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ルミナコイドと健康・摂取の重要性①

Youtube「「ルミナコイドと健康・摂取の重要性①」内藤裕二先生

https://youtu.be/z1zkmTvmEGA




京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授 医学博士 内藤裕二先生

Q:日本食物繊維学会が提唱している、「ルミナコイド」について、お話をお聞かせください。

京都府立医科大学 保健予防医学教室 予防医学部門研究室にて

今日はありがとうございます。京都府立医科大学の内藤です。

日本食物繊維学会というのはずいぶん歴史があって、多くの会員がいらっしゃったのですけど、だんだんとこの分野学問が大きくなっている割に会員が少なくなってきているのです。

「ルミナコイド」というのは、医学部で医師をしたり、栄養士さんの指導をしたりする中で「ルミナコイド」という言葉を使う事が少なかった。

何でもかんでも食物繊維と言えば、患者さんも『あぁ、食物繊維』と通じると思っていたのですけど、ずいぶん違うという事が最近分かってきました。

「ルミナコイド」という言葉が生まれた背景は、食物繊維だけでは語れない、腸内細菌のエサになってお腹の中で発酵を起こす植物由来の食べ物を、まとめて「ルミナコイド」という言葉をつくられたのだと思います。

腸内細菌のエサになってお腹の中で発酵をおこすような、
植物由来の食べ物をまとめてルミナコイドと呼ぶようにした。
ルミナコイドの分類(出典:日本食物繊維学会)

日本食物繊維学会が研究だけでなく、重要性を国民に向け、サイエンスに向けて発表しようとして取り組んでいるのかなと思っています。

実際にはルミナコイドという言葉を意識して臨床や患者さんに指導したことは、あまりないのですけど、今勉強中です。

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Q:先生が食物繊維が重要だ、と考える理由は?

私は医者ですから腸内細菌に興味があったわけではなかったのですけど、ここ数年ですね。

腸内細菌が色々な病気に関係することが話題になり、研究したいと思ったときに、京都の京丹後市には長寿の人が多いという事で、そこの研究をするのに腸内細菌を調べようとなったのです。

健康・長寿と腸内細菌の研究ですね。それがキッカケで研究にドボッと浸かってしまったというわけです。

病気で腸内細菌が変わることも事実ですが、それ以上に食べ物の影響が大きいじゃないかと調べ出したら、医者って勉強不足で、栄養学は嫌いなので食物繊維の勉強もしていない。

今になって振り返ると、日本人は、食物繊維があんまり摂取出来ていない事に初めて気づいたのですね。

食物繊維というのは今までの栄養学から外されていたようです。

今、お腹の時代になり、腸内細菌が話題になり始めて、食物繊維が話題になってきているという事ではないでしょうか。

要するに、ルミナコイドというのは腸内細菌のエサですから。それをちゃんと摂らなくちゃいけないと思ったのですが、日本人の食物繊維の摂取量はどんどん下がってしまった。

残念ながら日本人の食物繊維(ルミナコイド)の摂取量は下がる一方です。

日本人は流れに弱いのですかね、あまり健康の事を考えて食事をする時代でなくなってきている。そういう問題じゃないかな。と思っています。

色々な国のデータを見ても順調に摂取量が下がっていっています。残念だと思っています。

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Q:特に若年層はルミナコイドの摂取が少なくなっている?

ラクをするとそれを覚えてしまう、噛まなくても飲み込めばカロリーになる、というような事で、ゆっくり食事をする習慣がどんどんなくなってくると、カロリーだけを計算して摂取してしまう。

周りの風潮もそうなってくると、なかなか、ゆっくり噛んで食事をしてという事は無くなる。食生活の変化がすごく大きい。

それを栄養学者も医学者も誰も止めなかった。病気を治すことは一生懸命やって来たけど、こういう事がほったらかしにしてきた結果、こういう事になってしまったのではないか。

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Q:ルミナコイド不足が長く続くと、どうなるのでしょうか?

