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「七夕の約束」ー詩ー

一年先の 七夕の日に
鎌倉の 由比ガ浜で
「必ず 会おうね」と交わした約束
銀河は 大きく 広がり輝く

僕が初めて 君を見たのは
長谷駅近くの 壁の剥げかけた
古いアパートの前
二人は すぐに キューピッドの矢に
射抜かれた

寺の 見晴台からの景色を
肩を並べて眺めるのが 
恋の季節の 楽しみだった
夏風が 浜の香りで 
二人の肩を 包んでくれる

学生時代は 短く燃え尽きて
社会人に 仲間入り
リクルートスーツ姿を
見せあって 「なんか変!!」
と自嘲笑いしあった。

僕らは 「学生時代」という
気ままな制服を 脱ぎさり
「大人の仲間入り」という 
固い殻をかぶり 身を固めた
二人は 地方勤務に任じられる

年に数回「ひさしぶり電話」をかけあい
一年後 七夕の日 鎌倉の浜で
再会しようと 約束した
電話の 君の声の冷たさは
熱暑の中で 少し気にかかった

あれから 君のアドレスを
記憶の住所録に 書き込んで
持ち続けてる
ラインは 未読文字が
むなしく 目立つ

約束の 七夕の日
夜の 由比ガ浜は 人影も疎ら
昼間の喧騒は 沖へ去ってしまった

浜に置かれた 漁船に
もたれて 君を待ちわびる
スマホは 月明かりの下で
青白い 沈黙を続ける
青春の時の 約束は
波が さらって行ったのだろうか

僕は それでも 
毎年 七夕の日に
由比ガ浜で 君を
波の音と共に
待ち続けるだろう

僕の中の 青春は 
魂の中で まだ蒼く
息をしている

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2022年のしろくまきりんさんの「鶴亀杯スピンオフ企画の
応募詩をリライトしてみました。

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