

今回はよく質問がくる整形外科編です😊私は骨関節画像診断入門→骨軟部疾患の画像診断第2版 画像診断別冊 key bookを順に通読して各論に入るという勉強法をおすすめします。個人的には日常業務での需要は膝>肩>足=股関節>肘=指=手くらいの間隔なのでまずは各論は膝関節から(膝関節の知識は割とかの関節にも応用が効く気がするので、そういう意味もあり膝関節からが良いでしょうか)学ぶのを勧めます。

〜導入編〜

骨関節画像診断入門 第4版

この本は私が3年目の時に重い腰を上げて最初に骨軟部の画像診断を勉強した時に読んだ本です。海外の教科書を和訳したものですが、会話調で非常に端的にかつフランクに重要事項が記載されています。あの頃よりは多少は骨軟部の画像診断ができるようになった今思い返してみても、この本に書いてあることだけでもざっくりと骨軟部の画像診断ができるのではないかと思っています。教科書ってどうしてもその性質上重要であることと、稀であることを並列的に記載してあることが多いと思うのですが、この教科書は「40歳以下なら骨転移は考えなくてよい」など結構極論が多いです。でもその極論って結構最後の決断を後押ししてくれたりするんですよね。とにかく読みやすくて私は研修医には絶対に勧めている本です。

骨軟部疾患の画像診断第2版 画像診断別冊 key book

これは言わずと知れた名著ですね。この本が置いてない読影室の方が少ないのではないでしょうか?解剖からcommon diseaseの重要事項はほとんどこの本で網羅できます。順番としては、骨関節画像診断入門を読んで骨軟部画像診断の基本がわかってからこの本を読むと、より理解度が上がると思います。今でもこの書籍は何かど忘れしてしまった時とかにもよくリファレンスで使いますね。

骨関節単純X線写真 はじめの一歩

ちょっとマイナーですがこの書籍もかなりおすすめです。肩関節MRIの著者である佐士先生の教科書です。教科書自体のテーマは単純写真ですが、通常業務では単純写真はあまり読まないという先生でも骨軟部領域だけは単純写真は避けて通れないと思っています。そういう意味でも読むべきですし、これも骨関節画像診断入門と同様に結構フランクに重要な事項が記載されており、非常に読みやすい本です。


〜各論編〜

肩画像のMRI-読影ポイントのすべて

肩関節といえばこの本ですね。もちろん、この本だけ読めば大体のことはわかります。多少知見が古いところもありますが、そういうところは画像診断や臨床画像の特集号などで補えばいいと思います。この本の魅力はとにかく情報量がすごいのに、佐士先生の独特のワールドというか飽きさせないユーモアに溢れた内容かつ症例数がとにかく多いところです。また、巻末の疾患別の要点リストは永久保存版です。一度内容をインプットしてしまえば最後の巻末の要点リストをリファレンスすれば日常業務の読影には困らないと思います。

上肢の画像診断

この本が出るまでは肘関節と手/指関節については網羅的な教科書の横断的な知識しかなく体系的に学ぶことができませんでしたが、待望の出版となりました。肘とか手や指は骨も多いですしなんか複雑で取っつきにくいんですよね。ただ、実際はそんなに疾患のバリエーションは少ないので(骨軟部がエキスパートになるのであれば話は別と思いますが)各論やるとき案外この辺から攻めてみるのもありかもしれませんね。

股関節・骨盤の画像診断

こちらも待望の隙間分野を見事に埋めてくれた本です。私はちなみにいまだに関節は股関節が一番苦手です。ある時著名な骨軟部画像診断のエキスパートの先生に聞いたところ、同様に股関節が一番難しいとおしゃっていました。私も一度は読みましたが、もう一度時間ができたら通読したいと思っている一冊です。

膝関節MRI 第3版

この本を言うことないですね。もはや膝関節はこの本だけで十分だと思います。第2版も素晴らしかったですが、第3版で完全無欠の教科書なった感じがします。個人的には関節のMRIのオーダーは膝>肩>その他という感じかなぁと思いますのでまずは膝から手をつけてみるというのもいいかもしれません。膝の半月板や靱帯、受傷機転から損傷を推定仕方など膝の読影の考え方って結構他の分野にも応用できる気がします。この本自体も非常に読みやすいですし、導入が終わったらまずこの本を読んで関節のMRになれるのもいい戦略かもしれません。

