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行かないで、ってどうして言ってくれなかったの

 雨の中で起きたことというのは、なぜか多く記憶に残っている気がする。
 私の場合は、そこに悪いイメージはない。

 雨の日に車に駆け込むと、雨から避難したような安堵感がある。
 ワイパーの音と、雨に似合う好きな曲が混ざるのを聴くのが好きだ。
 
 ソール・ライターの雨の写真たちが好き。
 傘、濡れた路面。

 そして、夏のアスファルトが湿る匂い。
 まず、風が吹いて、そして雨の降り始めのパラパラという音。
 生い茂った緑が、雨の中で濃く見える。
 冬の冷たい雨を、ガラス窓越しに家の中から見ているのも好きだ。
 
 
 かんじいさんのnoteで大江千里さんのRainの歌詞を太文字で見たのは、夜中だった。

 

 初めて争った夜のように 行かないで 行かないで そう言うよ。
 男の子、みんなそう言えばいいのに・・・

かんじいさんのnoteより、使わせていただきました

 
 そう。
 「行かないで」って言ってくれなかった男の子の方が思い出されるのはなぜ?
 たぶん、そういうものなのだな。
 「行かないで」って、どうして言ってくれなかったの?
 って、女の子はずっと覚えているんだろう・・・

 頬を伝っていた雨。それとも、涙だったのかしら。
 
 「行かないで」
 男の子、みんなそう言えばいいのに・・・
 

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