マウスや動物実験レベルでは、腸管の粘液層が減少したり、バリア機能が低下したりして、消化管の局所の炎症が起きてしまう。これが一番大きな問題ではないかと思っています。

今まではそれは消化器の病気の話、というイメージがあったが、実はそんなことは無くて、生活習慣病、糖尿病、動脈硬化の増悪、促進に腸管の炎症は大きく関係している

腸管の粘液層が減少し、バリア機能が低下、腸管の局所の炎症が生じる老化、加齢の慢性症状に最も重要なのが腸内環境であり腸内細菌

今や老化、加齢のベースにある慢性炎症の病態に最も重要なのは、腸内環境であり、腸内細菌であり、そのバリア機能だという事は明らかになりつつある。

その意味で、食物繊維の摂取減少は良くない事だと分かってきています。欧米は既に気付いて、それなりに食物繊維の摂取量に上がってきている。日本人は長生きだからとか、平均寿命が世界一だからと言って、食物繊維の摂取を真剣に考えていないのですよ。

平均寿命と健康寿命の差は、男性で9年、女性で12~13年、この差はずっと縮まっていない。日本人の人生の最後の10年間前後は不健康な時代を過ごすさなければならないということが、ここ20年間変わっていないのですよ。もう少し真剣に腸内環境の事を考える時期じゃないかと思っています。

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Q:食物繊維(ルミナコイド)不足を補うには、どうしたらいいでしょうか?

これまでは水溶性か不溶性かという議論をしてきたのですけど、今は発酵性の食物繊維か、そうでないかが重要だと思います。

高発酵性食物繊維なのか、発酵しない、つまり腸内細菌のエサにならない食物繊維なのか、区別して考えるべき。これは、平成15年も前から日本では決まっていたのですよね。高・中・低発酵性という区別が。

医者も栄養士さんも勉強して、高発酵性食物繊維とは何かを広めて欲しいと思います。食物繊維というと、レタスなど葉野菜しか言わない現状を変えなくてはならない。

主食が一番大事だと思いますね。白いご飯と、白い食パンがメインである限り一日当たりの必要摂取量には届かない。

主食の3食に一回とか、朝食だけでも高発酵性の食物繊維が入った、ルミナコイドのようなものが入ったものを食べてもらいたい。玄米、古代米とかそういうのを少し白米に混ぜるとかするのが一番いいと思います。

動脈硬化とか様々な生活習慣病を抑制するには一日24gが最低ラインと言われています。最近はがんの治療でも食物繊維が話題になっていて、ルミナコイドの摂取量が多いほど免疫チェックポイント阻害剤の効果が高いと言われていて、そのラインが20gです。つまり、一日あたり20~24gを目標にすると主食を何とかしないとダメだろうと思います。

忙しいし食事も不規則ですから、なかなかできないので、
サプリメントのようなものを上手く利用して不足を補う。

後は、皆さん忙しいですから食事も不規則だと思うので、サプリメントのようなものをうまく利用する。そればかりでもよくないですが。

僕はスペシャルスムージーを作って毎朝飲んでいます。

(1日摂取目標を)20gに設定すると、皆さんかなり努力しないと達成できません、それを今の子供たちにどうして分からせるか。切実な問題なのです。

美味しく食べやすく、食物繊維(ルミナコイド)が摂れるものを提供できないと、
お腹環境は良くならないと思っています。

美味しくて、食べやすい持続性のある物をうまく提供できるようなシステムがないと、お腹(腸内)環境が良くならない、そういう意味でルミナコイドを上手く使うのは大事だと思います。

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note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性②」へ続く

不妊治療やサルコペニア性肥満予防にも効果が期待されるルミナコイド」など、研究結果などをお話しいただきました。
・ルミナコイドの摂取で不妊治療に効果が有った?
・腸内環境が変わるのは1~2か月後?
・ルミナコイドは栄養の吸収も左右する?

note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性③」へ続く

ルミナコイドが不足すると腸内細菌が腸管粘液層を食べてしまう?」など、ファスティングに興味関心のある方必見です。
・今こそ「腸内細菌の食べ物(ルミナコイド)」が重要?
・ルミナコイドが減ると腸内細菌が腸管粘膜を食べる?
・長期間の絶食は腸管バリア機能を低下させる?

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