足の画像診断

足の画像診断については私の知る限りは小橋先生のこの2冊の教科書だと思いますが、両方名著で好き好きだと思いますが同じ著者が書いているので結構相補的に使えるので、両方使ってみるのも手だと思います。私の場合は、「症例でわかる足関節足部のMRI」を読みながら理解が不足した場合、足の画像診断のその分野を一緒に読むというやり方で勉強しました。小橋先生も非常に臨床的な受傷機転から損傷の画像診断を考えることを大切にされる方なので非常に勉強になります。受傷機転を動画にしてなぜこのような動作をするとこの靭帯が切れるかなどをまとめた教科書とか作って欲しいですね。

症例でわかる足関節・足部のMRI〜すぐに役立つ撮り方・読み方のポイント

〜番外編〜

関節MRI

この本はすごいですね…。ページ数もすごいし情報量もすごいです。文句なくこの本を通読すれば関節マスターになれると思います。番外編としたのはやはりちょっとページ数が多すぎて初学者は途中で気持ちを折れてしまうことが多いと思われるためですが内容自体は本当に素晴らしく、一通り網羅した人が復習的に読むには最高の本だと思います。読影室には絶対に一冊は欲しい本ですね。

〜腫瘍編〜
そのX線正常ですか? 骨腫瘍の画像診断−疑う目を養う・鍛える

あんまり骨腫瘍だけの本はなくて結構難しい本が多いですがこの本は初学者向けです。骨膜反応や移行帯など基本的なことから症例ごとにわかりやすく頻出の症例を紹介してくれています。まずはこの本ぐらいからはじめて骨腫瘍になれるというのがいいと思います。

骨腫瘍の病理

この本画像診断本ではないんですがすごいんですよ。骨軟部腫瘍って局在や年齢が画像の質的診断より重視されることが他の分野より多いので絶対に疫学の知識はないといけないんですがこの本は、すべての骨腫瘍に関して全身のどこにできやすいかパーセンテージで記載してあるんです。疫学ももちろん完璧記載。これは通読というよりは読影室に一冊あると便利な本ですね。知らない人には絶対購入を勧めたい本ですね。

軟部腫瘍のMRI

この本は有名ですよね。本当に系統的に再現性を持って軟部腫瘍を診断するメソッドを書いてくれてる本です。この本を読んで大分軟部腫瘍に関する苦手意識がなくなりました(診断できるとは言ってない)。こういう誰でも再現性を持って系統的に読影できる方法を教えてくれる本、ほんとに貴重ですよね。私のような凡人にはエキスパートのような神の目はないので神様に系統的な読影法を考えてもらってそれを愚直に実践しくだけだと思っています。時間ができたらもう1回読みたい本ですね。

骨・軟部腫瘍-臨床・画像・病理

この本は星の数ほどある骨軟部腫瘍の画像や病理、疫学の知識などを系統的にまとめてくれてる本です。通読するような本ではありませんが、知らない骨軟部腫瘍に出会った時にこれで調べてみると大体の腫瘍は載っています。辞書的な使い方が吉でしょうか。これの読影室に欲しい本ですね。

骨軟部病変の画像診断 / EXPERT ddx MUSCULOSKELETAL

この本を和訳してくれた先生には頭が上がりません。この先生の住所がわかるならそちらの方向に向かって毎日礼拝したいぐらい感謝しています。言わずと知れた画像診断の和英辞典的な逆引の教科書ですね。例えば骨嚢胞病変などと調べると、鑑別のチャンピョンイメージが羅列してあるので、似たものを探していくという絵合わせ画像診断的なアプローチが可能になります。私は本当に困ったら最後の手段として絵合わせ画像診断→似ているものの、画像の教科書を読む→論文を引いて鑑別診断を探してそれらと対比比較検証という読影手法をとることがあります。この本は中枢神経と骨軟部領域しか英訳されておらず、胸部や腹部、骨盤は洋書しかありませんが、まあこういう使い方であればそんなに困ることはありません。

一応他の分野のものもリンク貼っときます。中枢神経は和訳があります。

こちらは英語版のみ。

とりあえず以上です。

私は普段、画像診断や医療について



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