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ドイツ詩を訳してみる

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#リルケ

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

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作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

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以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

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リルケ「秋の日」(ドイツ詩を訳してみる 23)

Rainer Maria Rilke, Herbsttag (1902)

主よ、実に良い夏でした。今こそ
あなたの影を日時計の上に落とし
草原に風を放ってください。

最後の果実らには 満ちよと命じ
あと二日だけうららかな日を恵み
一気に熟させ たわわな葡萄の房に
最後の甘い汁を注ぎ込むのです。

いま家のない者は 永遠に建てないまま、
いま孤独な者は 永く孤独なままだろう
夜も眠れず 本を読み

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リルケ「豹」(ドイツ詩を訳してみる 22)

Rainer Maria Rilke, Der Panther (1902)

『新詩集』(Neue Gedichte, 1907) 所収。「パリ植物園にて」という副題がついています。

その目は柵の行き来に倦み果て
もはや何物をも捉えない。
あたかも目の前に千の柵があり
千の柵の先に世界はないかのよう。

力強くもしなやかな足取りが
のっそりと小さな円を描く。
あたかも弱った大きな意志の周りを

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