過去の愛しきもの
最後に星に願いを込めたのは、
何時だっただろうか。
真夜中、おもちゃ箱から
ぬいぐるみが飛び出すのを
一度でも見てみたいと
両目を必死に開けていたのは、
何歳までだっただろう。
聖夜に、優しい御伽の国の住人が、
夢みた贈り物を
届けてくれなくなったのは何時からだろう。
昔、信じていたことを、
今でも夢見てるとは限らなくて。
それは、大人になった今でも同じで。
毎年、心情が切ないほどに変化している。
一年前、これが正義で、
完璧な正しさだと思っていたことが
涙も出ないほどの
嫌悪感へ変化してしまったり。
美しいと感じていたはずの人や物が、
案外そうでもなかったり。
全く興味のなかったことが、
今の生きていく糧になっていたり。
ずっと苦手だったものを、
突然克服出来たり。
人生は不思議なほど、
四季が移ろい往くように
私の思考も気づかないうちにゆっくりと、
確実に変化している。
自分にとって想定外の感情の変化も
時空の流れにとっては
当然のごとくの、次への階段で。
今はどうであれ、
大切だったものを認めることは、
必要なことなのかも知れない。
四季は移ろうが、必ず形を変えて、
また同じ季節が巡り戻って来るのだから。
離れていた時間により、
優しい隙間が作られて
客観的に、より良く問題を
見つめ直すことが出来るかも知れない。
人間関係もいつかまた、
素敵に戻るのかも知れない。
いつか、自分が親になる日が来たら
子供時代に夢見たことを、
また堪らなく愛おしく思うかも知れない。
だから
過去の愛しきものたちを認めてみよう。
それってきっと想像以上に、
未来に繋がっているから。
サポートは、感性の探求に使わせて頂きます。 *世の中に美しいものが一つでも増えたら 人々の心が、生活が豊かになる。 そう信じて、これからも作品をお披露目致します。