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「父さんの想い出時計」詩―「noteで繋がる、学びの輪」#気付きnote企画応募作品

父さんの遺品の中に
金張りの 腕時計をみつけた
あちこち メッキが剥げている

自動巻きで 振ると
針がぎこちなく動く
母に尋ねると 
「20年近く 使ってたわよ。
もう うまく動かないんじゃあない」

僕の 友人たちは 競って
四角いスマートウオッチを
キラキラさせながら
手首を 見せている

高価なスマートウオッチを
買えないことを 隠して
父の形見の この腕時計を
使い始めた

友人たちは 皆な ちょっぴり上から目線で
「えーーっ その時計どうしたの?
まだ 使えるの? 自動巻きかぁ・・ 
いやぁ 昭和だね。。」といい
自分のスマートウオッチに
サラリと 目をやる

この時計を 身に着けていると
父の生き方の一部を
時計が 訴えているような
気がしてきた

父は 朝は 僕が起きる前に出社し
夜は 11時すぎに帰宅
土曜も 出勤
書類が 沢山入った分厚いカバンを
抱えて 長く急な 駅の階段を
毎日 上り下り

時計には 日付窓がついていて
夜の12時ちかくになると
翌日の日付が 半分顔を出し、
もう 新しい日が 生まれるよと
教えてくれる

心が 折れそうなときに
時計に 耳をあてると
一生懸命に 働いている声がする
{立ち止まってても 
時はまってくれないよ}と
父が 言っているよう

クオーツ時計の 秒針のように
よどみなく 動く針と違い
父さんの時計の 秒針は
一秒 一秒と刻みながら 動く
このぎこちなさが 仕事には
大事な時もあるのでは ないだろうか・・・

「効率さが すべて」のテーゼの世で
諦めず 嘆かずに 地道に
前にわずかづつ 進んでいくのもいい
父さんの時計は それが
大事だという事を
僕に気づかせてくれた 気がしている

大谷義則さん企画のnoteで繋がる、学びの輪
#気付きnoteの企画に応募させて
いただきました。 大谷さんどうぞ
よろしくお願いいたします

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #大谷義則さん #気付きnote #詩 #Poetry #抒情詩 #時計 #生き方 #立山  剣 #お父さん
#仕事について話そう


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