ルミナコイドと健康・摂取の重要性②
Youtube「「ルミナコイドと健康・摂取の重要性②」内藤裕二先生
Q:先生の研究でルミナコイドの摂取で不妊治療に効果があったとそうですが?
日本という国は、今多くの人が不妊で悩んでおられるのです。
世界トップレベルの不妊治療の病院が大阪にあります。そこに来られる患者さんは、心や体だけでなく、総合的に疲れていらっしゃる。そのため、不妊治療を5年10年も待っていられない。
クリニックでは、カウンセリングもやっています。
そこと協力して食物繊維・ルミナコイドを使ってテストするのは悪いことじゃないんじゃないか。そこで、一日10gの食物繊維(ルミナコイド)を増やすという事をしました。
二盲試験ではないのですが、結果は、そんなに期待はしていなかったのですけど、18人全員が何も副作用なく58.3%の人が妊娠したのです。
便を事前に頂いて検査をし、子供が既に生まれた人の腸内細菌と比較したところ、腸内細菌には大きな違いはなかった。
18人の腸内細菌を妊娠した人としなかった人で比較して興味深かったのは、ビフィズス菌が多い人は妊娠しやすいという事が分かった。食物繊維(ルミナコイド)を摂取してビフィズス菌が増えた人は妊娠しやすかった。
何故妊娠したかは分かりませんが、これは一つのヒントかな。ビフィズス菌はマーカーになるのではないか。と思ったわけです。
期間は区切らずに摂取は続けましたが、データは摂取4週間でみています。
これまでの研究でも水溶性食物繊維では2週間、4週間で成果が出てきていますから、腸内細菌叢が変化する期間的としては十分だと思いますね。
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Q:ルミナコイド摂取で腸内環境が変わる?
臨床試験を沢山やってきて分かったことは、食品でも薬でも効く人と効かない人がいるのは明らか。発酵性食物繊維(ルミナコイド)でも同じ。
その人の腸内細菌叢は、産まれてきたお母さんから引き継いできており、お母さんから大きな影響を受けている。妊娠でも6割には効いたが、4割には効かなかった。そこは見分けることは今後の課題ですね。
今年日本人1,800人にエンテロタイプ5型と呼んでいるんですけど、腸内細菌を血液の様に5つのタイプに分けられるのではないかと発表して、そのタイプによって、人の分類をしてみようと研究しています。
これからこういうルミナコイドもどういう人に効いて、どういう人に効かないかも分かって来ると思います。
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Q:サルコペニア性肥満*の研究についてお聞かせください。
2017年から京丹後長寿コホート研究*というのを仕掛けています。
そこで最初のデータ、65歳以上350人の解析でサルコペニアとか歩行速度が遅いとか、握力が弱いという人は10%もいないのですよ。
これだけ皆さんが元気なのはなぜなのか?皆さんそんなに肉を食べていないのです。
医者はサルコペニア予防のためには肉を食べなさいと指導をするわけです。
そのギャプがおかしいと思い始めて、研究をはじめたのです。
筋肉が必要としているのはアミノ酸、特に分岐鎖アミノ酸が大事で、必ずしも肉を食べる必要は無く、分岐鎖アミノ酸があれば筋肉は作れるはずだ。
それ以上に筋肉は作られる以外に、「異化」と言って分解される反応もある。これは炎症によって筋肉の異化が進むのだろうと考えられます。
筋肉が作られて、異化を起こして分解されていく、そういった病態を考えて食べ物を考えないといけない。そんな単純に肉を食べれば筋肉が付くというのはあまりにも安易な発想ではないか。
どうもそこが気になって研究を始め、最初に研究データを発表して驚かれたのが、DBDBマウスといって、糖尿病になる運命の肥満マウスを使った研究です。
発症はしていないマウスに食物繊維(ルミナコイド)を与えたマウスと、与えないマウスに分けて育てていくと、食物繊維(ルミナコイド)がないと痩せていくのです。
DBDBマウスの見かけは太っているけど筋肉は痩せていく、それをよくよく考えると、人のメタボで太っているけど筋肉がないのと同じ。
そこで面白い関与が出来るのではないかと思って、食物繊維(ルミナコイド)を使った。
すると、腸内環境が改善され、全身の炎症も抑えられ、大事なのは食物由来のアミノ酸によって、筋肉が作られ、維持できたことを証明。
京丹後の人たちの血液検査の中でアミノ酸の分析を徹底的にやると、CTで撮った筋肉量とロイシンという分岐鎖アミノ酸がきれいに相関していることが分かりました。
つまり、摂取したたんぱく質との相関は全くないのです。
牛肉や豚肉など動物性たんぱく質を摂ろうとすると、通常動物性脂肪も含まれるので、腸内環境を悪化させる原因だと思っています。
こう考えると豆とか豆腐とかの植物由来か、魚など本来の日本人が食べていたたんぱく源を摂ることが、サルコペニア予防には重要じゃないかと言っているのです。
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Q:ルミナコイドの論文を読んでいくと「腸管での栄養の吸収」という事が出てきますが。
それはもう少しちゃんと研究すべき(テーマ)で、栄養素の吸収については、全然知らなかったのですが、脂肪一つとっても腸内細菌がいないと吸収が悪いのです。
昔のカロリー計算は何の意味もない、腸内細菌と腸内環境によって全く違う。
もっと重要なのは、昔の栄養学の本を読むと、食物繊維(ルミナコイド)を摂るとミネラル類の吸収が阻害されると教科書に書いてあります。
今、京都府大病院の糖尿病内科の先生と実際に食物繊維(ルミナコイド)投与介入試験をして栄養状態を調査しようとしています。
多分、食物繊維(ルミナコイド)の種類によると思っています。
金属とか微量元素の吸収を抑制するものもあるし、逆に水溶性の食物繊維によって吸収が良くなるものもある。
日本食物繊維学会の人もどんな食物繊維(ルミナコイド)は吸収に対して、どんな影響をするか、本当にベーシックな研究も必要かと思っています。
みんな安全だと思って長期に使いますよね。実は長期に使った場合の影響というのはあんまりわかっていない。
50年以上前に中東で妙な病気が流行って、調べたら亜鉛欠乏症だった。これは世界初の人の亜鉛欠乏症だったわけですが、それってその地域だけで昔から食べられていたものが、亜鉛をキレートする食物繊維を含んでいて、亜鉛を吸収させなくしていたのが原因だったのですが、そういう事があるようです。
でも、きちんと調べれば、ルミナコイドや水溶性食物繊維は、逆に良い働きをしてるのじゃないかと思っています。
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note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性①」へ戻る
「ルミナコイド不足は老化や加齢のベースにある慢性炎症を促す」など、是非知っておいていただきたい内容です。
・ルミナコイドの定義
・日本人、特に若年層にルミナコイドが不足している?
・ルミナコイドで腸管バリア機能を維持する?
note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性③」へ続く
ルミナコイドが不足すると腸内細菌が腸管粘液層を食べてしまう?」など、ファスティングに興味関心のある方必見です。
・今こそ「腸内細菌の食べ物(ルミナコイド)」が重要?
・ルミナコイドが減ると腸内細菌が腸管粘膜を食べる?
・長期間の絶食は腸管バリア機能を低下させる?