「アルバムの中に生きてる」ー詩ー
母さんは いつもどこかで
見守ってくれてる
アルバムの 写真の中では
恥ずかしそうに 笑ってる
四人姉妹の中では
母さんが一番 奇麗だった
「坊や お母さんに似てないね」と
よく いわれてきた・・・
僕は デコボコのジャガイモ顔した
子どもだった
学校からの 帰りが遅いと
裏木戸を 何度も開け閉めして
子どもの 名を呼ぶ
「全くどこで 遊び呆けてるの!
帰ってきたら お父さんに
拳骨してもらうから・・・」と
あちこち ウロウロ歩きを 繰り返す
娘時代は 宝塚に憧れていた
宝塚を受験するというと
親に 頑固に反対された
「娘を 芸人にするために
育てたんじゃあない!!」
母さんは 僕が 子供のころ
宝塚の 歌を口ずさんでた
歌のいくつかは まるで
子守歌の響きのように 聞こえた
宝塚の舞台を 時折
父さんと 観劇に 行ってた
「お父さんは 舞台が始まると
必ず すぐに 寝ちゃうのよ。
体裁が 悪いったらないわ」と
決まって 愚痴る
{僕もきっと 寝てしまうよ…}と
心の中で 父さんを 応援する
僕が 好き嫌いを言って
食事を 残すと
眉をひそめて 怒った
でも目には
いつも 優しい海があった
古い アルバムには
若い母さんが 住んでいて
涙目になりながら
僕を 叱ってくれる
家族は もう古いアルバムは
いい加減 整理したらという
でも 母の 叱り声が 聞きたくて
また 本棚の古いアルバムを開く
「母さん元気?? こんな
いたずらっ小僧を 育ててくれて
ありがとうね」と小さな声で
話しかけて しまう
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